木通ーもくつうーモクツウ | |
基原植物和名 | |
木通、あけび、アケビ 五葉木通、ごようあけび、ゴヨウアケビ 三葉木通、みつばあけび、ミツバアケビ 木通の実、あけびの実、アケビの実 |
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生薬名 | |
アケビカズラ 木通、もくつう、モクツウ |
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基原植物学名(ラテン語名) | |
Akebiae Caulis | |
生薬英語名 | |
Akebia Stem | |
植物英語名 | |
木通・・・Akebia quinata Decaisne 三葉木通・・・Akebia trifoliata Koidzumi |
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分布 | |
アケビはアケビ属ーあけび科の植物で北海道以外の日本各地と朝鮮半島や中国大陸の 山野に生える落葉つる性植物です。 アケビは別名で「五葉木通(ごようあけび)」と言われます。 五葉木通と同じ仲間の三葉木通(みつばあけび)も北海道を含む日本全国で 見ることが出来ます。 (特に四国(香川県、徳島県)でよく見かけます。) 薬用としてはアケビの茎とアケビの実を利用します。 茎を生薬名で木通(もくつう モクツウ)と言います。(日本薬局方) アケビの実は木通子(もくつうし モクツウシ)と言います。 アケビを漢字で書くと「通草」と書く場合があります。 これはアケビの蔓の内部が空洞になっており、蔓の端から空気を吹き込むと 空気が通るのでこう言う名前で呼ばれます。 アケビの名前の由来は @・・・秋に実が熟して割れた姿が「あくび」に似ているので、 「アケビ」と言われるようになった。 A・・・秋に実が熟して割れるので「開け実⇒アケビ」と言われるようになった。 などの説がございます。 木通は中国最古の薬物学(本草学)書と言われる神農本草経に記載されています。 神農本草経ー中品によれば 「通草。一名附支。味辛平。生山谷。去悪蟲。除脾胃寒熱。 通利九竅血脉関節。令人不忘。」と書かれています。 日本では明治時代に活躍した折衷派の漢方医浅田宗伯が書いた 古方薬議によると 「味辛平。九竅、血脈、関節ヲ利シ、水腫浮大ヲ主リ、煩熱ヲ除ク。」 と書かれています。 古代中国では蔓を編んで「葛籠(つづら)」として利用しており、 アケビの蔓は特に歴史が古く、奈良の正倉院にアケビの蔓で編んだ「御書箱」 が残っています。 「御書箱」は筆や数珠、仏様の奉納する物を入れていたと考えられます。 有名な昔話で「舌切り雀」にも葛籠が出てきます。 現在では蔓の皮をはいで椅子やバスケットなどに加工されます。 東北地方や信越地方では昔からアケビを食する文化があり、 山形県はあけびの生産量が日本一で、山形県の郷土料理としてあけびの皮を 干して保存食にしたり、生の皮を炒め物や煮物にして食しております。 後、東北地方や信越地方では春にはアケビの若芽を茹ででお浸しのようして 食する風習があります。 秋にはアケビの果皮が紫色に熟して果実が割れます。 割れた果実にある白いゼリー状の果肉を食するとほんのりとした甘みを 感じることができます。 アケビの果肉の中にある黒い種子は食べることができません。 しかし江戸時代の秋田藩ではこのアケビの種子から油を採取し、 「アケビ油」として使用していました。 当時、アケビ油はとても貴重な高級油として珍重されてきました。 余談・・・日本テレビの番組に「ザ!鉄腕ダッシュ」という番組があり、 DASH島で採取したアケビの実から種を取り出して、アケビ油を 作っていました。 後、アケビの葉を好んで食する「通草木葉蛾(アケビコノハ)」 という昆虫がいます。 |
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特徴・形態 | |
五葉木通の特徴として、蔓は長く左巻きで、弦の先で枝分かれをして 他の樹木に巻きつきます。 蔓の樹皮の色は暗褐色で、蔓は古くなると木質化します。 葉は互生で葉の形は長楕円形で5枚の小葉からなる拳状複葉で、 葉には長い柄があります。 花は4月から5月の春先に新芽が出ると同時に短穂状花序で花弁が無く、 3枚の淡紫色のがく片がある花を咲かせます。 五葉木通は雌雄異花で、枝先に数が多いが小さな雄花、基礎部分に数は少ないが 大きい雌花を同株につけて下に垂れる様に咲きます。 五葉木通の雌花、雄花は蜜を出さないので、受粉生態はよく分かっていません。 果実は花後5センチから6センチの小さな瓜のような形をした暗黒色の液果 が実ります。 やがて秋から冬にかけて長楕円形の果実に変化し、その果実が紫色になって 成熟すると開裂して白い果肉が現れます。 その果肉を食すると非常に甘いですが、甘い果肉に含まれている 黒い種子を食すると非常に苦いです。 三葉木通の特徴として、蔓は長く左巻きで、弦の先で枝分かれをして 他の樹木に巻きつきます。 蔓の色は明るい色で、皮目があります。 三葉木通の葉は拳状の3出複葉で、葉は枝先で束生しており、 3枚共に小葉で形は卵形です。 三葉木通の葉は五葉木通の葉と比べると葉の質は薄いです。 三葉木通の花ですが、4月から5月の春先に新芽が出ると同時に単性で 総状花序で濃紫色から黒色に近い紫色の花を咲かせます。 五葉木通の花は淡い紫色ですが三葉木通の花は濃い紫色の花です。 果実は五葉木通と同じ果実を実らせます。 (木通は日本薬局方に記載されています。) |
