槐花ーかいかーカイカ | |
基原植物和名 | |
槐、えんじゅ、エンジュ えにす |
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生薬名 | |
槐花、かいか、カイカ 槐米、かいべい、カイベイ 槐花米 |
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基原植物学名(ラテン語名) | |
Sophorae Flos | |
生薬英語名 | |
Sophora japonica Fiower | |
植物英語名 | |
Sophora japonica Linne | |
分布 | |
槐(えんじゅ)はクララ属ーまめ科に属する植物で原産地は中国で、日本では古くから 街路樹や庭園樹として栽培されている落葉高木植物です。 (原産地は中国なのにjaponica=日本原産と名前が付く植物です。) 日本では槐を「えにす」と呼んでいました。 エンジュは古代中国の本草書の神農本草経ー上品(上薬)に槐実(槐角)について書かれており、 神農本草経によると「味苦寒。生平澤。治五内邪気熱。止涎唾。補絶傷。五痔火瘡。 婦人乳カ。子藏急痛。」と書かれています。 エンジュの漢字表記は「木+鬼」の組み合わせです。鬼は中国では死者の魂が宿った者と 考えられており、エンジュは死者の魂が宿った木、つまり聖樹と考えられていました。 古代中国の周の時代には宮廷の庭に3本のエンジュの木を植えて天子を補佐する 政治の中枢役職の三公(大師、太傅、太保)をそこに座らせました。 この事例から三公を「三槐(さんかい)、槐位(かいい)」と呼ぶようになりました。 (時代が下って前漢では三槐又は三公を「大司徒、大司馬、大司空」 又は「丞相、太尉、御史大夫」と言い、後漢や唐では三槐又は三公を 「太尉、司徒、司空」と言いました。 日本で三槐又は三公を「左大臣、右大臣、内大臣」をこう言います。 時代が下って中国、唐の時代には都大路に街路樹として植えられていました。 日本にエンジュが伝わった起源ははっきりしませんが、遣唐使が薬用として 持って帰ったのではないかと思われます。 日本ではエンジュは雷除けの霊樹とされ、京都民俗志によると「醍醐天皇が雷が嫌い だったので空海が加茂川の東側に槐の木を植えたら都に雷が落ちなかった。」 と書かれています。 (あれ?醍醐天皇(885年~930年)で空海(774年~835年)ですが 時代が合いません?? まあ醍醐天皇は清涼殿落雷事件から雷嫌いは有名ですから後世の人が作った創作と思います。 (桑原、桑原) 時代が下って芥川龍之介が「槐」と言う題名の小説を書いています。 余談・・・岩手県二戸市、金田一温泉郷に「緑風荘」と言う温泉宿があります。 ここは昔から「座敷わらし」が起こす色々な現象が体験できる宿で、此処の宿の奥座敷の 「槐の間」で体験できるらしいです。 |
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特徴・形態 | |
エンジュの特徴ですが樹高は15メートルから25メートルぐらいで幹の幅は約1メートル ぐらいになり、幹は直立して成長します。 樹皮は灰色で樹皮には白身を帯びた細かい切れ目が縦にあります。 枝ですが幹の途中から分枝し、枝は広がって成長します。 小枝は緑色で枝の形は円柱形です。 葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は9枚から15枚で小葉の形は卵形または狭卵形で 葉先はやや鋭尖頭です。 葉の長さですが、葉は3センチから5センチぐらいの大きさで、葉の表面は緑色ですが 葉の裏面は薄い緑色で、葉の裏面には毛があります。 花ですが花期は7月から8月頃で枝先に円すい花序の黄白色の蝶形花が枝から下がるように 多数咲かせます。 果実は花が咲いてから後に莢が種ごとにくびれた豆果をじゅず状につけます。 豆果は長さが3センチから8センチぐらいで、秋に種子が熟すと飴色で光沢のある 種子になります。 |
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成分 | |
エンジュに含まれる成分はルチン、クエルセチン、ベツリン、グルコース、ソフォラディオール、 ケンフェロールなどが含まれています。 ルチンには血管壁を丈夫にする作用があります。 |
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使用部位 | |
槐の花蕾(生薬名 槐花(かいか カイカ)(槐米 かいべい カイベイ)) エンジュの果実や枝も煎じて服用できます。 |
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採取時期と管理・保存方法 | |
エンジュの採取時期は開花前の花蕾を採取して、風通しの良い場所で日干し乾燥します。 | |
薬効、服用方法 | |
槐花を服用すると消炎、止血作用として鼻血、腸出血、痔出血、喀血、血尿、口内出血 などの止血が期待できます。 槐花には血管壁を丈夫にする作用のあるルチンが多く含まれており、ルチンの含有量は 多々ある薬用植物の中でもトップクラスです。 ルチンには高血圧改善作用もあり、止血薬や動脈硬化予防薬や高血圧改善薬の原材料 としても利用されます。 槐花を煎じる場合は 槐花約3グラムから5グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から 20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回分けて服用します。 槐花と他の薬草(重薬、ゲンノショウコ、ヨクイニンなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。 槐花の粉末の場合は 槐花の粉末を1回量約1グラム~2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、 そのまま食してください。(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。) 「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに 包んで服用しても結構です。 |
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生薬との組み合わせ | |
特に無し | |
槐花を含む漢方処方 | |
特になし | |
参考資料 | |
神農本草経ー上品(上薬) 「味苦寒。生平澤。治五内邪気熱。止涎唾。補絶傷。五痔火瘡。婦人乳カ。子藏急痛。」 |
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その他 | |
特になし | |
注意事項 | |
①本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。 そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に なることがあります。 ②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。 ③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、 食べたりしないようにご注意ください。 ④幼児の手の届かない所に保管してください。 ⑤他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
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参考文献 | |
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑 | |
槐(エンジュ)の写真 | |
槐(エンジュ)ー豆果 | 槐花(カイカ)ー花蕾 |