烏柄杓 
仏炎包と花軸
カラスビシャク ブツエンホウ
半夏 ○切り
半夏 ○切り
半夏 はんげ ハンゲ
和名
烏柄杓 からすびしゃく カラスビシャク
生薬名
半夏 はんげ ハンゲ 生半夏 守田 しゅでん シュデン
学名
Pinellia ternata
分布
烏柄杓(からすびしゃく)はハンゲ属ーさといも科に属する植物で、分布地として北海道から九州の日本各地と
朝鮮半島から中国大陸の畑や畦地に雑草として普通に生える多年草の植物です。

カラスビャクシの名前の由来は花がさじのような形をしたシャクなのでこの名前が付けられました。

半夏は古代中国の書物の神農本草経の下品(下薬)に記載されており、その内容として
一名地文。一名水玉。味辛平。生川谷。治傷寒寒熱。心下堅。下気。
喉咽腫痛。頭眩胸脹。ガイ逆腸鳴。;止汗。
」と書かれています。

日本では江戸時代の書物「古方薬議」によると
味辛平。気を下し、胃を開き、痰涎を消し、嘔吐を止め、ガイ(咳)逆、咽喉の
腫痛を主る。
」と書かれております。

同じく江戸時代の書物の「薬徴」には
痰飲、嘔吐を主治する也。傍ら心痛、逆満、咽中の痛、咳、悸、腹中雷鳴を治す。」と書かれています。

烏柄杓の球根にはエグ味があります。このエグ味は煎じる(煮る)事によって取り除かれます。
半夏を十分加熱をしてもハンゲ内部まで熱が伝わっていないとエグ味が感じる場合はございます。
この場合は生姜(乾姜)と一緒に煎じる事によってエグ味を取り除きます。
半夏配合の殆どの漢方薬は半夏+生姜(乾姜)で構成されています。

余談・・・烏柄杓の球根に含まれるエグ味の原因は「シュウ酸カルシウム」です。
シュウ酸カルシウムは「さいとも科」の植物に含まれる成分で、「里芋」、「こんにゃく」、「未成熟のパイナップル」
などが一般的な「さといも科」の植物です。

烏柄杓の球根、生の里芋の塊茎、生の里芋の茎、葉、生のコンニャク芋、未成熟のパイナップルなどを
少量でも舐めたり、食すると、強烈な灼熱感、口の痺れ、口の腫れ、咽喉の痛み、呼吸困難、腎機能障害
などの副作用が発症します。

大量服用では死に至る場合もあります。

TBSの番組「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」の企画の「ひとり農業」で、生のコンニャクを舐めて、
救急搬送された場面がありました。これは非常に危険です。
理由はシュウ酸カルシウムは「毒物及び劇物取締法」で「劇物」指定されています。

里芋、コンニャク、未成熟のパイナップルは「生」はダメです。食品加工された里芋、コンニャク、パイナップル
は美味しくいただけます。

余談が続きますが、尿管結石の原因物質はシュウ酸カルシウムです。

雑節の一つに半夏生(はんげしょう)があり、これは烏柄杓(半夏)が生える時期を指します。
雑節には節分、彼岸、八十八夜、半夏生、土用などが含まれます。

夏至から数えて11日目(7月2日頃)を半夏生と言います。現在では7月2日頃を半夏生と言います。
半夏生の日には関西ではタコを食べ、香川県ではウドンを食べ、福井県ではサバを食べます。


余談・・・古ければ古いほど良い生薬を昔から「六陳(りくちん)」と言います。
六陳と言われる生薬は
「陳皮と橘皮」、「枳実と枳穀」、「呉茱萸」、「半夏」、「麻黄」、「狼毒(ろうどく)」などが六陳と言われます。
六陳と言われる生薬が古ければ良い理由として、六陳には「精油成分」などが含まれております。
これらの生薬を寝かせることにより精油の揮発を促したり、空気で酸化させて作用を弱めたり、薬効成分の凝縮を
させたりします。

ちなみに「狼毒」はクワズイモの根茎ではないかと言われます。狼毒は「神農本草経ー下薬」に猛毒薬のような
記載がされており、非常に危険な生薬と思われます。
後、正倉院の「種々薬帳」にもその名前が見られます。(聖武天皇も飲用されたかもしれません。)

後、金元医学の第一人者の李東垣が「荊芥」、「大黄」、「木賊」、「芫花」、「槐花」も古いほうが良い。
と述べています。
六陳と言われる生薬も古すぎてもいけません。大体採取してから2年から3年物が良い生薬と言われます。

六陳の逆のパターンで、新しければ新しいほど良い生薬を「八新(はっしん)」と言います。
八新と言われる生薬は
「薄荷」、「紫蘇葉」、「菊花」、「桃花」、「赤小豆」、「沢蘭」、「款冬花」、「槐花」などが八新と言われます。
八新と言われる生薬は六陳とは逆に古くなれば体に良い成分が揮発しますので、新しい生薬を使用します。

※昔からの疑問で「槐花」は古いのが良い?新しいのが良い?
特徴・形態
烏柄杓(カラスビシャク)の特徴として草丈は40センチから60センチほどですが、
花期の時期に花茎の先に肉穂花序を加えると80センチから120センチほどになります。

