遠志ーおんじーオンジ | |
基原植物和名 | |
糸姫萩、いとひめはぎ、イトヒメハギ | |
生薬名 | |
遠志、おんじ、オンジ 大遠志 志通 |
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基原植物学名(ラテン語名) | |
Polygalae Radix | |
生薬英語名 | |
Polygala Root | |
植物英語名 | |
Polygala tenuifolia Willdenow | |
分布 | |
糸姫萩(いとひめはぎ)はヒメハギ属ーひめはぎ科の植物で、主に朝鮮半島北部から 中国北部、シベリアに分布する多年草の植物です。 糸姫萩の根茎は生薬として用いられ、生薬名を「遠志(おんじ)」と言い、 日本薬局方に収録されています。 遠志は神農本草経の上品に「主咳逆傷中、補不足、除邪気、利九竅、益智慧、 耳目聡明、不忘、強志、倍力。久服軽身不老。葉、名小草。一名棘苑、一名要続、 一名細草。生川谷」と収録されています。 「イトヒメハギ」は日本名の呼び方で意味は姿形がヒメハギに近く、 葉が糸状に細いのでこう呼ばれます。 遠志は生薬の「セネガ」と近縁種です。 生薬名の「遠志」の名前の由来は志を強くし、智を益するのでこう呼ばれます。 |
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特徴・形態 | |
イトヒメハギの特徴として草丈は25センチメートルから40センチメートル程で、 根茎から直立茎を出します。 根茎は円柱形でやや木質で、屈曲した細長い円柱形の根を土深く伸ばして成長します。 1根から多数の細い茎を地上に出します。 葉は線形で互生し、葉の形は針状皮針形で特に葉の先は細くて鋭く尖っています。 花期は5月から7月の初夏に茎の先に総状花序を出し、片側にまばらに 青紫色又は淡藍色の小さな花を咲かせます。 さく果は倒心臓形で平たいです。 (遠志は日本薬局方に記載されています。) |
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成分 | |
イトヒメハギの根に含まれる成分としてトリテルペン系のオンジサポニンA〜Gや 3−、4−、5−トリメトキシケイヒ酸、キサントン誘導体、フェノール配糖体、 ガウルテリンなどが含まれています。 |
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使用部位 | |
糸姫萩(いとひめはぎ、イトヒメハギ)の根 (生薬名 遠志、おんじ、オンジ)(日本薬局方) |
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採取時期と管理・保存方法 | |
イトヒメハギの根の採取時期として春と秋に根を掘り出してからヒゲ根と土を 取り除いてから日干しを行います。 イトヒメハギの根の加工方法は色々あります。加工方法によって生薬名が異なります。 @・・・手で揉んで根の木質部(芯)を取り除いてから日干しを行います。 これを「遠志筒」と言います。 A・・・他に棒などで根を叩いて根の木質部(芯)を取り除いてから日干しを行います。 これを「肉遠志、遠志肉」と言います。 上記の根から木質部(芯)を取り除いた物を総じて「遠志通」と言います。 B・・・根の木質部(芯)を取り除かない物は「遠志棍」と言います。 参考・・・写真の遠志は芯を取り除いた物です。(生薬名 遠志筒) |
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薬効、服用方法 | |
遠志は日本薬局方によると漢方処方用薬であり、精神神経用薬、保健強壮薬と みなされる処方に配合される。 また、去痰薬として配合剤の原料とすることもある。 他に遠志は去痰作用、鎮咳作用、抗炎症作用、強壮作用、鎮静作用などがあり、 去痰、気管支炎、気管支喘息、精神安定、不眠、老人性痴呆、健忘症などに 効果があります。 後、遠志にはアセチルコリン合成酵素の活性を高める作用があります。 アセチルコリンは神経伝達物質の一つで、これが低下すると知的機能も低下します。 つまり痴呆症状の改善作用があります。 遠志を煎じる場合は 遠志約2グラムから約5グラムからを水600ccから800ccの中に入れて 弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、 1日数回に分けて服用します。 遠志と他の薬草(重薬、ゲンノショウコ、ヨクイニンなど)と一緒に煎じて 服用しても良いです。 遠志の粉末の場合は 遠志の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に1日数回服用します。 遠志の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに 混ぜて服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて料理に使用されても結構です。 「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに 包んで服用しても結構です。 |
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生薬との組み合わせ | |
特になし | |
遠志を含む漢方処方 | |
帰脾湯 加味帰脾湯 加味温胆湯・・・千金方 温胆湯 人参養栄湯 竜骨湯・・・外台秘要方 など |
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参考資料 | |
神農本草経ー上品 「主咳逆傷中、補不足、除邪気、利九竅、益智慧、耳目聡明、不忘、強志、倍力。 久服軽身不老。葉、名小草。一名棘苑、一名要続、一名細草。生川谷」 万病回春ー薬性歌 「気温、能く驚悸を殴ち、神を安んじ、心を鎮め、人をして多記せしむ。」 本草綱目 「苦辛温 心腎を補い、志を強くし、智を益し、健忘驚悸を治す。」 |
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その他 | |
古方派はイトヒメハギの葉を遠志の代用品として用いたが、 現在は遠志のみを使用します。 イトヒメハギの葉を小草(しょうそう)と言い、遠志と同様の効果が期待できます。 |
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注意事項 | |
@本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。 そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に なることがあります。 A開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。 B本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、 食べたりしないようにご注意ください。 C幼児の手の届かない所に保管してください。 D他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
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参考文献 | |
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑 | |
遠志(オンジ)の写真 | |
糸姫萩(いとひめはぎ)ー花 | 遠志筒(オンジ)ー根 |
遠志(オンジ)ー粉末 | |