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薬用植物ー生薬ー薬草ー健康茶ー白朮ーびゃくじゅつービャクジュツについて。やなぎ堂薬局

TEL / 089-921-9401

〒790-0014 愛媛県 松山市 柳井町 1-14-1

白朮ーびゃくじゅつービャクジュツ Atractylodes Rhizome

白朮ーびゃくじゅつービャクジュツのご紹介

 白朮ーびゃくじゅつービャクジュツ
 基原植物和名
オケラ、おけら 

オオバナオケラ、おおばなおけら

和白朮、わびゃくじゅつ、ワビャクジュツ
 生薬名
白朮、びゃくじゅつ、ビャクジュツ
基原植物学名(ラテン語名) 
Atractylodis Rhizoma
生薬英語名 
Atractylodes Rhizome
 植物英語名
オケラ・・・Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura

オオバナオケラ・・・ Atractylodes macrocephala Koidzumi
 分布
「おけら」と「おおばなおけら」はオケラ属ーきく科の植物です。

この2種類のオケラの自生地として「おけら」は本州から四国、九州などの
日本各地、朝鮮半島、中国東北部などの東アジア一帯の日当たりの良い草地や山野
などでよく見られる植物です。

白朮は神農本草経の上薬(上品)に記載されており、内容として
朮、一名山薊。味苦温、生山谷、治風寒湿痺死肌、痙、疸、止汗除熱、
消食、作煎餌、久服軽身延年不飢。
」と記載されています。

日本では江戸時代に活躍した古方派の漢方医吉益東洞が書いた薬徴に書かれており、
薬徴によると「 「主利水也。故能治小便自利、不利。旁治身煩疼、痰飲、失精、
眩冒、下利、喜唾。」
と書かれています。
参考・・・上記の薬徴の内容は「蒼朮」について書かれていると言われます。


他にも白朮は明治時代に活躍した折衷派の漢方医浅田宗伯が書いた古方薬議
にも書かれており、古方薬議によると
味苦温。風寒、温痺ヲ主リ、胃ヲ開キ、痰涎ヲ去リ、下泄ヲ止メ、小便ヲ利シ、
心下急満ヲ除キ、腰腹ノ冷痛ヲ治ス。
」と書かれています。

オケラは日本では馴染み深い植物で、古くは万葉集にオケラ
(万葉集では「宇家良(うけら)」と記載)を詠んだ歌が3首あります。
(昔は「宇家良(うけら)」と言っていたが段々言葉が訛って「おけら」
になったと言われます。)

オケラは昔は疫病草、瘧草(えやみぐさ)と言われていました。
竜胆も疫病草と言われていました。

参考・・・万葉集に載せられているオケラ(うけら)の句
「恋しけば袖も振らむを武蔵野のうけらが花の色に出なゆめ」
・・・詠み人知らず

「我が背子をあどかも言はむ武蔵野のうけらが花の時なきものを」
・・・詠み人知らず

「安齊可潟潮干のゆたに思へらばうけらが花の色に出めやも」
・・・詠み人知らず

蒼朮、白朮共に「朮=オケラ」と日本では読まれていました。
「現在もこう言います。」「朮=オケラ」は昆虫の「オケラ」とは全く
関係はありません。

オケラは歌の題名以外にも日本では昔から色々と利用されており、信州、
長野県の里謡で「山で旨いのはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)、
里で旨いのはウリ、ナスビ。嫁に食わすもおしゅうござる。」
と歌われており、昔から食されてきた事がわかります。

他に梅雨の時期にオケラの根茎を納戸や土蔵、戸棚の中で焚く(燻る)と
除湿効果、防カビ効果があると言われ、この理由としてオケラに含まれる成分の
一つである2-フルフラールがカビの繁殖を抑えると言われます。
後、夏の夜にオケラを焚いた煙で蚊を追い払ったとも言われます。

この効果に昔の人は不思議な魅力と魔力を感じて人間に降りかかる邪気を追い払う
儀式に用いました。
その儀式として有名なのがお正月に飲む縁起物のお酒の「屠蘇散(とそさん)」
に含まれております。

