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さ~そ行の漢方用語のご紹介について。やなぎ堂薬局

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さ~そ行の漢方用語のご紹介についてChinese herbal terms

さ行~そ行

「さ行~そ行」の漢方用語の一覧表

下記の一覧表は特殊で難解な東洋医学用語、漢方用語並びに現在漢方医学の基礎を作られ、漢方医学の発展に
粉骨砕身の働きをしていただいた先駆者の名前、功績、書物を解りやすく説明しております。
多少、解説の意味合いが違う場合があるかもしれませんが、ご了承をお願い致します。

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さ行  
 名称  解説
臍(さい)  臍はへそをこう言います。
へその上を臍上、へその下を臍下と言います。 
臍下悸(さいかき)、
(せいかき) 
臍下悸はへその下から足の付け根までの下腹部
(特にへそから指2本分下)を按圧しながら触診すると
健康な人には感じられない腹部大動脈の拍動や動悸を
感じる場合をこう言います。

臍下悸に用いられる漢方処方は柴胡加竜骨牡蠣湯、
桂枝加竜骨牡蠣湯、苓桂朮甘湯、炙甘草湯、五苓散、
加味逍遙散などが用いられます。

参考・・・腹診で臍下悸の他に臍上悸がありますが
両方に意味の違いはあまり無く、同等に扱い考えるべき
と思います。

参考・・・傷寒論には臍上悸言う言葉は無く、推測をするに
後世の人が考え付け加えたと思われます。 
臍下拘急
(さいかこうきゅう)
(せいかこうきゅう) 
臍下拘急は下腹、特におへその周りの腹直筋を触ると
硬くて引っ張っているような腹診を言います。

臍下拘急は小腹拘急の腹証とよく似ていますが、
小腹弦急とは違います。

臍下拘急の腹証は腎虚に診られ、八味丸を用いる
機会が多いです。 
臍上悸
(さいじょうき)
(せいじょうき) 
臍上悸はみぞおちからへその上までの上腹部
(特にへそから指2本分上)を按圧しながら触診すると
健康な人には感じられない腹部大動脈の拍動や動悸を
感じる場合をこう言います。

臍上悸に用いられる漢方処方は柴胡加竜骨牡蠣湯、
桂枝加竜骨牡蠣湯、苓桂朮甘湯、炙甘草湯、五苓散、
加味逍遙散などが用いられます。

参考・・・腹診で臍上悸の他に臍下悸がありますが両方に
意味の違いはあまり無く、同等に扱い考えるべきと思います。

参考・・・傷寒論には臍上悸言う言葉は無く、推測をするに
後世の人が考え付け加えたと思われます。 
催吐剤(さいとざい)  催吐剤は胃内部にある飲食物を強制的に排出作用のある
生薬や漢方処方を言います。
催吐剤の代表的な生薬は巴豆、常山、蜀漆です。
漢方処方では瓜蔕散、走馬湯などが催吐剤と言われます。

参考・・・一般の家庭で催吐剤と言えば食塩水が有名です。 
催吐法(さいとほう)  催吐法は催吐剤を用いて胃内部にある飲食物を強制的に
排出させる吐法を指します。

催吐法は現代漢方では余り用いませんが、昔は重要な
治療方法でありました。 
細(脈)
(さいみゃく) 
細脈は指をあてると、糸に触れるような感じがする脈を
言います。
細脈は微脈よりは力強さを感じます。
細脈は手足に寒冷、又は裏寒がある場合に診られます。
細脈は別名で小(しょう)脈とも言われます。

参考・・・大脈の反対は細(小)脈です。 
臍下不仁
(さいかふじん)
(せいかふじん) 
臍下不仁は臍より下の下腹に力が入らず、弾力感が無い
状態を言います。
臍下不仁の腹証は腎虚によく診られ、八味地黄丸を
用いる機会が多いです。

臍下不仁とよく似た症状で小腹不仁があります。

参考・・・臍下不仁は「さいかふじん」と言ったり他に
「せいかふじん」とも言います。 
数(脈)
(さくみゃく) 
数脈は頻脈で心拍数が多い脈を言います。
数脈の場合は病邪に勢いがあり、病邪の進行が早い事を
示しており注意が必要です。

数脈に力強さが診られれば実熱の場合が多く、力強さが
余り感じられなければ虚熱の場合が多いです。

参考・・・数脈の反対は遅脈です。
参考・・・傷寒論、辨脈で
「問曰 脈有陰陽、何謂也? 答曰 凡脈大浮数動滑、
此名陽也。脈沈渋弱弦微、此名陰也。」

「脈に陰証、陽証がありますか? 脈には大、浮、数、
動、滑があり、全て陽也。
脈で沈、渋、弱、弦、微は全て陰也。」
と記載されています。 
撮診(さつしん)  撮診は切診の一つで身体のどの部分の筋が張って痛みを
起こしているのかを調べて、筋が張っている部分を軽く
撮み(つまみ)、どの筋が弱っているかを調べる方法です。

