桜(ヤマザクラ) 
桜 花
桜皮 刻み
桜皮 おうひ オウヒ
和名
山桜 やまざくら ヤマザクラ  染井吉野 そめいよしの ソメイヨシノ
生薬名
桜皮 おうひ オウヒ
学名
山桜・・・Prunus jamasakura

染井吉野・・・Prunus yedoensis
分布
山桜(やまざくら)と染井吉野(そめいよしの)はサクラ属ーばら科に属する植物です。

ヤマザクラは関東より西の関西、中国、四国、九州および朝鮮半島に分布し、各地の山野などに生える落葉高木植物です。
山桜の意味ですが、単純に山に生える野生の桜なので「山桜」と言います。

山梨県、北杜市に樹齢1800年から2000年の山高神代桜(やまがたじんだいさくら)があり、岐阜県の淡墨桜、
福島県の三春滝桜と並ぶ日本三大桜の一つです。
山高神代桜は天然記念物第1号です。

奈良県吉野地方の桜は山桜を指し、吉野の山桜は樹齢500年を超える桜も多数存在します。
吉野山自体の桜の木が約3万本を超えると言われます。

吉野の山桜は歴史が古く、金峰山寺を開いた役小角がご神木の桜の木に蔵王権現を彫ったことから桜が信仰の
対象となり、行者たちは競って桜の苗を寄進をするようになりました。

平安時代末期の大歌人の西行は吉野山に幾度も登っており、吉野山や吉野山の花(特に桜)を題材に詠んだ
歌が多数あります。
西行が読んだ歌で「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」があり、この歌は非常に有名な
歌で、諸説ありますが桜が咲く旧暦(陰暦)の2月15日(釈迦が入寂した日)に自分も入寂したいとの願望を込めました。
ちなみに西行は2月16日に入寂しております。
余談ですが、西行は人造人間を作った過去があります。

余談・・・花札の3月は桜です。20点札(光)が「桜に幕」、5点札(短冊)が「桜に赤短」、1点札(カス)が「桜のカス」
です。
5点札の短冊には「みよしの」と書かれていますが、これは「美吉野」と言う意味で、昔から山桜の名所である吉野山を
指しております。

日本では旧暦の3月を「弥生」と言い、現在も新暦の3月を「弥生」と言います。
弥生の他に3月の呼び名で「桜月」、「花月」、「花見月」などの別名もあります。

山桜は万葉集にも記載されており、山桜を題材にした歌は万葉集に沢山載っています。
山桜を題材にした歌の一部ですが
去年之春 相有之君尓 戀尓手師 櫻花者 迎来良之母」・・・詠み人 若宮年魚麿
此花乃 一与能内尓 百種乃 言曽隠有 於保呂可尓為莫」・・・詠み人 藤原広嗣
櫻花 開哉散 及見 誰此 所見散行」・・・詠み人 柿本人麻呂
和我勢故我 布流伎可吉都能 佐久良婆奈 伊麻太敷布賣利 比等目見尓許祢」・・・詠み人 大伴家持
など和多数の歌が万葉集に載っています。

江戸時代の国学者の本居宣長も山桜を題材に歌を詠んでいます。
敷島の 大和心を人問はば 朝日に匂ふ 山桜花

余談・・・桜といえば花見ですが奈良時代は梅の花を鑑賞していました。万葉集では桜を題材に詠んだ歌の数より、
梅を題材に詠んだ歌の数のほうが多いです。

平安時代になると桓武天皇の息子の嵯峨天皇が京都の地主神社の桜の美しさに見惚れて何度も引き返して
鑑賞したエピソードが有ります。(御車返しの桜)
日本後紀によると嵯峨天皇が812年(弘仁3年)に神泉苑にてもよおした「花宴の説」が載っており、
これが記録にある日本最古の花見と言われます。

万葉集では梅を題材に詠んだ和歌が多かったですが、平安時代に編纂された古今和歌集では桜を題材に詠まれた
和歌が多くなっています。

京都御所には「左近の桜」、「右近の橘」があります。これは御所から見て右側に橘の樹、左側に桜の樹を
植えたものです。
京都御所の紫宸殿をモデルにした雛祭りの雛飾りも同様に「左近の桜」、「右近の橘」があります。

