山椒 さんしょう サンショウ 犬山椒 いぬさんしょう イヌサンショウ
和名
山椒 さんしょう サンショウ ハジカミ はじかみ 波士加美 波自加彌 

犬山椒 いぬざんしょう イヌザンショウ 
生薬名
蜀椒(しょくしょう ショクショウ)

花椒(かしょう カショウ)

崖椒(ガイショウ がいしょう) 青椒 秦椒 青花椒 川椒 漢椒 巴椒 椒紅
学名
Zanthoxylun piperitum
分布
山椒(さんしょう)はミカン科ーサンショウ属に属する植物で、北海道から九州の日本全国と朝鮮半島から
中国の山地に自生したり、民家で栽培されている事の多い落葉低木の雌雄異株植物です。

中国では山椒を「蜀椒(ショクショウ)と言い、中国の蜀州で採れる山椒が良品と言われていたので蜀椒と
言います。(ちなみに日本では但馬の国(兵庫県)の朝倉山に自生している「朝倉山椒」が有名です。

余談・・・生薬にはどこの地域で採取されたか、どのような加工、調整方法を行なったかで呼び名が異なります。
代表的な呼び名としまして

生(しょう)・・・新鮮な生薬で乾燥をしていない生薬を指す(例・・・生姜)

乾(かん)・・・乾燥した生薬で、生でない生薬を指す(例・・・乾姜)

生乾(しょうぼし)・・・生薬を加工しないで、そのまま乾燥したもの(例・・・乾地黄)

熟(じゅく)・・・生薬を加熱や煮沸などの加工をしたもの(例・・・熟地黄)

製(せい)・・・生薬を刻んだもの、加熱などの加工をしたもの

山(さん)・・・山地などの自生し、そこで採取したもの。場所は中国四川省産を指す

川(せん)・・・中国四川省産を指す。(例・・・川きゅう)

蜀(しょく)・・・中国四川省産を指す。(例・・・蜀椒)

土(ど)・・・中国で採取できるが、日本で採取したものを代用品をして使用する物を指す

胡(こ)・・・中国北西部の新疆地域やペルシャ、アラビア産を指す。

和(わ)・・・日本産の生薬で、中国産の代用品として使用する。

真(しん)・・・日本産の生薬で中国産と同等または近似の生薬を指す。

古渡(こわたり)・・・過去に輸入されたもので、品質が優れている生薬を指す。

肉(にく)・・・柔らかい肉質の生薬を指す。(例・・・竜眼肉)

霜(そう)・・・・・・生薬の黒焼きを指す。(例・・・土龍霜)

と呼びます。

他に山椒の種類として
「カホクザンショウ(花椒)」
「カラスザンショウ(烏山椒)(食茱萸 ショクシュユ)」
「フユザンショウ(冬山椒)(秦椒 シンショウ)」
「イヌザンショウ(犬山椒)(崖椒 ガイショウ)、青椒 秦椒 青花椒」
などがあります。

山椒は神農本草経中薬(中品)に記載されており、内容として
主風邪気、温中除寒痺、堅歯長髮、明目。久服軽身、好顏色、耐老増年、通神。生川谷。
と書かれています。

中国では花椒は混合香辛料の五香粉の原料に使われています。五香粉は「桂皮」、「丁子」、「大茴香」、
「茴香」、「花椒」が原材料です。

山椒は昔から日本人になじみ深い植物で縄文時代の土器にも山椒の種が付着していたそうで、 有史以前
から日本人に利用されていたようです。

古代日本について書かれた「魏志倭人伝」に山椒の名前が見られ、弥生時代には山椒が食されていた事が
判ります。

山椒の栽培は始まったのは明治時代からで、これ以前は野山で採取していたようです。

江戸時代後期に書かれた小野蘭山の「重訂本草網目啓蒙」によると
「野州日光山の産、辛味多くして優れり。いわゆる山椒皮なり。その実嫩熟ともに食用に供す。」
と書かれております。

江戸時代末期から明治時代に活躍した浅田宗伯著作の「古方薬議」によると
味辛温。中を温め、気を下し、チョウ(※1)結を破り、胃を開き、腹中冷えて傷むを主る。
と書かれています。(※1チョウ=ヤマイダレ+徴)

余談・・・山椒は別名で「椒(ハジカミ)」と言われますが、生姜もこう言われます。
しかし「ハジカミ」は一般的には山椒を指す言葉です。椒の意味は「辛い物」と言う意味で山に出来る辛い物
なのでこう言われます。