参考・・・「屠蘇散(とそさん)」について書きますと、屠蘇散の正式名称は
「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」と言い、誰が考案したかは諸説ありますが
一番有力な説として三国志で有名な華佗(かだ)が考案した説が一番有力です。

屠蘇の意味として「蘇」は病をもたらす鬼を意味し、「屠」は屠る(ほふる)つまり
「殺す」と言う意味で、屠蘇を飲めば身体に害する病気を葬る事が出来ると
考えられました。

屠蘇は中国では三国時代に考案されましたがお正月の縁起物になったのは
唐時代と言われ、日本には平安時代に伝わり、時代を経て江戸時代に庶民の
お正月文化として浸透しました。

京都の八坂神社では大晦日から元旦にかけて八坂神社に参拝して邪気を追い払い、
一年間の無病息災をお願いする「朮(オケラ)詣り」があります。

他に東京の五條天神社では2月3日の節分に邪気祓いとして行われる「うけらの神事」
もあり、日本列島の西と東でオケラは昔から邪気を追い払う力があると
信じられてきました。

日本の歴史書である日本書紀には病床の天武天皇の病気治療のために人を
美濃(岐阜県)に派遣して白朮を採取させて、その白朮を煎じて天武天皇に
服用させたと書かれています。

参考・・・日本書紀巻二十九「天武十四年冬十月癸酉朔 丙子 百済僧常輝封三十戸 
是僧寿百歳 庚辰 遣百済僧法蔵 優婆塞益田直金鐘於美濃 令煎白朮 
因以賜シ(※1)綿布 十一月癸卯朔 丙寅 法蔵法師 金鐘 献白朮煎 
是日為天皇招魂之」
(※1 シ=糸+施の方を取り除く)

「オオバナオケラ」は日本や朝鮮半島には自生しておらず、淅江、安徽、江西、
湖南、湖北などの中国各省に分布しており、自生している所として山地の斜面、
木の低い森林などでよく見られる植物です。

白朮は日本薬局方に記載されています。
特徴・形態 
オケラの特徴ですが、オケラは雌雄異株で、草丈が30センチメートルから
80センチメートル程の高さになり、茎は硬くて円柱形の形をしており、
枝は多少枝別れをします。

根茎は硬くて不規則に曲がりくねっており、1年ごとに節が出来るので塊が何個も
付いているように見え、大体5センチメートルから8センチメートルの大きさ
になります。

葉は互生して葉には長柄があり、形は楕円形又は長円形で葉のふちには細かい鋸歯があり、
葉先は尖っております。

オケラの花期は9月から10月で花の特徴として枝先にアザミによく似た
約2センチメートルの白色又は薄紅色の花をつけます。
花の周りに魚の骨のような模様をした総包が二重に包んでいます。

オケラの根茎の採取方法と時期ですが
晩秋から冬の初めの頃に根茎を掘り出して、根茎の周りについている細い根を取り除いて
から水洗いを行い、綺麗になれば根茎の外皮を取り除き、2日から3日ほど日干し
をしてから風通しの良い日陰で陰干しをします。

オケラの根茎を「和白朮(ワビャクジュツ)」と言います。

オオバナオケラの特徴ですが、オオバナオケラは草丈がオケラと同じ
30センチメートルから80センチメートル程の高さになり、茎は直立して
茎の上部で枝分かれしています。

根茎は硬くて不規則に曲がりくねっており、1年ごとに節が出来るので塊が
何個も付いているように見え、大体5センチメートルから8センチメートルの
大きさになります。

葉は互生しており葉の長さは4センチメートルから10センチメートル程あります。
葉の形は上部と下部によって異なり、下葉には長柄があって3裂か羽状に
5深裂しています。
上葉の形は円状又は楕円形です。下葉、上葉共に刺状歯があります。

オオバナオケラの花期はオケラと同じく9月から10月で花の特徴として
茎の頂上に約2センチメートルの薄紫色の筒状花をつけます。
花の形はオケラに似ているがオケラより大きいのが特徴です。

オオバナオケラの根茎の採取方法と時期ですが
晩秋から冬の初めの頃にオオバナオケラの葉が枯れます。その頃に
2年から3年程生育した根茎を掘り出して、根茎の周りについている細い根を
取り除いてから水洗いを行い、綺麗になれば弱火で乾燥を行うか日干し乾燥をします。