戦国時代には豊臣秀吉が1598年(慶長3年)3月15日に醍醐寺の三宝院で醍醐の花見と呼ばれる大規模なお花見を
行っています。

ことわざで「花は桜木、人は武士」と言うことわざがあり、「花の中では桜の花が一番美しく、武士は桜のように
ぱっと咲いて、ぱっと散るような死に際をするのが本望である。」と言う意味です。

山桜の花見の歴史は江戸時代中期頃に盛んになり、落語でも「貧乏花見」が演目にあるように昔から盛んに行われました。

ソメイヨシノは日本各地や海外などに観賞用に広く栽培される落葉高木植物です。

染井吉野は江戸時代に「オオシマザクラ」と「エドヒガン」が掛け合わさった桜と言われ、東京の染井に
住んでいた植木屋が吉野山の桜の名前を借りて染井吉野と名づけました。

染井吉野は他の桜とは異なり葉が出る前に花が咲く様子は他にサクラと異なり豪華絢爛さが見られます。

染井吉野は病害虫に侵されやすく樹木としての寿命は他にサクラと比べても短いのが欠点です。
(染井吉野が60年から70年ぐらい、ヤマザクラが200年ぐらい)

余談・・・「オオシマザクラ」の葉は桜餅を包む葉として使用されます。

エダヒガンは花が小さく、花が先に咲いてから葉が出ます。

オオシマザクラは花が大きく、葉が先に出てから花が咲きます。

薬用として使用する桜皮はヤマザクラの樹皮を薬用として利用する機会が多いです。

日本で一番最後に桜が開花する場所は北海道、稚内市です。
稚内市の標準木は「エゾヤマザクラ」です。

余談・・・植物は子孫を残すために花から蜜を出し、蜜を目当てに来た蜂や蝶の力を借りて受粉をして子孫を残します。
植物によっては蜜を出す器官が花だけでは無い植物が多々あります。

花以外から蜜を出す器官を「花外蜜腺」と言います。

ソメイヨシノは花以外に葉身基部か葉柄から蜜を出します。葉柄の基部から出る蜜は蟻が吸います。
ソメイヨシノの葉は蛾やイモムシなどの色々な昆虫に食べられやすい葉で、葉から蜜を出すことにより蟻が集まり、
他の昆虫を追い払ってくれます。

花から出る蜜は花粉を運んでくれる蝶や蜂を引きつけるために出し、葉などから出る蜜は蟻を引き寄せるために出します。

花外蜜腺を持っている植物は
「アカメガシワ」・・・葉に蜜腺がある。

「イタドリ」・・・葉身基部に蜜腺がある。

「ヘチマ」・・・葉腋の小さな葉の背面に蜜腺がある。

「サツマイモ」・・・葉身基部か葉柄に蜜腺がある。

「キササゲ」・・・葉柄の基部に蜜腺がある。
特徴・形態
山桜の特徴として桜の仲間では木の寿命が長く、樹高が他の桜より高く成長し樹高約20メートルぐらい、
幹は約1メートルぐらいに成長します。
幹の上部で枝分かれをし、枝分かれをした姿は逆円錐形のように見えます。
樹皮は紫褐色で若枝は無毛ですが翌年から横長に伸びた皮目が多数見られるようになります。

山桜は比較的成長の早く硬い部類に入る樹木ですので昔は桜の樹木を浮世絵の版木などに使用しました。

山桜は日当たりが良い場所を好み、日当たりの良い場所で生育します。

葉は単葉で互生します。若葉は赤みを帯びており、この赤みは花より強い場合があります。葉の形は倒卵形又は
長楕円形で葉の長さは5センチから10センチぐらいで幅は3センチから5センチぐらいになります。
葉の縁には鋭い鋸歯があり、一般的に山桜は単鋸歯が多いです。葉の先は尖鋭頭で葉の表面は表裏ともに無毛です。
山桜の葉柄には1対の腺点があり、この葉柄の蜜腺は山桜や染井吉野などのサクラの仲間によく見られる共通の特徴です。

花ですが3月から4月頃に前年の枝の葉腋に葉と同時に白色、あるいは淡紅白色の花が散房状に1個~5個咲きます。
花の直径は2センチから4センチぐらいで、花柄は約2センチぐらいで萼と花柄は無毛です。
花弁は5個で花には40本ほどの雄しべと1本の雌しべがあります。

