茴香ーういきょうーウイキョウ | |
基原植物和名 | |
茴香、ういきょう、ウイキョウ フェンネル |
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生薬名 | |
小茴香、しょうういきょう、ショウウイキョウ フェンネル |
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基原植物学名(ラテン語名) | |
Foeniculi Fructus | |
生薬英語名 | |
Fennel | |
植物英語名 | |
Foeniculum vulgare Miller | |
分布 | |
茴香(ういきょう)はウイキョウ属ーせり科に属する植物で南ヨーロッパの 地中海沿岸地方から西アジアが原産地と言われ、日本には平安時代に 中国から渡来し、現在は北海道、長野、鳥取などで栽培されている 多年草の植物です。 茴香の名前の由来は料理から嫌な匂いを消し去り、香りを回復させる 薬草と言う意味で茴香と言います。 ヨーロッパでは茴香を「Fennel(フェンネル)」と言い、 日本でも英語名で呼びます。 茴香は日本薬局方に記載されています。 茴香は人類史上最も古くから用いられてきた植物で、 古代アングロ・サクソン人は茴香を服用すると黄疸、鼓腸、シャックリ、緩下 などに効果があるとして服用していました。 他に古代ギリシャ人のヒポクラテスは産後の婦人の母乳分泌を増加させる ためや、蛇や狂犬に噛まれた傷の消毒のために用いたと言われます。 古代ギリシャ人と茴香の関係で有名な話は「マラトンの戦い」です。 ギリシャ軍とペルシャ軍が戦ったマラトンは一面に茴香の花が咲いていた と言われ、古代ギリシャ語で茴香を「マラトン」と言います。 ついでに書きますとマラトンの戦いの後に伝令がマラトンからアテネの間の 40キロを走って勝利を報告後に息絶えたと言われ、 後の第1回オリンピック大会で、アテネからマラトンの間でマラソン が行われました。 茴香はハーブティーとして飲まれますが西洋料理では魚料理、肉料理や ピクルスの香りつけに用いられ、他にリキュール酒や酒類などのかおりつけ、 インドではカレーの香辛料に用いられ、中国では五香粉の原料に使われます。 五香粉は「桂皮」、「丁子」、「大茴香」、「茴香」、「花椒」が原材料です。 江戸時代初期に宮崎安貞が書いた「農業全書」の 「生類養法・薬種之類」によると 「ういきやうハ、屋敷内なと肥地をゑらび作るべし。やせ地によからぬ物なり。 蒔置苗にして、菜をうゆるごとく、間を二尺ばかりに、広くうゆべし。 うへ付にするもよし。其年ハいまだ子少し。尤見合せ糞を用ひてよし。」 と書かれています。 茴香は漢方薬の安中散に配合されており、他に太田胃散や仁丹などに 配合されています。 茴香の花言葉は「強い意志」、「称賛に値する」です。 茴香は別名で「小茴香」と言い、他に「大茴香」と言われる生薬もあります。 大茴香は「唐樒(トウシキミ)」の果実で、海にいるヒトデのような形を しています。 唐樒の果実を乾燥させたものが「大茴香(ダイウイキョウ)」と言い、 別名で「スターアニス」、「八角茴香」と言われます。 スターアニスも香辛料として中華料理やカレーなどに用いられます。 |
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特徴・形態 | |
茴香の特徴として草丈は1、5メートルから2メートルほどで茎は叢生して 直立し、茎の上部で分枝します。 茎の形は円柱形で茎は柔らかく、色は緑色です。 葉は互生しており、葉は3回~4回羽状複葉で、葉は細い線状に 分裂します。 小葉は細長い糸状になります。 花は6月から8月の夏に咲きます。花は大形の複散形花序を頂生し 黄色の小さな花を多数つけます。 花弁は5枚でやや内側に巻き込んでいます。 果実は双懸果で、縦長の2個の果実がくっついており、 普通に見ると1個の種子と勘違いします。 果実の形は卵状楕円形で果実の長さは約5ミリから10ミリ、 幅は約2ミリほどで背面に5本の隆起線があり、この隆起線の中に 精油が含まれています。 この精油によって果実から特有の芳香を感じます。 (茎や葉にも香りがありますが、果実が特に香りが強いです。) 芳香性の他に噛むとかすかに苦味と甘味を感じます。 他のセリ科の植物にも精油を含んだ植物が多々あります。 果実は完熟すると隆起線が黄色になります。その時期が種子の 採取時期です。 |
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成分 | |
茴香の果実に含まれる成分として揮発性がある精油成分のアネトール、 フェンコン、アニスアルデヒド、ピネン、ジペンテン、リモネン、 エストラゴールや脂肪油のプロトセリニン酸やペクチン、ビタミンA などが含まれています。 茴香に含まれる精油成分には抗痙攣作用、殺菌作用があります。 |
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使用部位 | |
茴香の果実(生薬名 茴香、ういきょう、ウイキョウ) (日本薬局方) |
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採取時期と管理・保存方法 | |
