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薬用植物ー生薬ー薬草ー健康茶ー辛夷ーしんいーシンイについて。やなぎ堂薬局

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辛夷ーしんいーシンイ Magnolia Flower

辛夷ーしんいーシンイのご紹介

 辛夷ーしんいーシンイ
 基原植物和名
拳、辛夷、こぶし、コブシ 

やまあららぎ、ヤマアララギ 

こぶしはじかみ、コブシハジカミ 

いもうえばな、イモウエバナ
 
たむしば、タムシバ
 生薬名
辛夷、しんい、シンイ
基原植物学名(ラテン語名) 
Magnoliae Flos
生薬英語名 
Magnolia Flower
 植物英語名
コブシ・・・Magnolia kobushi De Candolle

タムシバ・・・Magnolia salicifolia Sieb. et Zucc.Maxim

紫木蓮(シモクレン)・・・Magnolia liliflora Desr

望春花(ボウシュンカ)・・・Magnolia fargessi Cheng
 分布
生薬の辛夷として使われる木蓮は望春花、白木蓮、木蓮(紫木蓮)、コブシ、タムシバ
などが辛夷として用いられます。
これらはモクレン属ーもくれん科の植物で、薬用部分は早春の頃に花蕾をつけます。
その花蕾を採取して風通しの良い日陰で干して乾燥させた物を薬用として用います。

生薬として使う辛夷には色々あり、日本では古来よりタムシバ、コブシの花蕾を
和辛夷と呼び、昔から用いていましたが、近年では中国よりボウシュンカ、
シモクレンハクモクレンなどのモクレン属に属する花蕾を辛夷と呼び、
これらの花蕾が輸入されて主流になっています。

辛夷は日本薬局方に記載されています。

辛夷はタムシバ、拳のように日本が原産の物と望春花、木蓮、紫木蓮のように
中国が原産で後に日本に渡来した物があります。

参考・・・日本原産のタムシバとコブシは元々中国には無い植物ですので
漢名はありません。

辛夷に使われる木蓮の別名を記載します。
望春花(ぼうしゅんか)・・・中国原産
白木蓮(はくもくれん)の別の呼び方は玉蘭(ぎょくらん)・・・中国原産
木蓮(もくれん)又は木蘭(もくらん)の別の呼び方は紫木蓮(しもくれん)、
もくれんげ・・・中国原産

辛夷、拳(こぶし)の別の呼び方はヤマアララギ、コブシハ、ヤマモクレン、
ヒキザクラ・・・日本原産
タムシバの別の呼び方は匂辛夷(ニオイコブシ)、噛柴(カムシバ)、
サトウシバ・・・日本原産

参考・・・昔から東北地方ではコブシの花が咲くと農作業を始める時期としており、
東北地方ではコブシの事を「田打ザクラ」や「種蒔ザクラ」と言います。
特徴・形態 
ここではタムシバの特徴を書かせていただきます。
タムシバの特徴として樹高は4メートルから8メートルほどの木で木の幹はやや大きく
直立しており、枝は分枝しています。
葉は互生しており長さは6センチ~12センチの大きさで、緑色の卵状皮針形で下面が白く、
葉を噛むと甘味と芳香があり、地方によってはカムシバ、サトウシバと呼ばれます。

花期は地方によって異なりますが3月の早春から5月に葉が出る前に花を咲かせます。
白色の6枚の花びらを咲かせ、花の香りがとても良く、地方によってはニオイコブシとも
言われます。