花ですが花が長持ちするか、散り始めるかは花の中心部を見ればわかります。
咲いたばかりの花の中心部は白色で、多少の雨や風では散ることはありません。
花も昆虫などの力で受粉が完了すると花の中心部が赤色になります。
赤色になった花は散っていきます。

山桜は開花と同時に葉が出てきます。これが他の桜には見られない光景です。

果実は球形で花が散った5~6月に黒紫色に熟します。果実は直径1センチぐらいで横向き又は上向きに付くことが多いです。
ちなみにソメイヨシノはほとんど結実しません。

染井吉野の特徴ですが樹高は約7メートルぐらいで四方に枝を出します。
樹皮は灰色です。

葉は互生し葉の形は広い倒卵形で葉の先は鋭く尖り、葉のふちには鋸歯状に切れ込みがあります。

若い枝、葉の下面、葉柄、花柄、萼筒に毛があります。

染井吉野の花期は4月上旬頃で花が葉より先に散形状につき、淡紅色の花を咲かせます。
花は5弁でがく片は5枚で雄しべが多数あり、がくは短い筒形で下部がふくれています。

果実は球形で果実が熟すと紫黒色になります。
成分
ヤマザクラの樹皮に含まれる成分はフラボノイドのサクラニン、サクラネチン、ゲンカニン、グルコゲンカニン、ナリゲニンなどが
含まれています。


ソメイヨシノに含まれる成分は樹皮にフラボノイドのサクラニン、アグリコンのサクラネチン、樹脂などが含まれています。
使用部位
樹皮(生薬名 桜皮(おうひ オウヒ))
採取時期と管理・保存方法
桜皮の採取時期ですがヤマザクラの樹皮を6月から8月頃に剥ぎとってかた日干し乾燥します。
薬効、服用方法
桜皮を服用すると消炎、解毒、鎮咳剤として打ち身、捻挫、咳止め、湿疹、蕁麻疹の解消などの効能効果が
期待できます。

桜皮の服用方法として
桜皮約3グラムから5グラムを約600ccから800ccの水に入れて弱火で約15分から20分程煎じ、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

桜皮と他の薬草(重薬、ゲンノショウコ、ヨクイニンなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。

桜皮の粉末の場合は
粉末の桜皮を1日3グラムから6グラムを目安に水またはぬるま湯で服用するか、お湯に混ぜて
服用してください。(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
 桜皮の入浴剤
桜皮を入浴剤として利用すれば神経痛、リューマチ、打撲、捻挫、打ち身や肌の解熱などに非常に効果があります。

桜皮の入浴剤の作り方は
桜皮約30グラムを布袋に入れます。(布袋は巾着袋でも、使い古した靴下でも、ストッキングでも構いません。)

布袋に入れた桜皮を約1リットルぐらいの水と一緒にお鍋かやかんに入れ約15~20分程煮出し、煮出し終われば布袋ごと
浴槽に入れて下さい。(入浴中に布袋を揉むと成分がよく出ます。)

薬草の入浴剤の注意点
①・・・お風呂から出る時には必ず薬草のエキスをシャワーで洗い流して下さい。
薬草のエキスが身体に付着したままにしておくと人によって症状がひどくなる場合があります。

②・・・当日使った薬草の湯は翌日には使用しないでください。
当日使った入浴剤は必ず入浴後に処分してください。

③・・・お風呂の残り湯を洗濯機で使用する場合は衣類に薬草の色が付着する場合がありますので注意してください。
 
桜皮を含む漢方処方
十味敗毒湯

治打撲一方
参考資料
特に無し
その他
十味敗毒湯、治打撲一方には桜皮が含まれており、十味敗毒湯や治打撲一方は日本で作られた漢方薬です。
(桜皮が樸樕(ボクソク)に変わる場合もあります。)

漢方薬の本場は中国ですが、昔の中国には桜の木が無く、サクラの樹皮を漢方薬として利用する機会が
ありませんでした。

十味敗毒湯には桜皮を配合した十味敗毒湯と樸樕が配合された十味敗毒湯があります。
注意事項
①本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。
そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因になることがあります。

②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

④幼児の手の届かない所に保管してください。

⑤他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)
参考文献
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑
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