参考・・・圧診は素人、薬剤師が行えば医師法に触れる
恐れがあります。 
沙淋(さりん)  沙淋は五淋の一つで、沙淋の症状は小便から砂状の石が
出る症状で排尿困難、尿量減少などの症状が診られます。

沙淋の原因として膀胱炎、前立腺炎、尿路結石、尿道炎
などが原因の排尿痛、排尿異常やカンジタ菌、淋菌、
ブドウ球菌、連鎖球菌などの菌が原因の場合があります。

沙淋に用いられる漢方処方は猪苓湯、清心蓮子飲、
竜胆瀉肝湯、八味丸、五淋散などが用いられます。

参考・・・沙淋は別名で砂淋とも言われます。
三陰(さんいん)  三陰とは太陰病、少陰病、厥陰病を指します。
三陰の反対が三陽になります。

傷寒論では病邪の進行はこのように流れます。
太陽病⇒陽明病⇒少陽病⇒太陰病⇒少陰病⇒厥陰病 
散寒(さんかん)  散寒は寒邪(悪寒、冷え症、風邪などの寒)を体内から
追い払う生薬、漢方処方全般をこう言います。 
三焦(さんしょう)  三焦は上焦、中焦、下焦を合わせて三焦と呼びます。
又、五藏六府の六腑に含まれる腑も三焦と呼びます。

三焦に含まれる上焦は胸を指し、中焦は腹部を指し、
下焦は下腹部を指します。

余談・・・「焦」にはこのような言葉があります。
焦す(こがす)、焦げる(こげる)の言葉があり、
「焦」は漢方の世界では「体内で火・熱の力で燃やして
陽気に変える所」と言う意味です。

三焦の役目を簡単に書けばこのようになります。
① 上焦は口から取り入れた空気を肺や心臓で燃やす所です。
② 中焦は口から取り入れた飲食物を脾胃で燃やす所です。
③ 下焦は脾胃から来た飲食物を燃やして吸収したり
、排泄したりする所です。

三焦は人間が生きていくに必要な生命力、生命活動力を
こう言います。
三焦が正常に活動すると中焦の活動が活発になり
消化吸収力が向上と陽気と肉体活動力が増し、精神機能が
正常に働きます。

参考・・・難経 第三十一難に
「三焦者、何稟何生、何始何終、其治常在何許、
可暁以不。然。
三焦者、水穀之道路、氣之所終始也。
上焦者、在心下下膈、在胃上口、主内而不出。
其治在膻中、玉堂下一寸六分、直兩乳間陷者、是。
中焦者、在胃中脘、不上不下、主腐熟水穀。
其治在齊傍。
下焦者、當膀胱上口、主分別清濁、主出而不内、
以傳導也。其治在齊下一寸。
故名曰三焦、其府在氣街、一本曰衝。」
「三焦とはどこから始まりどこが終わりですか?
三焦の各部位にはどのような作用がありますか?

答:三焦は口から入った飲食物が通る道です。
気の出入り口でもあります。
上焦は心窩部の辺り、胃の入り口にあります。
気は一度入ったら出ることはありません。
仮に上焦を痛めたのなら壇中穴を治療しなさい。
中焦は胃の中央部分にあり、飲食物を栄養に変えます。
仮に中焦を痛めたのなら天枢穴を治療しなさい。
下焦は膀胱の上にあり、大便、小便を区別して
排泄させます。
仮に下焦を痛めたのなら陰交穴を治療しなさい。」
と記載されています。

参考・・・難経 第三十八難に
「藏唯有五、府獨有六者、何也。然。
所以府有六者、謂三焦也。
有原氣之別焉、主持諸氣、有名而無形、其經屬手少陽、
此外府也、故言府有六焉。」

「臓は五個あるが腑は六個あるらしいがそれはどうしてか?」

答:もう一個ある腑とは三焦の事です。
三焦は元気を作る元で、先天の気と後天の気の両方を
持っています。
三焦は名前はありますが、形はありません。三焦の経脈は
手の少陽に属します。」
と記載されています。 
三陽(さんよう)  三陽とは太陽病、少陽病、陽明病を指します。
三陽の反対が三陰になります。

傷寒論では病邪の進行はこのように流れます。
太陽病⇒陽明病⇒少陽病⇒太陰病⇒少陰病⇒厥陰病 
三陽三陰
(さんようさんいん) 
三陽三陰は傷寒論に書かれている記述で述べると
三陽は太陽病、陽明病、少陽病を指し、
三陰は太陰病、少陰病、厥陰病を指します。 
し行 
名称 解説
支飲(しいん)  支飲は四飲の一つで症状は激しい咳、呼吸困難、肺水腫
などが診られます。