オオバナオケラの根茎を「唐白朮(カラビャクジュツ)」と言います。

参考・・・中国ではオオバナオケラの根茎の加工法、産地、形態によって呼び名が
異なり、呼び名として「於朮」、「淅朮」、「冬朮」、「生晒朮」、「天生朮」、
「野朮」などの色々な呼び名があります。

オオバナオケラを日干しし乾燥させた生薬を「冬朮」、「生晒朮」と言い、
湯通しした生薬を「白朮」と言います。
成分 
オケラに含まれる成分として
アトラクチロンや3βーヒドロキシアトラクチロン、3βーアセトキシアトラクチロン
などのセスキテルペンやアトラクチノライドーⅠ、Ⅱ、Ⅲ等やポリアセチレン化合物
などが含まれております。

後、オケラには防カビ作用のある2-フルフラールが含まれております。

オオバナオケラに含まれる成分として
アトラクチノライドーⅠ、Ⅱ、Ⅲやアトラクチロン、アトラクチロール、
ブテノライド、アセトキシアトラクチロン、ヒドロキシアトラクチロン、
ヒネロール、オイデスモール、エレモールなどが含まれております。
使用部位 
オケラの根茎(生薬名 和白朮 わびゃくじゅつ ワビャクジュツ)
(日本薬局方)

オオバナオケラの根茎(生薬名 唐白朮 からびゃくじゅつ カラビャクジュツ)
(日本薬局方)
採取時期と管理・保存方法 
オケラの根茎の採取方法と時期ですが
晩秋から冬の初めの頃に根茎を掘り出して、根茎の周りについている細い根を
取り除いてから水洗いを行い、綺麗になれば根茎の外皮を取り除き、
2日から3日ほど日干しをしてから風通しの良い日陰で陰干しをします。

オオバナオケラの根茎の採取方法と時期ですが
晩秋から冬の初めの頃にオオバナオケラの葉が枯れます。その頃に
2年から3年程生育した根茎を掘り出して、根茎の周りについている細い根を
取り除いてから水洗いを行い、綺麗になれば弱火で乾燥を行うか日干し
乾燥をします。
 薬効、服用方法
白朮は日本薬局方によると主として漢方処方用薬である。健胃消化薬、止瀉整腸薬、
利尿薬、鎮暈薬、保健強壮薬、鎮痛薬とみなされる処方及びその他の処方に
比較的高頻度で配合されている。

他に白朮を煎じて服用すると健胃・整腸、利尿、鎮痛などの作用があり、補気剤、
補脾剤として胃腸病、食欲不振、下痢、神経痛、眩暈、動悸、息切れ、水腫、盗汗
などの症状に効果があります。

白朮が優れている効能、効果として利尿作用、脾虚改善作用が優れており、
消化器官(胃や腸)に停滞する水分(胃内停水)を取り除く、弱った胃腸の機能を
正常にするなどが優れています。

参考・・・白朮によく似た生薬で「蒼朮」があり、蒼朮は発汗、除湿、瀉剤などの
作用があり、白朮とは効能、効果が異なります。

蒼朮と白朮の違いですが蒼朮も白朮も共に体内水分を調節して腹水、食欲不振、
嘔吐、悪心などの症状を改善します。
しかし蒼朮と白朮には重要な相違点があります。

白朮の場合・・・白朮は虚証で胃腸機能は低下又は弱く、発汗作用は蒼朮が優れているが
健胃作用、利尿作用は白朮のほうが優れている。
白朮は水毒が原因の多汗、胃内停水、胃腸虚弱、嘔吐、眩暈、浮腫、小便不利、
胃内停水が原因の胃腸の冷え、胃弱、下痢、腹痛などに用いられます。

蒼朮の場合・・・蒼朮は実証で胃腸機能は丈夫又は普通で発汗作用は蒼朮のほうが
優れているが、健胃作用、利尿作用は白朮のほうが優れている。
蒼朮は水毒が原因の神経痛、リュウマチ、痺れ、浮腫などに用いられます。

白朮を煎じる場合は
白朮約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で
15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて
服用します。

