温清飲(ウンセイイン) |
生薬構成 |
当帰 4.0 地黄 4.0 芍薬 3.0 黄ゴン 3.0 川キュウ 2.0 山梔子 2.0 黄連 1.5 黄柏 1.5 |
温清飲原文 |
【勿誤薬室方函口訣】
此方ハ温ト清ト相合スル處ニ妙アリテ、婦人漏下、或ハ帶下、或ハ男子下血久不止者ニ用テ驗アリ。小栗豊後ノ室、下血不止十餘年、
面色萎黄、腰痛如折、兩脚微腫アリテ衆醫手ヲ束ヌ。余此方ヲ與テ全癒。 |
温清飲解説 |
この漢方処方は「万病回春」、「勿誤薬室方函口訣」に見られ、内容は「黄連解毒湯」と「四物湯」を合わせた処方である。
「勿誤薬室方函口訣」の著者浅田宗伯先生は「此方ハ温ト清ト相合スル處ニ妙アリテ」と書かれており、本文の「温」は「四物湯」を意味し、
「四物湯」をもって月経の安定、血行促進、貧血、血熱の軽減、皮膚の滋潤,精神安定などの効果があります。
「清」は「黄連解毒湯」を意味し、「黄連解毒湯」をもって止血、精神安定、解熱(実熱の鎮静)、皮膚のかゆみを抑える効果があります。
「四物湯」の温と「黄連解毒湯」の清を合わせて本方は「温清飲」と言います。
「四物湯」と「黄連解毒湯」が組み合えば、浅田宗伯先生の「処に結果が良い」と述べられた気持ちがわかります。
「万病回春」、「勿誤薬室方函口訣」の温清飲は「女性の不正出血、帯下、男性の下血に効があります。」と記載されています。
大塚敬節先生は痔出血に用いており、その時に荊芥、魚腥草(ぎょせいそう)を加えた温清飲加荊芥、魚腥草の治療例を自身の
書物に書かれています。
後、私個人の経験で皮膚症状で血熱と痒みの症状がひどい場合は石膏を加えた
温清飲加石膏を用います。他に熱感はひどくないが痒みが強い場合は荊芥、連翹を加えた温清飲加荊芥、連翹を用います。
余談ですが、温清飲に柴胡、連翹、桔梗、牛蒡子、カ楼根、薄荷、甘草を加えると森道伯先生の創作処方「柴胡清肝湯」という処方が
出来ます。
他に温清飲に荊芥、連翹、柴胡、白シ、桔梗、薄荷、枳実、防風、甘草を加えると一貫堂「荊芥連翹湯」という処方が出来ます。
他に温清飲に沢瀉、竜胆、甘草、連翹、薄荷、車前子、防風、木通を加えると一貫堂「竜胆瀉肝湯」という処方が出来ます。
「柴胡清肝湯」、「荊芥連翹湯」、「竜胆瀉肝湯」は森道伯先生の一貫堂では解毒体質改善薬として使われます。
「柴胡清肝湯」は幼年期の腺病質体質改善、耳鼻咽喉疾患の改善、皮膚疾患の体質改善薬として使われます。
「荊芥連翹湯」は青年期の腺病質体質改善、耳鼻咽喉疾患の改善、皮膚疾患の体質改善薬として使われます。
「竜胆瀉肝湯」は壮年期の解毒体質改善薬ですが、腺病質とは関係なく、主に婦人病、性病、泌尿器疾患、肝臓疾患等の下焦の病気に
用いられます。 |
温清飲適応症 |
@ 温清飲の証は幅広く実証(黄連解毒湯)〜虚証(四物湯)まで適応します。
A 病状が慢性化した場合は温清飲がよく用いられます。
B 温清飲は黄連解毒湯と四物湯の合方なので黄連解毒湯、四物湯、両方の適応症に用いることができる。
C 皮膚疾患に用いる場合、矢数道明先生は「多くは丘疹性の湿疹で、分泌物は無く、枯燥の傾向があり、ソウ痒が甚だしく、
掻把によって出血痕を残しているものが多い。と述べられており、温清飲を皮膚病に用いる目標は患部が乾燥し、赤味を帯び、熱感
があり、痒みがひどく、掻くと皮膚から白い粉が出てくる、患部より分泌物は無い。などの場合に用います。
D この処方は地黄が配合されているため胃腸虚弱者が服用すれば食欲不振、下痢の症状が現れる事がありますので注意が必要です。
E 以上の症状から温清飲の適応症は
・各種出血(子宮出血、痔出血、鼻血、血尿、眼底出血)
・高血圧
・紫斑病、ニキビ、
・アトピー性皮膚炎、慢性湿疹
・皮膚ソウ痒症、肝斑
・黒皮症、肌荒れ
・蕁麻疹、ベーチェット
・貧血、口内炎
・月経異常、血の道
・神経症、アレルギー体質改善などに適応されます。 |
各種生薬の役割 |
温清飲を構成しているのは黄連解毒湯と四物湯です。
黄連解毒湯に含まれている生薬の大部分は上焦の実熱が原因で起こる炎症、充血を取る黄連、黄ゴン、山梔子で消炎、解熱の効が
あります。
余談・・・黄連解毒湯は上部の出血を止める処方として用いられ、下部の出血を止める処方としてキュウ帰膠艾湯がよく用いられます。
黄連と黄ゴンの組み合わせた処方を「瀉心湯」と呼び、「半夏瀉心湯」、「生姜瀉心湯」、「甘草瀉心湯」、「三黄瀉心湯」、「黄連解毒湯」、
「黄連阿膠湯」などがあります。
黄連と黄ゴンが組み合わされることにより炎症、充血、不安、心下痞を取り去ります。山梔子、黄柏は消炎、利尿作用があります。
四物湯に含まれる地黄は血熱を取り、貧血、造血作用があります。
当帰は貧血、造血、皮膚を潤します。芍薬、川キュウは気、血の巡りをよくし、気分を明るくします。
最後に温清飲を皮膚疾患に用いる時、矢数道明先生は荊芥、連翹、ヨクイニンを加えます。
皮膚疾患の体質改善には柴胡、甘草を加えます。以上の生薬を加えることにより、柴胡清肝散、荊芥連翹湯に近くなります。
大塚敬節先生は痔の出血の時に温清飲を用いる場合に便秘があれば便秘解消、消炎作用のある大黄を加え、出血がひどければ
止血作用のある荊芥、魚腥草、槐花を加えよい効果が得られたと記載されています。
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参考処方 |
実証・・・・桃核承気湯
中間証・・キュウ帰膠艾湯、桂枝茯苓丸料など
虚証・・・・当帰芍薬散、当帰飲子、当帰建中湯など |
温清飲の服用方法 |
煎じる温清飲の服用方法
煎じる温清飲の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。
一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。
粉末の温清飲の服用方法
粉末の温清飲の服用方法ですが1日分(3包)を1回1包づつ食前(食事の60分前)又は食間(食事と食事の間、食後約2時間)に
水又はぬるま湯にて服用してください。
(出来ましたら熱湯に粉末を入れて漢方薬を溶かして、人肌程度の温度になった漢方薬配合の液体の服用をおすすめします。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。 |
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