山椒と生姜が「ハジカミ」と呼ばれるかは不明です。多分両者に辛味成分が含まれているのでこう呼ばれる
のかも知れません。
英名では「Japanese Pepper」と言います。

中国から生姜が渡来してから「山椒は和のハジカミ、生姜は呉のハジカミ」と言われるようになりました。
他に呉茱萸は「唐椒(カラハジカミ)」と言います。
呉茱萸の果実は山椒によく似ているので「唐の国から来た山椒」と言う意味で「唐椒」と言います。

山椒の若芽や赤い未熟な果実は食用とされ、特に女山椒とよばれる雌株が珍重されます。

4月から5月に芽を出す山椒の若芽を「キノメ(木の芽)」と言い、吸い物、ちらし寿司などの色々な料理の
薬味に利用されます。

4月から5月に咲く花も「花山椒」と言い、吸い物、和え物、佃煮などにして食します。

黒くなる前の6月ごろの山椒の青い実を「青山椒(別名 実山椒)」と言い、これは最も香りと辛味が強く、
下ゆでと水にさらしてから昆布の佃煮料理、ちりめん山椒、焼き魚料理に利用されます。

秋になって山椒の実が熟して割れた皮を「割山椒」と言い、粉末にして食します。
秋に作られた山椒の粉を「新山椒」と言います。
割山椒はウナギ料理、どじょう料理には欠かせませんし、七味唐辛子にも含まれております

余談・・・ぬかみその中に山椒の果皮と果実を入れます。糠味噌は夏場に腐敗しやすいので山椒の果皮と
果実を一握り入れてかき混ぜると腐敗防止になります。これは山椒に含まれる辛味成分のサンショールに
防腐作用があります。

ことわざで「山椒は小粒でもぴりりと辛い」とあり、これは山椒が薬味として用いた果皮の辛さを
指しています。山椒の辛さはウナギやドジョウの味を一味引き立たせる薬味であります。

犬山椒もミカン科ーサンショウ属に属する植物で山椒によく似ています。

犬山椒の名前の由来で「犬」と名前のつく植物は本来の植物より薬効が劣る植物に「犬〇〇」と言う
名前が付けられます。犬山椒も山椒より薬効が劣るのでこう言われます。

他に「犬」がつく植物は「イヌサフラン」、「犬肉桂」、「犬薄荷」などがあります。

東洋医学では「温薬(温剤)」と「熱薬(熱剤)」があります。

温薬(温剤)は身体を温める生薬を言います。
温薬(温剤)と言われる生薬は桂枝(桂皮)、細辛、生姜、当帰、山椒、川キュウなどです。

熱薬(熱剤)は温薬より身体を温める作用が強い生薬を言います。
熱薬(熱剤)と言われる生薬は附子、烏頭、乾姜、良姜、呉茱萸などです。

余談・・・山椒を調べているときに「山椒」、「胡椒」、「唐椒」などに含まれる「椒」は「辛い物」の書きましたが、
ふと、「山椒魚(サンショウウオ)」になぜ「山椒」の文字が入るのか不思議に思い、図書館で調べましたら、
昔の人がサンショウオを食べたら、山椒の匂いがしたのでこう言われるとありました。
鮎や山椒魚は清流で水が綺麗な場所でしか生きられない生き物ですのでいい香りがするかもしれませんが、本当に
そのような匂いがするのかは不明です。
色々な本を調べてみると食通で有名な北大路魯山人はオオサンショウウオを食べたそうです。
山椒の香りがしたと書いていました。
(オオサンショウウオは特別天然記念物ですので絶対に食べないでください。罰せられます。)

サンショウウオの仲間のアカハライモリの皮膚からフグ毒と同じ「テトロドトキシン」が分泌されていますので
余り触らないでください。(人が死ぬ程の量は分泌されていません。)

食べたかどうかは知りませんが井伏鱒二先生の作品に「山椒魚」があります。
特徴・形態
山椒の特徴として雌雄異株で樹高は最大3メートルぐらいの木になり、山椒の木は硬いので昔は
「擂り粉木(すりこぎ)」に加工されました。

幹から多数の枝が分枝し、枝は沢山枝分かれをし、枝には葉の付け根に左右に1個づつの棘があります。

葉は互生し奇数羽状複葉で側小葉は5枚から10枚あり、葉の長さは10センチから15センチ、葉の幅は
1センチから2センチ程で小葉は小さく、形は長卵形又は長楕円形で先はわずかに窪み、ふちにギザギザの
鈍きょ歯があります。