白朮と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても
良いです。

白朮の粉末の場合は
白朮の粉末を1回量約1グラム~2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回
服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

白朮の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに
混ぜて服用しても良いです。

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに
包んで服用しても結構です。
生薬との組み合わせ 
白朮+黄耆・・・白朮と黄耆を組み合わせることにより体表にある水毒を黄耆が取り去り、
体内にある水毒を白朮が取り去ります。
(漢方処方・・・防已黄耆湯、補中益気湯、十全大補湯、帰脾湯、加味帰脾湯、
人参養栄湯など)

白朮+防已・・・白朮と防已を組み合わせることにより体内にある水毒を白朮と防已が
取り去ります。
(漢方処方・・・防已黄耆湯など)

白朮+陳皮・・・白朮と陳皮を組み合わせることにより胃内停水を取り去って胃の機能を亢進させ、
食欲を増進させる作用があります。
(漢方処方・・・補中益気湯、平胃散など)

白朮+葛根・・・白朮と葛根を組み合わせることにより体表にある水毒を葛根が取り去り、
体内にある水毒を白朮が取り去ります。
(漢方処方・・・葛根加朮附湯など)

白朮+乾姜・・・白朮と乾姜を組み合わせることにより乾姜が体内を温めて胃腸の機能と
新陳代謝を亢進させます。
そして寒が原因で溜まった水毒を白朮が取り去ります。
(漢方処方・・・人参湯、附子理中湯など)

白朮+人参・・・白朮と人参を組み合わせることにより人参が体内を温めて胃腸の機能や
新陳代謝を促進させます。
そして寒が原因で体内に溜まった水毒を白朮が取り去ります。
(漢方処方・・・女神散、帰脾湯、加味帰脾湯など)

白朮+茯苓・・・白朮と茯苓を組み合わせることにより胃内停水や体内に停滞している
水毒を取り除き、気を体内に巡らせる作用があります。
(漢方処方・・・五苓散、補気建中湯、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、茯苓沢瀉湯
連珠飲、苓姜朮甘湯、四君子湯、六君子湯、十全大補湯、当帰芍薬散、真武湯、附子湯
帰脾湯、分消湯、加味帰脾湯など)

白朮+附子・・・白朮と附子を組み合わせることにより附子が体内を温めて胃腸の機能や
新陳代謝を促進させます。
そして寒が原因で体内に溜まった水毒を白朮が取り去ります。
白朮と附子の両方が持つ鎮痛作用が急性、慢性の痛みに効果を表します。
(漢方処方・・・葛根湯加朮附、附子湯、附子理中湯、真武湯など)

白朮+附子+甘草・・・白朮と附子と甘草を組み合わせることにより、この3種類の
生薬が持つ鎮痛作用が高まり、急性、慢性の痛みに効果を表します。
(漢方処方・・・葛根湯加朮附、附子理中湯、桂枝加朮附湯、甘草附子湯、
近効方朮附湯など)
白朮を含む漢方処方 
防己黄耆湯(金匱要略=風湿病と風水病)

補中益気湯(内外傷弁惑論=飲食労倦)

十全大補湯(太平恵民和剤局方=治諸虚)

帰脾湯(厳氏済生方=健忘論)

加味帰脾湯(厳氏済生方)

防己黄耆湯(痙湿渇病篇と水気病編)

真武湯(傷寒論=太陽病と少陰病)

人参湯(傷寒論=厥陰病 金匱要略=胸痺心痛短気病)

女神散(浅田家方)

五苓散
(傷寒論=太陽病と陽明病と霍乱病 金匱要略=痰飲咳嗽病と消渇小便利淋病)

苓桂朮甘湯(傷寒論 金匱要略=痰飲咳嗽病)

茯苓沢瀉湯(金匱要略=嘔吐エツ(※1)下利病)

聯珠飲(内科秘録=眩暈)

苓姜朮甘湯(金匱要略=語蔵風寒積聚病)

四君子湯(太平恵民和剤局方=治一切気)

六君子湯(婦人良方)

当帰芍薬散(金匱要略=婦人妊娠病と婦人雑病)

