蒲 がま ガマ 蒲黄 ほおう ホオウ
和名、植物名
蒲 がま ガマ 香蒲 こうほ コウホ 御簾草 ミスクサ ミズクサ
生薬名
蒲黄 ほおう ホオウ 蒲灰 ほかい ホカイ 香蒲 かほ カホ
学名
Typha latifolia
分布
ガマは北海道から九州の日本各地や北半球の温暖な地域やオーストラリアの湿地帯、沼沢地や水中に生える大形の多年草の
宿根草の植物です。

蒲黄は神農本草経の上品に記載されており
味甘平。生池澤。治心腹膀胱寒熱。利小便。止血消オ血。久服軽身。益気力。延年神仙。
と記載されています。

日本には「蒲(ガマ)」、「姫蒲(ヒメガマ)」、「小蒲(コガマ)」の3種類が自生しており、ガマの花粉を「蒲黄(ほおう)」と言います。
生薬の蒲黄は「蒲(ガマ)」、「姫蒲(ヒメガマ)」、「小蒲(コガマ)」の花粉を指します。
蒲黄の日本産は「ガマ」、「ヒメガマ」から取れる花粉が主流です。

ガマ、特にヒメガマと日本人の付き合いはとても古く、ガマは日本の薬の始まりと言われます。
日本最古の歴史書「古事記」に「因幡の白兎」のお話があり、皮を剥がされて苦しんでいるウサギに大国主命(オオクニノヌシノミコト)が「ガマの穂を身体につけなさい。すぐに良くなるよ。」と言い、ウサギがそのようにするとウサギの身体に白い毛が生えて、
傷が治ったと言うお話が古事記にあります。

これが日本最初の薬物治療と言われます。

余談・・・大国主命をおまつりしているのが出雲大社です。
余談が続きますが、夏に食べたい料理といえば、「うなぎの蒲焼」と答える人が多いと思います。
「蒲焼き」の語源ですが、ウナギをぶつ切りにして串に刺した姿が蒲の穂に似ているのでこう言われます。
(この語源には諸説ございます。)

蒲の葉ですが、古代の人々は蒲の葉を編んで敷蒲団の「筵(ムシロ)」にしたり、人間が腰を掛けれる「座蒲団(ざぶとん)」
に用いたり、就寝の時に使用する「蒲団(ふとん)」に加工していました。
その名残で現在でも「座蒲団」、「蒲団」と「蒲」の漢字が入っています。
蒲を利用した「筵」は平安時代以降は衰退し、新しく「畳」が利用されてきます。
昔は畳を利用していたのは身分の高い天皇や貴族、将軍が中心で、一般庶民は「筵」や「藁(わら)」で寝ていました。

ガマの花穂は火打ち石で取った種火をガマの花穂に移す「火口(ほくち)」にしました。

余談が続きますが、NHKの朝ドラで日本で最初のウイスキー造りに夫婦で情熱を注ぐ名作ドラマ「マッサン」がありました。
「マッサン」では描かれていませんが、ウイスキー造りにガマの葉は昔から欠かせない植物です。
昔からウイスキーを入れる樽の側面の板と板の間にガマの葉を挟んで、パッキン代わりにして樽からウイスキーが漏れるのを
防いでいます。
特徴・形態
ガマの特徴として草丈は1メートルから2メートルぐらいの高さになります。草丈は夏場に長く伸びます。

根茎は横に長いヒゲ根が伸びます。根茎の色は白色です。

茎は直立して太くて堅く、茎の色は緑色、茎の形は円柱形で、茎は単一で直立して伸びます。

葉は線形で葉の長さは50センチから120センチ、葉の幅は6ミリから12ミリほどで、葉には厚みがあり、葉の形は平滑です。
葉は全緑で葉の基部は抱茎し葉鞘になります。

花は6月から8月ごろに茎の頂点付近に花穂をつけます。花穂は円柱形又はソーセージの形に似ています。
この花穂の長さは約30センチ程になります。
花穂の上部は無数の雄花で下部も同じく無数の雌花になります。先に雄花が先に落ちて、雌花が残ります。
秋になると残った雌花から綿クズ冠毛を持った種子が出ます。この種子はほころびた花穂から風に乗って飛んでいきます。


蒲と姫蒲と小蒲の違いですが、
ガマは雄花序と雌花序が一緒で、ヒメガマは上が雄花序で間が5センチほど開いて下が雌花序です。
コガマは名前の通り小さな蒲です。
成分
ガマに含まれる成分は花粉にイソラムネチン、αーティファステローム、βーシトステロール、ブドウ糖などが含まれています。
使用部位
花粉(生薬名 蒲黄(ほおう ホオウ))、全草(生薬名 香蒲(こうほ コウホ))
採取時期と管理・保存方法
蒲黄の採取時期ですが夏の開花期の黄色の雄花穂だけを採取して日干し乾燥し、乾燥した花粉だけを使用します。

秋の茶色のガマは効能効果がありません。
薬効、服用方法
蒲黄を服用すると止血、通経、利尿作用などがあり、吐血、子宮出血、血尿などの出血を止める作用があります。

打ち身や打撲などで内出血がある場合に患部に塗布するとうっ血を取る効果があります。

蒲黄を煎じる場合は
蒲黄約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

蒲黄と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても良いです。

蒲黄をガーゼなどに塗って出血している患部に当てていると止血します。


蒲黄の粉末の場合は
蒲黄の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
蒲黄と他の生薬との組み合わせ
蒲黄+艾葉・・・・蒲黄+艾葉を組み合わせる事により止血作用が高まります。

蒲黄+阿膠+地黄・・・・蒲黄と阿膠と地黄を組み合わせる事により止血作用、吐血を抑える作用があります。
蒲黄を含む漢方処方
蒲黄散

蒲灰散
参考資料
特に無し
その他
蒲黄は子宮を収縮させる作用がありますので、妊婦への投与は禁忌です。
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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