葉にはよい香りがあり、葉を軽くたたいてから料理に用いられる機会が多いです。

4月から5月の春頃に葉腋に短い複総状花序を出して直径5ミリ程の黄緑色の小花を多数つけます。

秋ごろに表面がざらざらした丸みのある直径5ミリほどの果実をつくり、果実が熟すると裂開して黒色の
つやのある種子を出します。

薬や香辛料として用いられるのは果皮で果皮の外側は黄褐色か赤褐色をしており、窪んだ小さな点が多数
あります。果皮の内側は淡い黄色で独特の香りがあり、噛むと辛味を感じます。

犬山椒の特徴として外形や葉の形、果実などは山椒によく似ていますが、一番の違いは棘と葉の香りに
あります。

山椒の場合は棘が左右に1個づつ付いていますが、犬山椒の場合は左右互い違いに棘が付いています。

葉の香りも山椒に比べて見劣りします。山椒の葉のほうが香りは良いです。
(そのためか山椒の名前の頭に「犬」が付けられました。)

山椒の葉はアゲハ蝶の幼虫の餌になりますが、犬山椒の葉も同じくアゲハ蝶の幼虫の餌になります。
成分
山椒に含まれる成分としてシトロネラール、リモーネン、ジペンテン、フェランドレン、ゲラニオールなどの
精油成分とサンショウアミド、サンショールなどの辛味成分などがあり、サンショールは青山椒に最も多く
含まれており、サンショールには局所麻酔と同じ作用があるので青山椒をそのまま食すると舌が痺れます。

又、サンショールやサンショウアミドは大脳を刺激して内臓の働きを高める作用があります。

シトロネラール、ジペンテン、フェランドレンは芳香成分です。

犬山椒に含まれる成分は山椒に含まれる成分とは異なります。
犬山椒に含まれる成分として精油成分、エストラゴール、メチルチャビコール、アニスアルデヒド、ベルガプテン、
ヘスペリジン、アルカロイド、タンニンなどが含まれています。
使用部位
山椒の果皮(山椒実)

山椒の種子(椒目)

犬山椒の葉、果実(崖椒)
採取時期と管理・保存方法
山椒の採取時期は
若芽や花は4月から5月の時期に採取します。

青い実は6月ごろに採取します。

熟した果実は夏から秋に果皮と種子を採取して日干しをします。
薬効、服用方法
山椒は日本薬局方によると芳香苦味健胃薬として苦味チンキの原料とする。

粉末は配合剤(胃腸薬)として用いる。

漢方処方用薬であり、鎮痛鎮痙薬、駆虫薬とみなされる処方に少数例配合される。

他に山椒を服用すると芳香辛味健胃作用、整腸作用、消化不良、消炎、駆虫作用、食欲促進、冷え症改善、
腎臓病などに効果があります。

健胃剤、利尿剤として山椒の種子約5グラムから10グラムを水600cc800ccに入れて弱火で15分から20分
程煎じて1日数回温めて服用します。

夏場にぬかみそに山椒の果実(椒目)又は山椒の果実と果皮を一握り入れて混ぜると糠味噌の腐敗防止に
役立ちます。

犬山椒は鎮咳、鎮痛作用があり、犬山椒の葉は湿布薬として打撲や打ち身、捻挫、むち打ち症などに効果が
あり、犬山椒の果実は咳止めの効果があります。

昔の接骨医は犬山椒の葉を粉末にして卵白、少量の小麦粉を混ぜ合わせてそれを患部に貼り、患部の熱が
取れて硬くなれば取り替えてを何度も繰り返して打撲や打ち身、捻挫、むち打ち症などの症状の治療をして
おりました。
山椒、犬山椒を含む漢方処方
大建中湯(ダイケンチュウトウ)・・・金匱要略

烏梅丸(ウバイガン)・・・・傷寒論

当帰湯(トウキトウ)・・・・千金方

屠蘇散


楊柏散
参考資料
小野蘭山ー「重訂本草網目啓蒙」

「野州日光山の産、辛味多くして優れり。いわゆる山椒皮なり。その実嫩熟ともに食用に供す。」
その他
山椒を虚弱者に用いる場合は少量から始める事をお勧めします。

使う量が多ければ吐き気、胸やけなどの副作用が診られる場合があります。
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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