冬瓜子ーとうがしートウガシ | |
基原植物和名 | |
冬瓜、とうがん、トウガン 鴨瓜、加茂瓜、氈瓜、かもうり、カモウリ |
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生薬名 | |
冬瓜子、とうがし、トウガシ 冬瓜仁、とうがにん、トウガニン 白瓜子、はくがし、ハクガシ |
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基原植物学名(ラテン語名) | |
Benincasae Semen | |
生薬英語名 | |
Benincasa Seed | |
植物英語名 | |
Benincasa cerifera Savi | |
分布 | |
冬瓜はうり科ートウガン属に属する植物で、原産地は東南アジアが原産地と言われ、 今はアジア、アメリカ、アフリカなどの世界中で栽培されているつる性の1年草植物です。 冬瓜が日本に渡来した時期は定かではありませんが約800年前には食されていた と思われます。 冬瓜にはカンピョウの原料のユウガオや奈良漬けの原料のシロウリや沖縄料理に用いられる ニガウリなどの仲間があります。 冬瓜は夏に出来る野菜です。名前に「冬」が付く夏野菜は冬瓜以外にありません。 冬瓜は冷暗所で保存すれば冬まで美味しく食する事ができるので、冬まで保存できる 瓜(冬瓜)と名づけられました。 冬瓜子は神農本草経の上品にも記載されており 「一名水芝。味甘平。生平澤。令人悦澤。好顏色。益気不飢。久服輕身耐老。」 と書かれています。 日本では平安時代に書かれた「本草和名」には「白冬瓜」、和名「加毛宇利」(かもうり)」 と書かれており、同じく平安時代に書かれた「和名抄」には「冬瓜、和名「加毛宇利」、 冬瓜は味甘く寒毒無く 、渇を止め、熱を除く」と書かれています。 時代が下って江戸元禄時代に宮崎安貞によって刊行された「農業全書」記載されております。 農業全書 3巻 菜之類 冬瓜 「 冬瓜うゆる法。灰に小便をうちしめし置て、是を泥とかきまぜ、地に厚くしき、 はば二尺 ばかりに筋を切間四五寸ほどに 一粒づつ蒔、たねの上にも又右の灰ごゑ を厚くおほひ、水をそそき置て、其後又水糞をそそくべし。乾く時ハ水をそゝきたるよし。 芽立灰をいただきて出るを見て、灰をもみくだき根のわきに覆ふべし。其後も糞水をそそき、 三月中旬苗ふとく成て移しうゆべし。 うゆる地の事。畦のはば五尺バかりに作り、又其間を四五尺をきて、穴を作り肥土を入置、 雨を見て一本づつ土をつけて、ほり取てうゆべし。灰糞を多く置、水ごゑハ度々そそくべし。 さてつるながく出るを、棚をかき引上をくべし。又地にははせたるもよし。是も柴などを立て 手をとらすべし。 凡黄瓜とかハる事なし。冬瓜ハふとく成たりとも未白き粉を生ぜざるをバとるべからず。 早くもぎたるハくさりやすし。霜下りてのちよく熟して、白粉のよく出たるハ春まで 置ても損ずる事なし。 塩味噌の類に漬、又ハ干瓢のごとくしても夕がほにをとらず、殊に性のよき物なり。 又切干にするはうすく切て灰にまぜて干バ、日よハき時もはやく干なり。に物あへまぜ等 に用て歯もろく昧よし。」と書かれています。 明治時代に活躍した折衷派の漢方医浅田宗伯が書いた古方薬議によると 古方薬議・・・・「味甘平。腹内結聚ヲ主リ、膿血ヲ破潰ス。最モ腸胃脾内壅ノ 要薬トナス。」と書かれています。 |
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特徴・形態 | |
冬瓜の特徴として冬瓜は雌雄同株の植物です。 茎は大きく細かい毛があり、茎の形は円形で5裂をしており横に長さ6メートルから 8メートルぐらい伸びていきます。 茎には2から3叉する巻ひげがあります。この巻ひげもそのまま伸びていきます。 葉は互生しており葉の形は広卵形または腎臓状卵形で葉の長さは5センチから 15センチほどあり、葉は掌状に5浅裂から7浅裂しており、葉の先は尖頭で細鋸歯縁です。 冬瓜の花期は5月から6月頃で花は葉腋に黄色の雄花と雌花を1個咲かせます。 冬瓜は蔓に沢山の花を付けますが、果実になるのはほんの僅かです。 花はがく片、花冠共に5個、5裂しております。 冬瓜の果実は30センチから60センチほどの大きさで果実の形は長円柱形または 楕円形です。 重さですが10キログラム以上の大きさになる果実もあります。 果皮は非常に硬く、果皮には初めに白い毛がありますが、だんだん抜け落ちて、 果皮からろう質を分泌します。 このろう質の白い粉は果皮からの水分蒸発を防ぐためにでる物質です。 果実に含まれる種子は長卵形で長さは約1センチから約1.5センチぐらいで幅は 約5ミリぐらい、色は淡い黄色をしています。 |
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成分 | |
冬瓜の果実に含まれる成分としてアデニン、トリゴネリン、ヒスチジンなどが 含まれております。 種子にはタンパク質、サポニン、アデニン、トリゴネリンなどが含まれています。 |
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使用部位 | |
冬瓜の種子(生薬名 冬瓜子 とうがし トウガシ) | |
採取時期と管理・保存方法 | |
冬瓜の種子の採取時期として8月から9月の夏の時期に果実から種子を取り出して水洗いを してから日干し乾燥をします。 |
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薬効、服用方法 | |
冬瓜子を服用すると消炎、利尿、鎮咳、瀉下、排膿作用があり、肺熱が原因の咳嗽や 痰、膿を取り除いたり、腸や腎臓、 膀胱等の炎症を取り除いて排膿、解熱や利尿を促す作用もあります。 冬瓜子を煎じる場合は 冬瓜子約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で 15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて 服用します。 冬瓜子と他の薬草(ヨクイニン、艾葉、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて 服用しても良いです。 冬瓜子の粉末の場合は 冬瓜子の粉末を1回量約1グラム~2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回 服用するか、お湯に混ぜて服用してください。 (小さじ半分ぐらいが約1グラムです。) 冬瓜子の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに 混ぜて服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて料理に使用されても結構です。 「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに 包んで服用しても結構です。 |
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生薬との組み合わせ | |
特になし | |
冬瓜子を含む漢方処方 | |
大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう ダイオウボタンピトウ) 腸癰湯(ちょうようとう チョウヨウトウ) 葦茎湯(いけいとう イケイトウ) 瞿麦湯(くばくとう クバクトウ) 騰竜湯(とうりゅうとう トウリュウトウ) など |
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参考資料 | |
神農本草経 「一名水芝。味甘平。生平澤。令人悦澤。好顏色。益気不飢。久服輕身耐老。」 古方薬議 「味甘平。腹内結聚ヲ主リ、膿血ヲ破潰ス。最モ腸胃脾内壅ノ要薬トナス。」 |
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その他 | |
特になし | |
注意事項 | |
①本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。 そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に なることがあります。 ②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。 ③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、 食べたりしないようにご注意ください。 ④幼児の手の届かない所に保管してください。 ⑤他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
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参考文献 | |
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑 | |
冬瓜(トウガン)の写真 | |
冬瓜(トウガン)ー花 | 冬瓜(トウガン)ー果実 |
冬瓜子(トウガシ)ー種子 | |
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