金匱要略では支飲には木防己湯、木防已加茯苓芒消湯、
厚朴大黄湯、沢瀉湯、小半夏湯が良いと記載されています。
支飲の他に溢飲、痰飲、縣飲などの水毒症状も
金匱要略に見られます。

参考・・・金匱要略 痰飲咳嗽病篇に
「咳逆倚息、短氣不得臥、其形如腫、謂之支飮。」

「激しい咳、肩で息をする、呼吸間隔が短い,激しい咳と
呼吸困難のため横になって休めないなどの症状があり、
養生していても良くならず、逆に腫れを生じます。
これを支飲と呼ぶ。」と記載されています。

参考・・・支飲は気管支喘息、心臓喘息、肺水腫などが
これに当てはまります。 
四飲(しいん)  四飲は金匱要略 痰飲咳嗽病脈証併冶第十二によれば
問曰、夫飲有四、何謂也。
師曰、有痰飲。有懸飲。有溢飲。有支飲。
「水が原因の病気が4種類あると聞きましたが
それは何ですか?」
「師曰く、それは痰飲、懸飲、溢飲、支飲の事です。」
と記載されています。

痰飲、懸飲、溢飲、支飲の4種類をこう言います。

問曰、四飲何以爲異。
師曰、其人素盛、今痩、水走腸間、瀝瀝有聲、
謂之痰飲。飲後水流在脇下、
唾引謂之懸飲。
飲水流行、歸於四肢、當汗出、而不汗出、身体疼重、
謂之溢飲。
逆倚息短氣、不得臥、其形如腫、謂之支飲
「四飲の違いを教えてください。」
「師曰く、元々元気だった人が今は痩せ、
水が腸の入り口から腸の出口を音をたてながら流れる
症状を痰飲と言います。

飲んだ水が脇の下に流れて滞り咳を誘発する症状を
懸飲と言います。

飲んだ水が手足まで流れて留まり、汗として排出すれば
良いが、汗として出ない場合に身体が重く、だるい症状を
溢飲と言います。

咳が出て息切れがして呼吸が苦しく、あまり横になれず、
身体が浮腫む症状を支飲と言います。」
と記載されています。 
自汗(じかん)  自汗は発汗剤の服用をしなくても自然に出る汗を言います。
又、運動をしなくても出る汗も同じく自汗と言います。 
四肢拘急
(ししこうきゅう) 
四肢拘急は両手両足の筋肉が突然ひきつる、
つまりこむら返りが起きる事を言います。
傷寒論では四肢拘急の症状には四逆湯を用います。 
滋潤剤
(じじゅんざい) 
滋潤剤は口、喉が乾くが口内を湿らす程度の症状や痰の
切れが悪いなどの症状を和らげる生薬や漢方処方
を言います。

滋潤作用のある生薬として人参、地黄、茯苓、麦門冬、
カ(※)楼根が用いられ、漢方処方では麦門冬湯、
滋陰降火湯、瓜呂枳実湯、炙甘草湯、十全大補湯
などが用いられます。((※)カ=てへん+舌) 
四診(ししん)  四診は患者の状態をチェックする診察方法です。
四診には望診、聞診、問診、切診があります。 
七情(しちじょう)  七情は人間が持つ七つの感情(喜・恕・恐・驚・憂・思・悲)
で、この感情のバランスが崩れたり、過剰又は不足すれば
病気の原因になります。
実火(じっか)  実火は風邪、寒邪、湿邪、暑邪などの外感が体内に侵入して、
高熱症状が診られる場合をこう言います。

実火に用いる生薬は石膏、大黄、黄連等の寒剤が用いられ、
これらの生薬が配合された黄連解毒湯、三黄瀉心湯、
白虎湯などの漢方処方も用いられます。

参考・・・実火の反対は虚火です。 
湿咳(しつがい)  湿咳は湿った咳、痰が多く伴い、黄色で粘っこい痰や痰が
喉にへばりついて痰が切れにくく、顏を赤くして咳き込んだり
無理矢理に痰を排出したりする等の症状が湿咳には診られます。

参考・・・痰が伴わない咳は乾咳と言われます。

湿咳に用いられる生薬は地黄、人参、麦門冬、
カ(※)楼根などの滋潤作用のある生薬が用いられ、
漢方処方は滋陰降火湯、麦門冬湯、瓜呂枳実湯、清肺湯、
麦門冬子、炙甘草湯、竹葉石膏湯などが用いられます。
(※カ=きへん+舌)

