厚朴 こうぼく コウボク
和名
朴の木 ほうのき ホウノキ  ほおがしわ ホオガシワ
生薬名
厚朴 こうぼく コウボク
学名
Magnolia obovata
分布
ホオノキはモクレン属ーモクレン科に属する植物で北海道から九州の日本各地と中国大陸の山地や
丘陵地帯に見ることができる落葉高木です。最近では庭園樹、、公園樹や建築材として栽培も
されています。

朴の木は日本特産の樹木で、この樹木は中国にもあり中国産の樹皮を「唐厚朴(からこうぼく)」と言い、
日本産の樹皮を「和厚朴(わこうぼく)」と言い区別をつけています。

日本では北海道や長野、岐阜、富山などの山が多い県が生産地です。
薬用として使用される樹皮は樹皮に厚みがあり、香りがよい樹皮が採取され使用されます。

厚朴は神農本草経中薬(中品)に記載されており、内容として
味苦温。生山谷。治中風傷傷寒頭痛。寒熱驚気。去三蟲。
と書かれています。

日本では万葉集に朴の木の葉が詠まれています。
万葉集ー第十九巻ー4204
吾勢故我 捧而持流 保寶我之婆 安多可毛似加 青盖」・・・・詠み人 僧恵行
我が背子が、捧げて持てる、ほほがしは、あたかも似るか、青き蓋

万葉集ー第十九巻ー4205
皇神祖之 遠御代三世波 射布折 酒飲等伊布曽 此保寶我之波」・・・・詠み人 大伴家持
皇祖の、遠御代御代は、い重き折り、酒飲みきといふぞ、このほほがしは

奈良東大寺の正倉院に「種々薬帳」と言われる正倉院に納められた薬のリストがあり、そこに「厚朴」を納めた
と書いてありますが、一般的な厚朴とは全く異なり正倉院にある厚朴の原料が最近まで判りませんでした。

最近の学術調査で中国の文献の厚朴を調べていたところクルミ科の「黄杞 こうき」と言われる植物が
正倉院に納められている「厚朴」と一致し、黄杞が正倉院に納められている事が判りました。

他に平安時代に書かれた日本で最古の薬用事典の「本草和名(ほんぞうわみょう)(918年頃)」には
保々加之波乃岐(ほほかしはのき)」と書かれており、本草和名と同じく平安時代に書かれた
「倭名鈔(わみょうしょう)」には「保々乃加波(ほほのかは)」と書かれています。

時代が下って江戸時代の書物「古方薬議」によると
味甘平。煩を止め、洩を止め、胃気を和し、血脈を通じ、中を温む。」と書かれております。

同じく江戸時代の書物の「薬徴」には
胸腹脹満を主治する也。傍ら腹痛を治す。」と書かれています。

生薬の厚朴の名前の由来として
朴の木は幹から出る枝はまばらで飾り気の無い意味の「質朴」とホオノキの樹皮に厚みがある
と言う意味を組み合わせて「厚朴」と名づけられました。

朴の木の材質はとても柔らかいので昔はマッチの軸木、下駄の歯、鉛筆材、木版に用いられ、
朴の木の木版が日本が世界に誇る芸術の浮世絵の下絵に用いられました。

朴の木を燃やして炭にした朴炭(ほおずみ)は昔はお鍋の焦げ落としや金属の研磨などに
用いられてきました。

朴の木の葉は飛騨地方(岐阜県北部)の郷土料理の朴葉味噌料理に使われています。

ホウノキの花は日本国内にある野生の花では日本一の大きな花と言われます。
特徴・形態
ホオノキの特徴として幹は直立で高さは約20メートルから30メートル、幹の直径は約1メートルほどの
巨木になります。
幹からまばらに分枝をします。


ホオノキの樹皮の表面は灰白色で樹皮の内部は暗赤色を帯びており、樹皮のに切れ目は無く、
ざらつきがあります。


葉は柄があって互生するが、枝の先に集まって付きます。葉は大きく葉の形として
倒卵状(スプーンのような形)の
長楕円形で、葉の先は尖っています。
葉の長さは20センチから40センチほどあり、全辺は革質で表面は滑らかで濃い緑色をしており、
裏面は白色を帯びて細毛があります。葉は香りが良いのでおにぎりやお寿司を包んだり、
朴葉みそ料理に使われます。


花は5月から6月の初夏頃に枝先にやや黄色を帯びた直径が約15センチ程の香りが良い大きな
黄白色花を
咲かせます。
花のがく片は3個でやや緑色を帯びております。
花びらは葉と同じく長い倒卵形(スプーンのような形)で花びらは6枚から9枚あるが、普通は9枚の
ほうが
多いです。

果実は9月から10月頃の秋に熟します。果実の形は長楕円形で長さは約15センチ程になります。
果実が熟すと果実から多くの袋果が裂けて赤色の種子が糸状の種柄に垂れ下がります。
この種子は鳥がついばんだりします。
成分
ホオノキに含まれる成分として樹皮に精油成分のマキロールとマグノロールやアルカロイドのマグノクラリン、
マグノフロリン、マグノール、リリオデニン、アノナイン、テトラヒドロマグノール、イソマグノールなどが
含まれています。
使用部位
ホオノキの幹や枝の皮
採取時期と管理・保存方法
朴の木の採取時期として夏の土用の頃に幹や枝から樹皮を剥ぎ取り、それを日干し乾燥させます。
薬効、服用方法
厚朴は日本薬局方によると漢方処方用薬であり、健胃消化薬、瀉下薬、鎮咳去痰薬とみなされる処方及び
その他の処方に配合される。

また、芳香健胃薬としてあるいは腹痛などにいずれも配合剤として用いられることがある。

他に厚朴を服用すると健胃整腸作用、鎮痛、鎮痙攣、呼吸困難解消、去痰、利尿などの作用があり、
腹部膨満感解消、咳止め、痰切り、不安感除去、利尿などの効果があります。

厚朴を煎じる場合は
厚朴約3グラムから5グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて
煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて服用します。

厚朴の粉末の場合は
厚朴の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、
お湯に混ぜて服用してください。(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても
結構です。
厚朴を含む漢方処方
胃苓湯

カッ香正気散

九味檳榔湯

柴朴湯

半夏厚朴湯

大承気湯

小承気湯

平胃散

加味平胃散

神秘湯


五積散

麻子仁丸

潤腸湯
参考資料
特に無し
その他
特に無し
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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