茴香の採取時期として9月頃に果実が黄色く熟する前の緑色が残っている 果穂を採取して日干し乾燥を行い、果穂から果実だけを採取します。 |
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薬効、服用方法 | |
茴香は日本薬局方によるとウイキョウ粉末を芳香健胃薬として 配合剤(胃腸薬)の原料とする。 漢方処方薬でもあり、健胃消化薬、鎮痛鎮痙薬とみなされる処方に 少数例配合されています。 茴香を服用すると芳香性健胃整腸剤として冷えが原因の胃痛、腹痛、 胸やけ、食欲不振、胃や腸にガスが溜まって苦しい、去痰、疝気などの 症状の緩和作用があります。 茴香油は矯味、香味料などに使われます。 茴香を煎じる場合は 茴香約3グラムから5グラムを水600ccから800ccの中に入れて 弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、 1日数回に分けて服用します。 (味が苦手な方は蜂蜜や甘味料などで甘味をつけても結構です。) 茴香と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて 服用しても良いです。 茴香の粉末を服用する場合 茴香の粉末を1回1グラムから2グラム(小さじ1/2杯から1杯)を 目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。 (小さじ半分ぐらいが約1グラムです。) 茴香の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに 混ぜて服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて料理に使用されても結構です。 「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合は オブラードに包んで服用しても結構です。 |
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生薬との組み合わせ | |
桔梗+甘草⇒桔梗と甘草を組み合わせることにより咽頭、呼吸器にある炎症や膿、 痛みなど治療して咳嗽、粘っこい痰、切れの悪い痰、痛みなどの症状を鎮めます。 (例⇒桔梗湯、荊芥連翹湯、桔梗解毒湯、排膿湯、清肺湯、参蘇飲、清上防風湯など) 桔梗+貝母⇒桔梗と貝母を組み合わせることにより呼吸器内部にある慢性化した 炎症が原因の粘り気のある痰、激しい咳嗽などの症状を改善します。 (例⇒清肺湯、桔梗白散など) 桔梗+枳実⇒桔梗と枳実を組み合わせることにより呼吸器に溜まっている 粘っこい痰を体外に出し、粘っこい痰が原因の痰が絡んだ咳、 切れにくい痰などの症状を改善します。 (例⇒清上防風湯、参蘇飲など) |
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茴香を含む漢方処方 | |
安中散 加減小柴胡湯 丁香柿蔕湯 補陰湯など他多数の漢方処方があります。 |
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参考資料 | |
「農業全書」ー「生類養法・薬種之類」 「ういきやうハ、屋敷内なと肥地をゑらび作るべし。やせ地によからぬ物なり。 蒔置苗にして、菜をうゆるごとく、間を二尺ばかりに、広くうゆべし。 うへ付にするもよし。其年ハいまだ子少し。尤見合せ糞を用ひてよし。」 |
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その他 | |
茴香は子宮刺激作用があるので妊娠中の大量服用はお勧めしておりません。 | |
注意事項 | |
①本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。 そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する 原因になることがあります。 ②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。 ③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、 食べたりしないようにご注意ください。 ④幼児の手の届かない所に保管してください。 ⑤他に容器に入れ替えないで下さい。 (誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
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参考文献 | |
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑 | |
茴香(ウイキョウ)の写真 | |
茴香(ウイキョウ)ー花 | 茴香(ウイキョウ)ー果実 |
茴香(ウイキョウ)ー粉末 | |
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