参考・・・湿咳でも痰が切れやすい場合は麻黄、杏仁が
配合された麻杏甘石湯、華蓋散、小青竜湯、
麻黄附子細辛湯などが用いられます。 
実寒(じっかん)  実寒は実証の人に寒邪が体内に侵入したり、冷たい飲食物の
大量摂取が原因の悪寒、手足の冷え、腹痛、軟便、量の多い
色の薄い尿などの症状が診られる場合をこう言います。

参考・・・実寒の反対は実熱です。 
湿邪(しつじゃ)  湿邪は梅雨、湿度の高い夏、秋の長雨など湿気が原因で
起こる症状を言います。
症状は関節の腫れ、下半身の浮腫、頻尿、下痢、
体内水分の代謝異常などの水毒症状を言います。

湿邪の他にも「風邪」、「暑邪」、「寒邪」、
「燥邪」、「火邪」、「疫癘」などがあり、
総じて「邪気」、「六淫」、「外邪」と呼ばれています。
湿邪は「暑邪」と一緒に出る事が多いです。 
実証(じっしょう) 実証は病気に対して抵抗力があり、体力が充実している
身体状態を言います。
実証の場合は体力が充実しているので発汗剤、下剤などの
攻撃的な漢方処方を用います。

実証のポイントは
① 筋肉質、、肩太り、肥満体質。
② 積極的で疲れにくく、楽天家。
③ 夏ばてしにくく、冬の寒さも強い、食欲があり、
元気がある。以上のような症状が実証の人には見られ、
麻黄、大黄、枳実などの生薬が配合された漢方処方
を用います。
しかし傷寒論には「表実」、「裏実」、「上半身の虚」、
「下半身の実」などの状態が書かれており、
どの証なのか判断が難しい事があります。

参考・・・病人の証の区別(虚証、中間証、実証)が
つかない場合はまず、虚証系の漢方処方から始め、
効き目が無ければ中間証系の漢方処方、次に実証系の
漢方処方と変えていけば良いでしょう。

傷寒論、太陽病中篇で
傷寒、陽脈渋、陰脈弦、法当腹中急痛、先与小建中湯、
不★者、小柴胡湯主之。」
{★の漢字は(だく+差)で癒えるという意味です。}

「傷寒で陽脈は渋、陰脈は弦で腹が痛み、処方を迷う時は、
まず先に虚証系の小建中湯を用い、効果が無ければ実証系の
小柴胡湯を用いなさい。」と記載されています。
 
湿熱(しつねつ)  湿熱は裏にこもった熱の事を言い、小便不利の症状
を伴います。
傷寒論ではオ熱、裏熱とも言われます。

参考・・・後世派では湿熱と言います。

参考・・・傷寒論 陽明病篇に
「此爲オ熱在裏、身必發黄、茵チン蒿湯主之。」

「裏にオ熱があれば黄疸が出るので茵チン蒿湯を
服用しなさい。」と記載されています。 
実熱(じつねつ)  実熱は太陽病、少陽病、陽明病等の陽証病期で実証の炎症、
発熱、充血等の症状を指します。
実熱の症状によく用いる生薬は石膏、大黄、黄連、芒硝
等の寒剤を用います。

参考・・・実熱は別名で実火(じっか)とも言います。
実熱の反対が実寒です。 
湿痺(しつひ)  参考・・・素問 痺論篇
風寒濕三氣雜至、合而爲痺也。濕氣勝者、爲著痺也。
「痺は風、寒、湿3種類の気が交じり合って起こる物です。
その中で湿が勝っている場合に着痺が診られます。」
と記載されており、湿痺は雨や雪などの湿気が多い
時期に関節のだるさや痛みを感じる症状を指します。
(湿痺の痛みは寒痺よりは軽い場合を指します。)
湿痺に用いる漢方処方はヨクイニン湯、二朮湯、
麻杏ヨク甘湯等が用いられます。

痺論には湿痺の他に風痺、寒痺が記載されています。

湿痺は別名で着痺とも呼ばれます。 
実満(じつまん)  実満は実証の人が腹部に膨満を感じたり、外部から腹部に
膨満が診られる状態をこう言います。
実満の症状は腹部に力強い弾力感と膨満感があり、
脈は力強く、大便は硬く、便秘の場合が多いです。
実満は陽明病期に見られ、用いられる漢方処方は
大承気湯、小承気湯などの承気湯類、防風通聖散、
厚朴七物湯などが用いられます。

参考・・・実満の反対は虚満です。 
疾(脈)
(しつみゃく) 
疾脈は数脈より少し頻脈で心拍数が多い脈を言います。
疾脈の場合は病邪に勢いがあり、病邪の進行が早い事を
示しており注意が必要です。

