当帰 とうき トウキ
和名
当帰 とうき トウキ 日本当帰 にほんとうき ニホントウキ
生薬名
当帰 とうき トウキ
学名
日本当帰 Angelica acutiloba

北海当帰 Angelica acutiloba sugiyamae
分布
当帰(とうき)はシシウド属ーせり科の植物で日本では奈良県、和歌山県などの近畿地方から東北、北海道の北日本や
中国などで山地に自生していたり、薬用植物として栽培されたりする多年草の植物です。
当帰には日本の当帰や中国の当帰の他にアメリカトウキやヨーロッパトウキがあります

当帰は神農本草経ー中品(中薬)にも書かれており、神農本草経によると
一名乾帰。味甘温。生川谷。治咳逆上氣。温瘧寒熱洗洗在皮膚中。婦人漏下絶子。諸悪瘡瘍。金創。煮飲之。
と書かれています。

日本では江戸時代から明治時代に活躍した漢方医の浅田宗伯の著書「古方薬議」にも書かれています。
古方薬議・・・「味甘温。咳逆上気、婦人ノ漏下、心腹ノ諸痛ヲ主リ、腸胃、筋骨、皮膚ヲ潤シ、中ヲ温メ、痛ミヲ止ム。
と書かれています。

江戸前期に活躍した宮崎安貞が1697年に著作した日本最古の農書ー「農業全書」にも当帰が書かれています。

他に日本では日本最古の歴史書の日本書紀に推古19年(西暦611年)に推古天皇が兎田野(宇陀郡大宇陀町)に
薬猟(くすりがり)して、山野に薬草や鹿の若角を求めた記録があり、当帰や葛(葛根)を採取したかもしれません。

余談・・・日本で最初に漢方治療をおこなったと記載している歴史書も日本書紀で、19代天皇の允恭天皇が
允恭3年(西暦414年)9月に新羅より金波鎮漢紀武(こんはちんかんきむ)と言う医者を招聘し允恭天皇の病気を
治療したと書かれています。

当帰の名前の由来は「ある夫婦が嫁に子供ができないのは嫁のせいと言い、そのため嫁が実家に帰って当帰を服用して
体を温め、血液循環を調えて妊娠できる身体になってから旦那の元へ戻った」と言い伝えられており、当たるために帰る
ということから、当帰という生薬名がついたと言われます。

日本で採取出来る当帰と中国で採取できる当帰は外見と成分と香りが少し異なります。
中国産当帰を「唐当帰(カラトウキ)」と言い、唐当帰は四川省、甘粛省、雲南省などで採取できます。

日本では奈良県、和歌山県で採取した当帰を「大和当帰(ヤマトトウキ)」と言い、東北地方で採取した当帰を採取された
地方名で「南部当帰(ナンブトウキ)」、「岩手当帰(イワテトウキ)」、「仙台当帰(センダイトウキ)」と言い、滋賀県で採取された
当帰を「伊吹当帰(イブキトウキ)」と言います。

岩手当帰や南部当帰は別名で「深山当帰(ミヤマトウキ)」と言います。

日本で自生している当帰のなかで一番品質が良いのは「大和当帰(ヤマトトウキ)」、「大深当帰(オオブカトウキ)です。
北海当帰は主に北海道で栽培されており、大和当帰は奈良県吉野地方(大宇陀地方)や和歌山県などで栽培されています。

余談・・・セリ科の植物は漢方薬に配合される事が多い生薬です。
漢方薬に配合されるセリ科の植物・・・川キュウ、当帰、防風、独活、羌活、柴胡、茴香、白シ、藁本などです。

余談・・・江戸時代に世界で最初に全身麻酔による乳がん摘出手術を行った華岡青洲が作った麻酔薬を
「通仙散(つうせんさん)」、別名「麻沸散(まふつさん)」と言います。
通仙散は曼陀羅華(チョウセンアサガオ)、烏頭(ウズ)、当帰、センキュウ、ビャクシ、天南星(テンナンショウ)などの
色々な生薬を粉末にして、それを煎じてから服用します。

麻沸散は三国志で曹操や関羽の治療を行った医師、華佗(かだ)が考えた麻酔薬を指します。
麻沸散はどのような薬草が使用されていたかは不明です。
特徴・形態
当帰の特徴として草丈は60センチから1メートルぐらいで、茎は直立し、茎から分枝をして成長します。
茎の色は赤紫色でこの色は日本当帰だけに見られる特徴で、中国当帰や深山当帰、北海当帰には見られないです。