烏柄杓は地下に直径2センチほどの球茎を作ります。球茎はグレー色の外皮に覆われており、球根自体は白色です。
球茎の下部から細長い根を出し、上部から地上に1枚から2枚の葉を出します。


地下に出来る球茎を生薬名で半夏(はんげ)と言い、半夏の名前の由来は夏の半ばに花を咲かせるので
半夏と言われます。

茎は球茎から直立した茎を出し、その茎に1枚から2枚の葉を出します。
葉の特徴として葉柄は長くて葉は3出複葉です。葉の中央部に多々玉かご(珠芽 しゅが)を生じます。

花期は5月から7月頃で花茎の先に仏炎苞を持った花を咲かせます。花序の中軸は線状に長く伸び、
苞の上に10センチ
ぐらい伸びています。

余談・・・・仏炎苞を持つ植物は「さといも科」に属する植物に多く観られます。
さといも科に属する植物はコンニャク、サトイモ、水芭蕉、浦島草、武蔵鐙、カラスビャクシなどが仏炎苞に
覆われた花序を咲かせます。
成分
烏柄杓の球茎に含まれる成分として球茎にホモゲンチジン酸、アミノ酸、脂肪酸、グルコロン酸、シトステロール、
エフェドリン、コリン、ジハイドロロキシベンズアルデヒト、フィトステリンなどが含まれています。

フィトステリンには鎮嘔作用があります。
使用部位
烏柄杓の球茎
採取時期と管理・保存方法
烏柄杓の球茎の採取時期としまして夏場の花がある時期に球茎を採取します。
特に9月頃が烏柄杓の球根が一番大きい時期です。
(半夏の名前の由来ですが、昔は田植え前の5月から6月頃に球根を採取していましたので夏の初めの意味で
半夏と名付けられました。)

採取した球茎から根を取り除き、水と砂が入った容器の中に入れて、容器をかき混ぜながら外皮を
取り除きます。
外皮を取り除いた球茎を水洗いをして日干し乾燥します。
薬効、服用方法
半夏は日本薬局方によると漢方処方用薬である。健胃消化薬、鎮吐薬、鎮咳去痰薬とみなされる処方及び
その他の処方に比較的高頻度で配合されている。

他に半夏を服用することにより悪心と嘔吐を抑え、悪阻の軽減、胃内停水の解消、消化不良の改善、咳を止めて、
痰を切りやすくします。

半夏と生姜(乾姜)を一緒に服用することによりより高い効能、効果が得られます。

半夏と他の薬草(重薬、艾葉、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。

半夏を煎じる場合は
半夏約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から
20分程煎じて1日数回服用します。

半夏の粉末の場合は
半夏の粉末を1回量約2グラム〜3グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、
お湯に混ぜて服用してください。(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても
結構です。
生薬の組み合わせ 
半夏+茯苓+陳皮・・・半夏と茯苓と陳皮を組み合わせることにより身体を潤し、痰の切れをよくします。
(漢方処方 二陳湯)

半夏+乾姜+細辛・・・半夏と乾姜と細辛を組み合わせることにより肺を温めて水のように薄い痰を排出
させて症状の緩和させます。(漢方処方 小青竜湯)

半夏+瓜呂仁+黄連・・・半夏と瓜呂仁と黄連を組み合わせることにより胸痛を取り除き、
痰の切れを良くします。(漢方処方 小陥胸湯)

半夏+紫蘇+厚朴+茯苓・・・半夏と紫蘇と厚朴と茯苓を組み合わせることにより喉や食道のつかえを取り除き、
食道や気管支の痙攣を鎮め、気分を明るくします。(漢方処方 半夏厚朴湯)

特に注意する点は無いと思いますが、十八反によれば附子と半夏の組み合わせは良くないと言われます。
 
半夏を含む漢方処方
半夏瀉心湯

半夏厚朴湯

小柴胡湯

大柴胡湯

柴胡桂枝湯

柴胡加竜骨牡蠣湯

小半夏加茯苓湯

延年半夏湯

半夏白朮天麻湯

小青竜湯

二朮湯

麦門冬湯

抑肝散加陳皮、半夏

六君子湯

苓甘姜味辛夏仁湯

二陳湯

など
参考資料
神農本草経ー下品(下薬)
一名地文。一名水玉。味辛平。生川谷。治傷寒寒熱。心下堅。下気。喉咽腫痛。頭眩胸脹。ガイ逆腸鳴。;止汗。

古方薬議
味辛平。気を下し、胃を開き、痰涎を消し、嘔吐を止め、ガイ(咳)逆、咽喉の腫痛を主る。

薬徴
痰飲、嘔吐を主治する也。傍ら心痛、逆満、咽中の痛、咳、悸、腹中雷鳴を治す。
その他
十八反によれば附子と半夏の併用は禁忌とされています。

漢方処方に半夏を含む漢方処方は沢山あります。半夏を含む漢方処方には必ず生姜(乾姜)も
一緒に含まれています。
これは半夏が起こす咽頭痛、咽頭の痺れ、舌の痺れ、舌の痛みなどの副作用を生姜(乾姜)が緩和又は
中和させるために一緒に含まれています。

(ただ、麦門冬湯や抑肝散加陳皮、半夏だけは半夏を配合しているが乾姜や生姜を配合されていない漢方処方です。)
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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