疾脈に力強さが診られれば実熱の場合が多く、力強さが
余り感じられなければ虚熱の場合が多いです。 
実(脈)
(じつみゃく) 
実脈は寸口、関上、尺中などを触れたら脈に力があり、
強く押しても、弱く押しても脈に抵抗感、力強さを
感じる脈を言います。
この脈は太陽病、少陽病、陽明病の陽証病期に
見られます。

参考・・・実脈の反対は虚脈です。 
瀉火(しゃか)  瀉火は体内の過剰な熱を取り除く事をこう言います。

瀉火に用いられる生薬は黄連、石膏、黄柏などがあり、
これらが配合された漢方処方は黄連解毒湯、温清飲、
三黄瀉心湯、竜胆瀉肝湯などがあります。 
邪気(じゃき)  邪気は「風邪」、「寒邪」、「暑邪」、「湿邪」、
「火邪」、「燥邪」、「疫癘」の7種類を総じて
こう言います。

邪気は外因に属します。

参考・・・人間が持つ正気、精気が邪気と闘っています。 
積聚
(しゃくじゅ) 
積聚には2種類の意味があります。

①積聚は疲労、ストレスなどによる胃痛、胃ケイレン、
腹部の痛みやケイレンなどの症状をこう言います。

②積聚は癇癪(かんしゃく)のようなちょっとした事に
イライラしたり、烈火のごとく怒る状態をこう言います。

積聚は気の流れの乱れが原因で起こります。 
尺(脈)
(しゃくみゃく) 
尺脈は手首関節部分にある寸口脈に手を当て脈診を取る
ときに薬指を置き脈を取る場所をこう言います。

参考・・・尺脉の他に関脈、寸脈があります。 
弱(脈)
(じゃくみゃく) 
弱脈は沈脈より細くて判りにくい脈で軽く触れると
余り判らず、強く触れると脈を感じる脈を言います。

弱脈は陽気が不足した虚証によく診られる脈です。 
尺中
(しゃくちゅう) 
尺中は手首関節部分にある寸口脈に手を当て脈診を取る
ときに人差し指を置く場所を寸口と呼び、中指を置く場所を
関上と呼び、指を置く場所を尺中と呼びます。

寸口、関上、尺中を略して寸関尺と呼びます。 
瀉下(しゃげ)  瀉下は腸の内容物を緩下剤、峻下剤を用いて体外に出し
下ろす事を言います。

瀉下に用いられる生薬は決明子、重薬、センナ、大黄、
芒硝などが挙げられます。 
瀉下剤
(しゃげざい) 
瀉下剤は腸の内容物を薬の力で軟らかくしたり、
腸内運動を調節する効果のある薬物を言います。

瀉下剤には効用がマイルドな緩下剤、効用がハードな
峻下剤があります。 
瀉下法
(しゃげほう) 
瀉下法は病邪の進行がやや進んだ状態、つまり陽明病期
の治療方法として瀉下剤を用いて治療する方法を
言います。

瀉下法でよく用いられる生薬は大黄をよく用い、
漢方処方では大黄が配合された大承気湯、小承気湯
などの承気湯類や瀉心湯類を用います。

参考・・・瀉下法の他に吐法、汗法があり、これらを
総じて汗吐下法と呼び、
汗吐下法に和法、温法を加えて汗吐下和温法と呼んだり、
汗吐下和温法に清法、消法、補法を加えた
汗吐下和清温消補法があります。

瀉下法は別名で攻下法・下法とも呼ばれます。

汗吐下和清温消補法を簡単に書けばこのように
表現が出来ます。
「汗法は発汗剤を用いて病邪を追い出す。」
「吐法は催吐剤を用いて病邪を吐かせる。」
「下法は瀉下剤を用いて病邪を下す。」、
「和法は中和剤を用いて体内の病邪を中和する。」
「清法は清熱剤を用いて体内の熱を清める。」
「温法は温補剤を用いて弱った身体を温める。」
「消法は消導剤を用いて食滞を消します。」
「補法は補益剤を用いて免疫力を高めます。」 
瀉下薬
(しゃげやく) 
瀉下薬は腸の内容物を薬の力で軟らかくしたり、
腸内運動を調節する効果のある薬物を言います。

瀉下薬には効用がマイルドな緩下剤、効用がハードな
峻下剤があります。 
瀉剤(しゃざい)  瀉剤は体内に進行した外邪を体外に排出させる薬効の
ある生薬、漢方処方を瀉剤と言います。

瀉剤は主に発汗剤、瀉下剤、吐剤を指し、これらを
別名で攻撃剤とも言います。

参考・・・ 瀉剤の反対は補剤です。
瀉剤は体力がある時に病邪を体外に取り除くのが
目的ですが、補剤は低下した体力を回復させるのが
目的です。

難経 第六十九難に
「虚者補之。實者瀉之。不虚不實以經取之。」

「虚する者は補し、実する者は瀉し、虚にも実にも
属さない者は虚になっている場所を経で補いなさい。」
と記載されています。 
瀉心湯
(しゃしんとう) 
瀉心湯は黄連と黄ゴンの組み合わせた処方を「瀉心湯」
と言います。