附子湯(傷寒論=少陰病 金匱要略=婦人妊娠病)

二朮湯(万病回春)

分消湯(万病回春=鼓脹)
(※1エツ=口+歳)
など

参考・・・上記の漢方処方は(他にも多数の漢方処方はありますが、
その一部を処方例として書いています。)症状によって白朮に変更する場合と蒼朮に
変更する場合があります。)
参考資料 
神農本草経ー上品
朮、一名山薊。味苦温、生山谷、治風寒湿痺死肌、痙、疸、止汗除熱、消食、
作煎餌、久服軽身延年不飢。


薬徴
主利水也。故能治小便自利、不利。旁治身煩疼、痰飲、失精、眩冒、下利、喜唾。
参考・・・上記の薬徴の内容は「蒼朮」について書かれていると言われます。

古方薬議
味苦温。風寒、温痺ヲ主リ、胃ヲ開キ、痰涎ヲ去リ、下泄ヲ止メ、小便ヲ利シ、
心下急満ヲ除キ、腰腹ノ冷痛ヲ治ス。


万病回春 薬性歌
甘温、脾を健かにし、胃を強め、瀉を止め、湿を除き、兼ねて痰を殴つ。
その他 
日本の俗謡に「山でうまいのはおけらにととき(ツリガネニンジン)、
里でうまいのはなす、かぼちゃ」と歌われたどどいつがあるぐらいにオケラの苗は
和え物、天ぷら、煮物などの山菜料理に利用させてきました。

白朮や蒼朮(赤朮)は「神農本草経」には「朮」としか書かれておらず、
白朮か蒼朮かの区別がありませんでした。
参考・・・「神農本草経」の書かれている「朮」の説明を一読すると、
「神農本草経」の「朮」は「蒼朮」についての説明文であると思われます。


逆に「傷寒論」、「金匱要略」に書かれている漢方処方の殆どが白朮を加えた
処方になっています。
参考・・・「傷寒論」、「金匱要略」、「金匱玉函経」などの張仲景が書いた
医学書は11世紀の宋の時代に編纂されており、その時に「朮」はすべて「白朮」
に変更された可能性があります。
その理由として王冰の書物に「朮=皮を去る。白朮が尤も佳い」と書かれており、
王冰が活躍した唐の時代では蒼朮の皮を取り除いて白色に近い物を「白朮」
と呼んでいたと思われます。


白朮と蒼朮を最初に区別したのは古代中国の南北朝時代に活躍した陶弘景で、
彼の書物には「朮には白、赤の二種類あり」と書かれています。

他にも仙人や仙薬などの神仙道について書いた古代中国の晋時代に活躍した葛洪の
「抱朴子」には「朮」は仙薬の一つに挙げられており、朮を食すれば高い山に登っても
疲れない、雪の中を歩いても寒くない、仙人の林子明が食したら谷を飛び越えることが
出来た。」と書かれています。
妊婦に対する白朮の効能、効果について 
東洋医学ですは妊娠中の女性に対して投与する漢方薬や生薬については、長年研究されて確率しており、
2000年位前の時代に書かれた書物の「黄帝内経素問ー六元正紀大論」や金匱要略ー婦人妊娠病脉」や
「備急千金要方」などには妊娠中に投与してよい漢方薬や妊娠時の漢方薬の投与注意点について細かく
指示がされています。

指示の内容として
妊娠中の女性は原則として「虚証」と考えられる。
(体型、体質が「実証」ではないかと思われても「虚証」と考える。)

妊娠中は「虚証」と考えるので「実証」で用いる治療方法(汗法、瀉下法、小便の利(強い利尿剤)
これらを「胎前の三禁」と言う。「胎前の三禁」は妊娠中に用いてはならないと言われてきました。

「胎前の三禁」の「汗法」ですが
「汗法」は発汗作用がある「麻黄」が配合された漢方薬(葛根湯、麻黄湯、小青竜湯など)を
服用することをこう言います。

「胎前の三禁」の「瀉下法」ですが
「瀉下法」は大便の排泄を促す下剤成分を含んだ「大黄」や「芒硝」、「麻子仁」が配合された
漢方薬(茵陳蒿湯、大柴胡湯、大黄甘草湯、麻子仁丸、調胃承気湯、桃核承気湯など)を
服用することをこう言います。