やがて袋のような物に包まれた果実が出来始めて(袋果)、その果実が熟すと袋が
裂けて赤い果実が出てきます。

薬用部分として早春の頃に開花していない蕾を採取して風通しの良い日陰で乾燥した
物を用います。

余談・・・3月8日の誕生花は「コブシ」で、花言葉は「友情」です。
ちなみに4月15日の誕生花は「モクレン」で、花言葉は「自然への愛」です。
成分 
辛夷(タムシバ)に含まれる成分としてシネオール、αーピネン、シトラール、
カンファー、サフロール、メチルオイゲノール、精油などを含んでおります。
使用部位 
開花前の花蕾の部分(生薬名 辛夷 こぶし コブシ)
日本薬局方
採取時期と管理・保存方法 
辛夷の採取時期は3月から4月の春先にコブシやモクレンの花が咲き始めます。
その花が咲く前の花蕾の時に花蕾を採取して、風通しの良い場所で日陰干しを行って
乾燥させます。
 薬効、服用方法
辛夷は日本薬局方によると漢方処方用薬である。

頭痛、鼻づまり、歯痛を治す目的で処方に配合されている。

他に辛夷には鎮静、鎮痛、消炎作用があり、頭痛、頭重、鼻炎、鼻づまり、
蓄膿症、鼻閉、濃い鼻水、眩暈などに効果があります。

辛夷を煎じる場合は
辛夷約3グラムから5グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で
15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて服用します。

辛夷と他の薬草(ドクダミ、艾葉、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて
服用しても良いです。

辛夷の粉末の場合は
辛夷の粉末を1回量約1グラム~2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回
服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

辛夷の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに混ぜて
服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて料理に使用されても結構です。

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに
包んで服用しても結構です。
生薬との組み合わせ 
特になし
辛夷を含む漢方処方 
辛夷清肺湯

葛根湯加川キュウ(※)辛夷 (※)キュウ=くさかんむり+弓

辛夷湯
など
参考資料 
神農本草経ー上品
「辛夷。一名辛矧。一名侯桃。一名房木。味辛温。生川谷。治五藏身體寒熱。
風頭腦痛。面。久服下氣。輕身明目。増年耐老。」
その他 
昔は辛夷と言えば日本産の和辛夷が主流で、頭痛、鼻炎、蓄膿症などの症状には
大変効き目がよく重宝していましたが、近年は生産量が流動的な点が欠点となり
市場では余り流通しておりません。
妊婦に対する辛夷の効能、効果について 
東洋医学ですは妊娠中の女性に対して投与する漢方薬や生薬については、長年研究されて確率しており、
2000年位前の時代に書かれた書物の「黄帝内経素問ー六元正紀大論」や金匱要略ー婦人妊娠病脉」や
「備急千金要方」などには妊娠中に投与してよい漢方薬や妊娠時の漢方薬の投与注意点について細かく
指示がされています。

指示の内容として
妊娠中の女性は原則として「虚証」と考えられる。
(体型、体質が「実証」ではないかと思われても「虚証」と考える。)

妊娠中は「虚証」と考えるので「実証」で用いる治療方法(汗法、瀉下法、小便の利(強い利尿剤)
これらを「胎前の三禁」と言う。「胎前の三禁」は妊娠中に用いてはならないと言われてきました。

「胎前の三禁」の「汗法」ですが
「汗法」は発汗作用がある「麻黄」が配合された漢方薬(葛根湯、麻黄湯、小青竜湯など)を
服用することをこう言います。

「胎前の三禁」の「瀉下法」ですが
「瀉下法」は大便の排泄を促す下剤成分を含んだ「大黄」や「芒硝」、「麻子仁」が配合された
漢方薬(茵陳蒿湯、大柴胡湯、大黄甘草湯、麻子仁丸、調胃承気湯、桃核承気湯など)を
服用することをこう言います。

「胎前の三禁」の「小便の利」ですが
「小便の利」は利尿作用のある「半夏」や「乾姜」、「附子」、「呉茱萸」、「ヨクイニン」、
「厚朴」などが 漢方薬を服用することをこう言います。

妊娠中に出来れば上記で述べた「胎前の三禁」は余り服用しないことをオススメします。

東洋医学では
①・・・妊娠中の女性が安心して服用出来、お腹の胎児にも良い作用のある漢方薬や生薬を
「安胎薬」と言います。

「安胎薬」と言われる漢方薬は「当帰芍薬散」、「当帰散」、「白朮散」などがあります。
(3種類共に金匱要略婦人妊娠病脈証に掲載されています。)