瀉心湯と呼ばれる漢方処方は「半夏瀉心湯」、
「生姜瀉心湯」、「甘草瀉心湯」、「三黄瀉心湯」、
「黄連解毒湯」、「黄連阿膠湯」、「黄連湯」
等があります。

黄連と黄ゴンの組み合わせで消炎、解熱作用
があります。

余談・・・瀉心湯の「心」は心窩部を意味し、
心窩部(心下部)に「気」が蓄積し、蓄積した「気」が
「気の鬱滞」を起こし、「気の鬱滞」が原因で
「気の上衝」が起こり、それを瀉する、つまり下部に
出し下ろす漢方処方という意味があります。

余談・・・金匱要略では漢方処方の三黄瀉心湯を
略して瀉心湯と記載しています。 
瀉法(しゃほう)  瀉法は実証の人が病邪に犯された時の治療方法です。

瀉法で用いられる治療方法は主に発汗法、催吐法、
瀉下法を用います。 
砂淋(しゃりん)  砂淋は五淋の一つで、砂淋の症状は小便から砂状の石が
出る症状で排尿困難、尿量減少などの症状が診られます。

砂淋の原因として膀胱炎、前立腺炎、尿路結石、尿道炎
などが原因の排尿痛、排尿異常やカンジタ菌、淋菌、
ブドウ球菌、連鎖球菌などの菌が原因の場合が
あります。

砂淋に用いられる漢方処方は猪苓湯、清心蓮子飲、
竜胆瀉肝湯、八味丸、五淋散などが用いられます。

参考・・・砂淋は別名で沙淋とも言われます。
修治(しゅうじ) 修治は生薬の薬効を高めるため、生薬に含まれる毒を
除去するため、副作用の軽減のために行う加工方法を
こう言います。

代表的な生薬の加工方法ですが

炒める(炒る)・・・生薬を炒める(炒る)ことにより
成分の変化、毒性の減少などが期待できます。
(代表的な生薬・・・酸棗仁、麻子仁など)

寝かせる・・・生薬を寝かせることにより精油の揮発を
促したり、空気で酸化させて作用を弱めたり、
薬効成分の凝縮をさせたりします。 
(代表的な生薬・・・「陳皮と橘皮」、「枳実と枳穀」、
「呉茱萸」、「半夏」、「麻黄」、「狼毒(ろうどく)」
などの六陳)

焼く・・・生薬を焼くことにより無毒化を促します。
(代表的な生薬・・・牡蛎)

陰干し・・・生薬を紫外線から避けて、日陰干しをする
ことにより薬効を高めます。
(代表的な生薬・・・麻黄など)

蒸す、熟す・・・生薬をお酒に浸けたり、お酒と一緒に
熱で蒸したりすることによりお腹を下す作用を弱めたり、
薬効を高めます。
(代表的な生薬・・・地黄、大黄など)

潰す・・・生薬を薬研などで潰して使用します。
(代表的な生薬・・・釣藤鈎など)

余談・・・・附子(トリカブト)は塩水に浸した後、
熱処理をして毒を弱めます。
他に日本では生姜を湯通し又は蒸して乾燥させた生姜を
「乾姜」と言います。 
渋(脈)
(しゅうみゃく) 
渋脈は血液の流れが円滑でない状態つまりドロドロ
血液状態で、脈に停滞感が感じられる脈を言います。

渋脈は虚証に診られる脈です。

参考・・・渋脈は別名でしょく脈とも呼ばれます。
※しょくは(さんずい+嗇)

渋脈、しょく(脈)の反対は滑脈です。 
宿穀(しゅくこく)  宿穀は飲食物が胃腸で消化せずに留まり、
食毒や水毒になって停滞している状態を言います。

宿穀では食滞の症状が診られます。

参考・・・宿穀の別名は宿食と言います。 
宿食(しゅくしょく)  宿食は飲食物が胃腸で消化せずに留まり、
食毒や水毒になって停滞している状態を言います。

宿食では食滞の症状が診られます。

参考・・・宿食の別名は宿穀と言います。 
朱震亨
(しゅしんこう)
朱丹渓
(しゅたんけい) 
朱震亨(1281年生まれ~1358年没)
朱震亨は金元四大家の最後の一人で幼き頃に父親を
亡くし母と子で質素に暮らしており、将来は進士となり
母親孝行をしようと勉学に励んでいました。

朱震亨30歳の時に母親の胃の病気を医師が治療
出来なかった事を悔やみ、自分で医学書(素問)を
5年間かけて読破し見事母親の病気を完治させました。
(余談・・・朱震亨は父親、弟、叔父などを別の
ヤブ医者にて失っています。)
のちに朱震亨は進士になるのを諦め医学の道に進む事を
決意します。