北海当帰の茎の色は淡い緑色です。香りも北海当帰は日本当帰と異なります。

葉は2回3裂複葉で互生し、小葉は皮針形又は卵状皮針形で葉の先は鋭尖頭で、葉の縁は鋭鋸歯縁です。
葉は厚みがあって深緑色で艶があります。
根付近でできる葉は長い柄があるが、茎付近で出来る葉は柄が短く、下が長いさやになっています。
葉はセリ科の植物ですので、セリの葉に似ています。


当帰の花の開花時期は8月から9月頃で、枝先に複散形花序に白色の小さな花を傘のような形で多数咲かせます。
花は5枚の花びらで、花びらは内側に曲がり、5本の雄しべと1本の雌しべがあります。

薬用として用いる主根は太くて大きくて短いです。
主根の周りにある細い側根は紡錘形のように多数分枝して成長します。
根の長さは10センチから30センチぐらいで外色は暗褐色または赤みを帯びた褐色で、内面は黄色味を帯びた褐色です。

当帰の根や茎葉などの全体から独特の臭気がします。
成分
当帰に含まれる成分は根茎に精油成分のリグスチライド、サフロールなどやフロクマリン類のベルガプテンやポリアセチレン類
のファルカリンジオール、ファルカリノールなどが含まれています。

精油成分のリグスチライドには鎮痛、鎮静、鎮痙作用があり、ポリアセチレンには抗炎症、鎮痛作用があります。
使用部位
当帰の根(生薬名 当帰 とうき トウキ)
採取時期と管理・保存方法
当帰の採取時期ですが種まきをしてから3年から4年ほど経過した当帰を秋から晩秋の頃に土から根を掘り出してから
水洗いをしてから70度ぐらいのお湯に数分程度浸してから日陰干し乾燥します。
薬効、服用方法
当帰は日本薬局方によると主として漢方処方用薬であり、婦人病、冷え性用薬、保健強壮薬、精神神経用薬、尿路疾患用薬
とみなされる処方及びその他の処方に比較的高頻度で配合されている。。

また、配合剤(婦人用薬)の原料とされる。

他に当帰を服用すると末梢血管の拡張作用、血液の凝固を抑える作用、免疫力を高まる作用、造血作用、浄血作用、
鎮痛作用、鎮静作用、血行促進、順腸作用などがあり、貧血予防、月経不順解消、生理痛解消、腹痛解消、皮膚疾患改善作用、
肉芽形成促進作用などが期待できます。


当店が使用しております煎じる当帰は「日式当帰(大深当帰を中国大陸で栽培し採取した当帰)」、北海道産の「北海当帰」、
関西産の「大和当帰」があります。
当帰の粉末は「日式当帰の粉末(大深当帰を中国大陸で栽培し採取した当帰)」、「北海道産の「北海当帰の粉末」、
関西産の「大和当帰の粉末」がございます。

当帰を煎じる場合は
当帰約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

当帰と他の薬草(ヨクイニン、艾葉、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。

当帰の粉末の場合は
当帰の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

当帰の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに混ぜて服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて
料理に使用されても結構です。

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
当帰の入浴剤 
当帰を入浴剤として利用すれば身体をポカポカと暖めて冷え症予防、月経不順や生理痛などの婦人病疾患の改善、風邪予防、
血行促進による肩こり、腰痛、疲労回復に非常に効果があります。

当帰の入浴剤の作り方は
当帰約30グラムを布袋に入れます。(布袋は巾着袋でも、使い古した靴下でも、ストッキングでも構いません。)

布袋に入れた当帰を約1リットルぐらいの水と一緒にお鍋かやかんに入れ約15〜20分程煮出し、煮出し終われば布袋ごと
浴槽に入れて下さい。(入浴中に布袋を揉むと成分がよく出ます。)

当帰単独で入浴剤を作っても良いですがヨモギ、川キュウ、陳皮などを混ぜて入浴剤を作ればより高い効果を得ることが
出来ます。

薬草の入浴剤の注意点
@・・・お風呂から出る時には必ず薬草のエキスをシャワーで洗い流して下さい。
薬草のエキスが身体に付着したままにしておくと人によって症状がひどくなる場合があります。

A・・・当日使った薬草の湯は翌日には使用しないでください。
当日使った入浴剤は必ず入浴後に処分してください。

B・・・お風呂の残り湯を洗濯機で使用する場合は衣類に薬草の色が付着する場合がありますので注意してください。
  
当帰の薬用酒 
当帰を薬用酒として服用すると貧血予防、冷え性予防、生理不順の解消、生理痛の軽減などに効果があります。

当帰の薬用酒の作り方ですが
当帰・・・200グラム
氷砂糖・・・200グラム又はグラニュー糖200グラム
ホワイトリカー・・・1.8リットル
(他に色々な薬草を混ぜてミックス薬用酒を作っても良いです。)