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成分 | |
五葉木通に含まれる成分はサポニンのアケビオサイド、ヘデラゲニン、 オレアノール酸、トリテルペン、カリウム塩、アケビンなどが 含まれております。 三葉木通に含まれる成分はアケビオサイド、ヘデラゲニン、オレアノール酸 などの五葉木通と共通する成分が含まれています。 アケビの蔓に含まれるアケビンは腎臓機能の向上や利尿作用を促す作用 があります。 |
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使用部位 | |
ケビの茎(生薬名 木通 もくつう モクツウ)(日本薬局方) アケビの葉 アケビの果実(商品名 木通子 もくつうし モクツウシ) 春先のアケビの若芽 |
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採取時期と管理・保存方法 | |
木通の採取時期は10月から11月の秋頃にかけてアケビの果実が裂けていれば、 茎と果実を採取して、茎の場合は薄く輪切りにして風通しの良い場所で日干しを 行って乾燥させます。 生の果実は果肉を食します。 |
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薬効、服用方法 | |
木通は日本薬局方によると漢方処方用薬であり、尿路疾患用薬とみなされる 処方及びその他の処方に少数例配合されている。 また、尿量減少、むくみに煎用するか又は配合剤の原料とする。 他に木通を煎じて連用すると消炎、利尿、排膿、通経、通乳などの効能があり、 病名として腎臓病、尿道炎、腎炎、浮腫解消、排尿困難解消などに 効果があると言われます。 春にアケビの若芽を料理に加工して食したり、同じく春先に葉を採取、 乾燥してアケビ茶として服用しても結構です。 当店が使用しています煎じる木通と粉末の木通は共に日本産です。 木通を煎じる場合は 木通約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で 15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて 服用します。 木通と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても 良いです。 木通の粉末の場合は 木通の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で 1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。 (小さじ半分ぐらいが約1グラムです。) 「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに 包んで服用しても結構です。 |
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生薬との組み合わせ | |
特になし | |
木通を含む漢方処方 | |
五淋散 竜胆瀉肝湯 当帰四逆湯 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 消風散 香川解毒湯 加味解毒湯 八味疝気方 など |
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参考資料 | |
神農本草経ー中品 「通草。一名附支。味辛平。生山谷。去悪蟲。除脾胃寒熱。通利九竅血脉関節。 令人不忘。」 古方薬議 「味辛平。九竅、血脈、関節ヲ利シ、水腫浮大ヲ主リ、煩熱ヲ除ク。」 |
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その他 | |
アケビの名前の由来は秋にアケビの実が熟すと実が裂けてまるで実に口が出来たように 見えるので「開け実」から「あけび」に訛った言われます。 |
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注意事項 | |
@本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。 そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に なることがあります。 A開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。 B本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、 食べたりしないようにご注意ください。 C幼児の手の届かない所に保管してください。 D他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
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ご相談、ご質問 | |
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参考文献 | |
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑 | |
木通(モクツウ)の写真 | |
五葉木通(ゴヨウアケビ)ー未熟成果実 | 三葉木通(ミツバアケビ)ー熟成果実 |
日本産木通(モクツウ)ー刻み | 日本産木通子(モクツウシ)ー原型 |