「安胎薬」と言われる生薬は木香、黄ゴン、杜仲樹皮、艾葉、人参、香附子、黄耆、白朮、白芍薬、
蘇梗(紫蘇の茎)、秦ギョウ、陳皮、冬虫夏草などです。

②妊娠中の女性には慎重に用いる生薬や漢方薬を「慎用薬」と言います。
「慎用薬」と言われる生薬は「乾姜」、「ヨクイニン」、「牡丹皮」、「附子」、「大黄」、
「五味子」、「呉茱萸」、「紅花」、「枳実」、「牛膝」、「酸棗仁」、「厚朴」、「桃仁」、
「薄荷」、「芒硝」、「半夏」、「麻子仁」などを指します。

上記で述べた妊娠中には慎重に用いる生薬を含む漢方薬は
「胃苓湯」、「茵陳蒿湯」、「温経湯、「黄連湯」、「乙字湯」、「葛根加朮附湯」、
「葛根湯加川キュウ辛夷」、加味帰脾湯」、「加味逍遙散」、「帰脾湯」、「キュウ帰調血飲」、
「九味檳榔湯」、「荊芥連翹湯」、「桂枝加芍薬大黄湯」、「桂枝加朮附湯」、桂枝加芍薬知母湯、
桂枝人参湯、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加ヨクイニン、五積散、牛車腎気丸、呉茱萸湯、柴陥湯、
柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、三黄瀉心湯、酸棗仁湯、
滋陰至宝湯、四逆散、炙甘草湯、芍薬甘草附子湯、潤腸湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗、石膏、
小青竜湯、小半夏加茯苓湯、辛夷清肺湯、参蘇散、神秘湯、真武湯、清上防風湯、清暑益気湯、
清肺湯、川キュウ茶調飲、疎経活血湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、腸癰湯、大建中湯、大柴胡湯、
大承気湯、大防風湯、竹茹温胆湯、治打撲一方、調胃承気湯、釣藤散、通導散、桃核承気湯、
当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬加附子湯、当帰湯、二朮湯、二陳湯、人参湯、人参養栄湯、
排膿散及湯、麦門冬湯、八味地黄丸、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、茯苓飲、
茯苓飲合半夏厚朴湯、平胃散、防風通聖散、麻黄附子細辛湯、麻杏ヨク甘湯、麻子仁丸、
よく苡仁湯、六君子湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓姜朮甘湯、六味丸など

③妊娠中の女性に絶対投与してはいけない生薬や漢方薬を「禁忌薬」と言います。
「禁忌薬」と言われる生薬は「蛤カイ」、「麝香」、「牛黄」、「海馬」などの動物生薬と
「芒硝」などの鉱物を言い、これらは早期流産や早期出産をもたらす作用があるので禁忌薬に
なります。

辛夷は慎用薬で、辛夷を含む漢方処方(辛夷清肺湯、葛根湯加川キュウ、辛夷など)
も慎用薬なので注意が必要です。
注意事項 
①本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。
そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に
なることがあります。

②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、
食べたりしないようにご注意ください。

④幼児の手の届かない所に保管してください。

⑤他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)                  
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参考文献 
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑 
辛夷(コブシ)の写真 
白木蓮(ハクモクレン)、玉蘭ー花蕾 木蓮(モクレン)、木蘭ー花蕾
白木蓮(ハクモクレン)、玉蘭ー花蕾
 
木蓮(モクレン)、木蘭ー花蕾
 
拳(コブシ)ー袋果、果枝 日本産和辛夷(タムシバ)ー花蕾
拳(コブシ)ー袋果、果枝
 
日本産和辛夷(タムシバ)ー花蕾
 
中国産木蓮(モクレン)、望春花ー花蕾   
中国産木蓮(モクレン)、望春花ー花蕾
 
 


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