これらの品を容器に入れて約3か月ほど直射日光の当たらない場所で熟成させます。

熟成させる時に出来るだけ空気に触れないようにしっかり密封して下さい。密閉できる容器を使用して下さい。
空気に触れると味が変わる恐れがあります。

30日に1回は中身を2回から3回程振って均等に成分が出るようにしてください。
人によっては味の好みが異なりますので、30日に1回は味見をしてお好みの味であれば薬草を引き上げても結構です。

3か月ほど熟成させたら木綿の布かコーヒー用の濾過紙で濾過しながら薬草を取り出し、杯1杯を目安に服用します。

飲みにくい場合は蜂蜜や水飴、砂糖で味を調えても結構です。
  
生薬の組み合わせ 
当帰+芍薬・・・当帰と芍薬を組み合わせることにより腹痛、腰痛などの痛みを軽減する作用があります。
(漢方処方・・・加味逍遙散、きゅう帰膠艾湯、荊芥連翹湯、牛膝散、五積散、五淋散、柴胡清肝湯、滋陰降火湯、滋陰至宝湯、
滋血潤腸湯、四物湯、十全大補湯、折衝飲、疎経活血湯、当帰飲子、当帰建中湯、当帰四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、
当帰芍薬散、人参養栄湯、八味逍遥散、防風通聖散、よく苡仁湯など)

当帰+川キュウ・・・当帰と川キュウを組み合わせることにより血液の流れを促進させて冷え性の改善、貧血予防、生理不順の
解消などの作用が期待できます。
(漢方処方・・・当帰芍薬散、四物湯、温経湯、温清飲、きゅう帰調血飲、 きゅう帰膠艾湯、荊芥連翹湯、五積散、柴胡清肝湯、
四物湯、十全大補湯、清上けん痛湯、折衝飲、疎経活血湯、当帰飲子、当帰散、当帰芍薬散、女神散、防風通聖散、抑肝散、
抑肝散加陳皮半夏など)

当帰+香附子・・・当帰と香附子を組み合わせると通経作用と月経痛軽減作用が期待できます。
(漢方処方・・・きゅう帰調血飲、五積散、滋陰至宝湯、女神散など)

当帰+黄耆・・・当帰と黄耆を組み合わせると貧血解消、造血、補血作用、潰瘍、腫瘍の治癒向上、皮膚疾患改善作用
などがあります。
(漢方処方・・・帰耆建中湯、帰脾湯、加味帰脾湯、十全大補湯、清暑益気湯、当帰飲子、当帰補血湯、補中益気湯など)

当帰+桃仁・・・当帰と桃仁を組み合わせることにより潤腸作用を促して、便秘解消が期待できます。
(漢方処方・・・牛膝散、滋血潤腸湯、潤腸湯など)
 
当帰を含む漢方処方
胃風湯

温経湯

温清飲

乙字湯

加味帰脾湯

加味逍遙散

加味逍遥散合四物湯

帰耆建中湯

帰脾湯

きゅう帰調血飲

キュウ帰調血飲第一加減

きゅう帰膠艾湯

荊芥連翹湯

牛膝散

五積散

五淋散

牛膝散

柴胡清肝湯

滋陰降火湯

滋陰至宝湯

紫根牡蛎湯

紫雲膏

滋陰至宝湯

滋陰降火湯

滋血潤腸湯

四物湯

消風散

七物降下湯

蛇床子湯

十全大補湯

逍遥散

秦ギョウ防風湯

潤腸湯

清暑益気湯

折衝飲

清肺湯

清暑益気湯

清肺湯

清上けん(※1)痛湯 (※1)けん=益+骨

千金鶏鳴散

疎経活血湯

蘇子降気湯

猪苓湯合四物湯

大防風湯

通導散

当帰芍薬散

当帰建中湯

当帰散

当帰湯

当帰飲子

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

当帰四逆湯

当帰貝母苦参丸

独活湯

女神散

人参養栄湯

八味逍遥散

防風通聖散

補中益気湯

よく苡仁湯

抑肝散

抑肝散加陳皮半夏

竜胆瀉肝湯など
参考資料
神農本草経ー中品
一名乾帰。味甘温。生川谷。治咳逆上氣。温瘧寒熱洗洗在皮膚中。婦人漏下絶子。諸悪瘡瘍。金創。煮飲之。

古方薬議
味甘温。咳逆上気、婦人ノ漏下、心腹ノ諸痛ヲ主リ、腸胃、筋骨、皮膚ヲ潤シ、中ヲ温メ、痛ミヲ止ム。
その他
当帰には便通を促す作用がありますので、平素から胃腸が弱い方が服用すると軟便や下痢便になる恐れがあります。
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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