莪朮 がじゅつ ガジュツ 紫ウコン |
和名、植物名 |
莪朮 がじゅつ ガジュツ 紫ウコン 白ウコン 弘法の石芋 |
生薬名 |
莪朮 がじゅつ ガジュツ |
学名 |
Curcuma zedoaria Rosc |
分布 |
莪朮(がじゅつ)はショウガ科ーウコン属に属する植物で、原産地はインドやヒマラヤ、マレーシア原産の植物で
インドやインドネシア、中国南部、日本の沖縄、奄美大島、屋久島などで古くから薬用として栽培されているウコンに似た
多年草の植物です。
ガジュツは日本薬局方に記載されています。
中国で莪朮は唐時代末期(多分10世紀頃)に書かれた「日華子本草」のなかによると
「莪朮を南部地方の薑黄(きょうおう)の根と言い、そのなかで海南に生ずるものを蓬莪茂と呼んでいる。一切の気を治し,
胃を開き、食物を消化し,月経を通じ,汚血を消し,撲捐痛(ぼくえんつう)及び内損の悪血を止める効能があります。」
と解説しています。
同じく10世紀の中国宋の時代に出版された薬草解説書の「開宝本草」(973〜974年)の中でガジュツは「蓬莪茂(ほうがしょく)」
という原名で収録されています。
効能として「心腹痛、中悪、しゅこ、鬼気、霍乱、冷気で酸水を吐くものを治療します。解毒、飲食物の消化不良にはけずって
酒で服用します。また婦人の血気、結積、男子の奔豚も治療します。」
と書かれています。
さらに時代が下って明時代に活躍した医師で本草学者の李時珍の書いた「本草綱目」には上薬として収載されています。
日本に伝わってきた時期ははっきりしませんが、薩摩藩主(今の鹿児島県)島津義弘公が、
1603年に種子島家(今の種子島を治めていた藩主)の種子島久時公にガジュツの薬方を伝授したとの記録があります。
他の記録としてテレビでお馴染の徳川8代将軍の徳川吉宗が享保年間に幕府の麻布御薬園
(品川御薬園又は目黒御薬園とも呼ばれる)で栽培した記録があります。
莪朮が配合された薬として奈良県吉野の辻堂に河童がくれた「辻堂錦草」と言う薬があり、これには「桔梗」、「桂皮」、「甘草」、
「莪朮」、「丁子」、「芍薬」、「大黄」、「蒼朮」など21種類が配合されており、主に打ち身、捻挫、筋違い、神経痛、感冒などに
効果があります。
莪朮(紫ウコン)の仲間には秋ウコン(鬱金)、春ウコン(姜黄)、蕃ウコン(山奈)があります。 |
特徴・形態 |
ガジュツの形態として草丈は約50センチから約1メートルで茎は太くて短く肥厚しており、形は生姜によく似ております。
葉は真上にまっすぐ伸び、数枚が2列に接近して互生しており、葉には長柄があり、形は長楕円形で両端は細くて先が尖り、
中央の主脈に沿って紫紅色のすじがあります。
葉は無毛で葉の長さ25センチ〜60センチメートルぐらいで幅10センチ〜15センチメートルほどあります。
花期は夏で茎頂の葉の間から穂状花序を根出し、各苞に淡黄色の花を咲かせます。
花序の長さ約5センチから約20センチほどで花穂には多くの包葉があり、包葉の下部は淡緑色で上の方の上部は淡紅色、
花冠は淡黄色をしております。
根茎は肥大して、直径5センチ〜7センチの卵球形で輪状の節があり、左右に4〜5本ずつ出します。
根茎には大きなひげ根があり、ときに根の先の方が肥大して肥大根となることがあり、根茎の内部は白色です。 |
成分 |
ガジュツに含まれる成分としてシネオール、カンファー、アズレン、セスキテルピン、クルクメン、クルクモールなどの精油成分と
ピネン、カンフェンなどが含まれております。 |
使用部位 |
莪朮の根茎(日本薬局方に収録)(生薬名 莪朮 がじゅつ ガジュツ) |
採取時期と管理・保存方法 |
ガジュツの採取時期として晩秋から初冬頃に根茎を掘り出して、毛根を取り除いてから水洗いをし、湯通して日陰乾燥を行います。
他に周りの皮を取り去って輪切りを行い、湯通しをせずに日陰乾燥をする場合もあります。 |
薬効、服用方法 |
ガジュツは日本薬局方によると芳香健胃薬として配合剤(胃腸薬)の原料とする。
他に莪朮には胆汁分泌促進作用、消化不良予防作用、疝痛予防作用、経閉作用などがあります。
ガジュツの服用方法として
ガジュツ約5グラム〜10グラムを約600cc〜800ccの水に入れて弱火で約15分から20分ほど煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。
(ガジュツは服用しにくい生薬ですので、蜂蜜や黒砂糖などの甘味料を混ぜても結構です。)
莪朮と他の薬草(重薬、艾葉、ヨクイニン、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。
ガジュツの粉末の場合は
ガジュツの粉末を1日2グラムから4グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。 |
生薬との組み合わせ |
特に無し |
槐花を含む漢方処方 |
莪朮丸(本朝経験)
和血通経湯(本朝経験)
当帰活血散(証治準縄)
七香九(本朝経験方)
浄腑湯(医宗金鑑・万病回春)
当帰活血散(証治準縄)
治肩背拘急方(本朝経験・中山摂州) |
参考資料 |
特に無し |
その他 |
莪朮を一度に大量服用すると胃粘膜を損なう恐れがありますので、少量から服用してください。 |
注意事項 |
@本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。
そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因になることがあります。
A開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。
B本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。
C幼児の手の届かない所に保管してください。
D他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。) |
参考文献 |
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑 |
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