彼が医師を目指した時代は「和剤局方」が主流であり、
彼も「和剤局方」を学んだが「和剤局方」では今の病
には太刀打ちが出来ず、やはり自分が最初に学んだ
「素問」に活路があると思い、諸侯を旅する事を
決意します。
やがて劉完素の弟子で「内経」「、「難経」、張従正、
李東垣、王好古の説に詳しい羅知悌に出会い、
彼に学び金元医学の集大成を完成させました。

朱震亨は劉完素・張子和・李東垣らの説から長所を
採用し短所を補い、やがて彼独自の説である滋陰降火
(体内の火は水を補って火を降だすという考え方)
を唱えました。
体内の熱は体内水分が不足するから生じるのであり、
体内に水を補うことによって熱を冷ますと言うのが
滋陰降火(養陰派)の発想であります。

彼は四人の中では一番多く書物を書き記しており、
その中で代表的な書物は「格致余論」、「丹渓心法」、
「局法発揮」、「傷寒(論)弁(疑)」、
「本草衍義補遺」などがあります。

余談・・・朱震亨は本名ですが彼の先祖が丹渓と
呼ばれる所に住んでいたので門人は朱丹渓と
呼びました。
又日本では彼の考えを学ぶ為「丹渓学社」
が作られました。 
朱丹渓
(しゅたんけい) 
朱震亨
(しゅしんこう)
朱丹渓(1281年生まれ~1358年没)
朱丹渓は金元四大家の最後の一人で幼き頃に父親を
亡くし母と子で質素に暮らしており、将来は進士となり
母親孝行をしようと勉学に励んでいました。

朱丹渓30歳の時に母親の胃の病気を医師が治療
出来なかった事を悔やみ、自分で医学書(素問)を
5年間かけて読破し見事母親の病気を完治させました。
(余談・・・朱丹渓は父親、弟、叔父などを別の
ヤブ医者にて失っています。)
のちに朱丹渓は進士になるのを諦め医学の道に進む事を
決意します。

彼が医師を目指した時代は「和剤局方」が主流であり、
彼も「和剤局方」を学んだが「和剤局方」では今の病
には太刀打ちが出来ず、やはり自分が最初に学んだ
「素問」に活路があると思い、諸侯を旅する事を
決意します。
やがて劉完素の弟子で「内経」「、「難経」、張従正、
李東垣、王好古の説に詳しい羅知悌に出会い、
彼に学び金元医学の集大成を完成させました。

朱丹渓は劉完素・張子和・李東垣らの説から長所を
採用し短所を補い、やがて彼独自の説である滋陰降火
(体内の火は水を補って火を降だすという考え方)
を唱えました。
体内の熱は体内水分が不足するから生じるのであり、
体内に水を補うことによって熱を冷ますと言うのが
滋陰降火(養陰派)の発想であります。

彼は四人の中では一番多く書物を書き記しており、
その中で代表的な書物は「格致余論」、「丹渓心法」、
「局法発揮」、「傷寒(論)弁(疑)」、
「本草衍義補遺」などがあります。

余談・・・朱丹渓の本名は朱震亨と言い、
彼の先祖が丹渓と呼ばれる所に住んでいたので
門人は朱丹渓と呼びました。
又日本では彼の考えを学ぶ為「丹渓学社」
が作られました。  
腫脹(しゅちょう)  腫脹は炎症が原因で身体全体や身体のある部分が
腫れ上がることをこう言います。 
手痺(しゅひ)  手痺は手のしびれをこう言います。
手痺の症状はリュウマチ、五十肩、関節痛、肩こり
などが手痺の症状になります。 
主薬(しゅやく)  主薬はその漢方処方の主となる生薬をこう呼びます。

参考・・・漢方処方は主薬の他に補佐薬にて
構成されています。 
淳于意
(じゅんうい) 
淳于意(紀元前215年生まれ~没年不明)
淳于意(別名 倉公)は「史記・扁鵲倉公列伝」
によれば、斉の生まれで元々は太倉の長
(蔵にある穀物を管理する役職)であったが、
この職を辞して医師と也黄帝や扁鵲が書き記した書物
(主に脈書)を学び、ある病人の死期を言い当てたり、
その人が苦しんでいる病名を判断し治療に当たりして
「史記」に名を残すほどに名医になりました。

「史記・扁鵲倉公列伝」には淳于意の治療例が
約25例ほど記録されており、彼が世界で最初のカルテを
残した人物としても有名です。

彼のカルテには必ず脈を診ており、その脉診にて
この薬を使うとかここにお灸を据えるとかが
書かれています。

余談・・・淳于意はある日罪を犯し、肉刑に処せられる
所を自分の娘が皇帝に助けを求め、罪を許される場面が
書かれており、その時に淳于意は自分が過去に治療した
例が書かれたカルテを皇帝に献上しています。 
峻下剤
(しゅんげざい) 
峻下剤は胃、小腸、大腸に作用して大便を排泄させる
生薬、薬草を指します。

峻下剤は緩下剤より効用が強い生薬、薬草を言います。
薬草ではセンナ、大黄が、鉱物では芒硝が峻下剤
と言われます。

参考・・・峻下剤は胃、小腸に影響を与えるので
栄養吸収を妨げ、体力低下の原因になる場合
があります。

参考・・・上記で峻下剤に挙げられる大黄には
下痢効果を起こす成分としてセンノサイド、
アントラキノンが含まれておりますが大黄には
下痢を止める成分としてタンニン、レインも
含まれており、便秘の時に大黄を服用すると下痢を
促す作用が働きます。
下痢の時に服用すると下痢を止める作用が働きます。 
潤燥(じゅんそう)  潤燥は体内、体外の乾燥した部分に潤いを与えて
乾燥状態を改善する事をこう言います。 
証(しょう)  証には患者がどの漢方処方が合うかの「適応証」
の意味と、病人の体質、体格、体調を表現した
「体証」の2種類の意味があります。

まず漢方処方の適応証の意味は、病気診断の段階で
その人がどんな症状を訴えているかにより「***湯、
***散、***丸の証である。」と表現します。
病気診断時の証は病邪の進行度合いにより漢方処方
も変えています。
例えば
傷寒に感染→悪寒、発熱、関節痛などの症状・・・
麻黄湯の証

傷寒が停滞→口苦、往来寒熱、白舌などの症状・・
小柴胡湯の証

傷寒より回復→倦怠感、回復促進期の症状・・・・
補中益気湯の証

小便不利、口渇、嘔吐の症状・・・五苓散の証

のぼせ、生理不順、オ血の症状・・・桂枝茯苓丸の証
などと表現されます。

次に病人の体質、体格、体調を表した証とは、
同じ病気の人でもがっちりタイプと、痩せ型タイプ
では表現方法が変わります。

がっちりタイプは陽証、実証、表証と表現されます。
痩せ型タイプは陰証、虚証、裏証と表現されます。
(例)発熱・・・がっちりタイプ(陽証、実証、表証)
は麻黄湯など

痩せ型タイプ(陰証、虚証、裏証は四君子湯など

(例)胃痛・・・がっちりタイプ(陽証、実証、表証)
は大柴胡湯など

痩せ型タイプ(陰証、虚証、裏証)は小建中湯など
などと表現されます。

他に腹証、舌証、脈証、主証、客証など色々あります。 
少陰病
(しょういんびょう) 
傷寒論 少陰病の定義・・・
「少陰之為病、脈微細、但欲寐也。」

少陰病は病邪が体内深く進行し、病邪に抵抗できる
体力の無く、傷寒論の少陰病の定義のように、
脈は微細で起きたり、動いたりする体力が無い
ので横になっていたいと言う状態です。

少陰病には表寒の場合と裏寒の場合があります。
表寒の少陰病の症状は身体痛、悪寒、頭痛、関節痛、
咽頭痛、身体の冷え等が診られます。
表寒の少陰病に用いる漢方処方は麻黄附子甘草湯、
麻黄附子細辛湯を用います。

裏寒の少陰病の症状は小便自利、便秘、下痢、
腹痛、心煩等が診られます。
裏寒の少陰病に用いる漢方処方は真武湯、四逆湯、
大黄附子湯を用います。

病邪の進行状況を示す山陽三陰は傷寒論では
次のように移行すると記載されています。
太陽病⇒陽明病⇒少陽病⇒太陰病⇒少陰病⇒厥陰病

しかし、病邪の進行を示す山陽三陰の陽明病と
少陽病を入れ替える説を唱える漢方医もいます。
陽明病と少陽病を入れ替えるとこのようになります。
太陽病⇒少陽病⇒陽明病⇒太陰病⇒少陰病⇒厥陰病

(※私のHPは太陽病⇒少陽病⇒陽明病⇒太陰病⇒
少陰病⇒厥陰病にて構成しています。) 
消渇
(しょうかつ) 
消渇は喉が渇いて水を欲しがり、水を大量に服用するが
小便の量が少ない症状をこう言います。
消渇の症状は糖尿病の症状に診られます。

余談・・・消渇の症状が糖尿病の患者に診られるので
後世では消渇を糖尿病と呼ぶようになりました。 
   
   
   
   
   
   
   
す行  
名称 解説 
   
  せ行
 名称 解説 
   
   そ行
名称  解説 




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