「胎前の三禁」の「小便の利」ですが
「小便の利」は利尿作用のある「半夏」や「乾姜」、「附子」、「呉茱萸」、「ヨクイニン」、
「厚朴」などが 漢方薬を服用することをこう言います。

妊娠中に出来れば上記で述べた「胎前の三禁」は余り服用しないことをオススメします。

東洋医学では
①・・・妊娠中の女性が安心して服用出来、お腹の胎児にも良い作用のある漢方薬や生薬を
「安胎薬」と言います。

「安胎薬」と言われる漢方薬は「当帰芍薬散」、「当帰散」、「白朮散」などがあります。
(3種類共に金匱要略婦人妊娠病脈証に掲載されています。)

「安胎薬」と言われる生薬は木香、黄ゴン、杜仲樹皮、艾葉、人参、香附子、黄耆、白朮、白芍薬、
蘇梗(紫蘇の茎)、秦ギョウ、陳皮、冬虫夏草などです。

②妊娠中の女性には慎重に用いる生薬や漢方薬を「慎用薬」と言います。
「慎用薬」と言われる生薬は「乾姜」、「ヨクイニン」、「牡丹皮」、「附子」、「大黄」、
「五味子」、「呉茱萸」、「紅花」、「枳実」、「牛膝」、「酸棗仁」、「厚朴」、「桃仁」、
「薄荷」、「芒硝」、「半夏」、「麻子仁」などを指します。

上記で述べた妊娠中には慎重に用いる生薬を含む漢方薬は
「胃苓湯」、「茵陳蒿湯」、「温経湯、「黄連湯」、「乙字湯」、「葛根加朮附湯」、
「葛根湯加川キュウ辛夷」、加味帰脾湯」、「加味逍遙散」、「帰脾湯」、「キュウ帰調血飲」、
「九味檳榔湯」、「荊芥連翹湯」、「桂枝加芍薬大黄湯」、「桂枝加朮附湯」、桂枝加芍薬知母湯、
桂枝人参湯、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加ヨクイニン、五積散、牛車腎気丸、呉茱萸湯、柴陥湯、
柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、三黄瀉心湯、酸棗仁湯、
滋陰至宝湯、四逆散、炙甘草湯、芍薬甘草附子湯、潤腸湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗、石膏、
小青竜湯、小半夏加茯苓湯、辛夷清肺湯、参蘇散、神秘湯、真武湯、清上防風湯、清暑益気湯、
清肺湯、川キュウ茶調飲、疎経活血湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、腸癰湯、大建中湯、大柴胡湯、
大承気湯、大防風湯、竹茹温胆湯、治打撲一方、調胃承気湯、釣藤散、通導散、桃核承気湯、
当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬加附子湯、当帰湯、二朮湯、二陳湯、人参湯、人参養栄湯、
排膿散及湯、麦門冬湯、八味地黄丸、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、茯苓飲、
茯苓飲合半夏厚朴湯、平胃散、防風通聖散、麻黄附子細辛湯、麻杏ヨク甘湯、麻子仁丸、
よく苡仁湯、六君子湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓姜朮甘湯、六味丸など

③妊娠中の女性に絶対投与してはいけない生薬や漢方薬を「禁忌薬」と言います。
「禁忌薬」と言われる生薬は「蛤カイ」、「麝香」、「牛黄」、「海馬」などの動物生薬と
「芒硝」などの鉱物を言い、これらは早期流産や早期出産をもたらす作用があるので禁忌薬に
なります。

白朮は安胎薬ですが、白朮を含む漢方処方の(当帰芍薬散、当帰散、白朮散など)
も安胎薬なので安心して服用できます。
注意事項 
①本品は天然物(植物)で性質上吸湿しやすいものがあります。
そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因に
なることがあります。

②開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

③本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、
食べたりしないようにご注意ください。

④幼児の手の届かない所に保管してください。

⑤他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)                  
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参考文献 
北隆館ー原色牧野和漢薬草大図鑑 
朮(オケラ)の写真 
朮(オケラ)ー花 (オオバナオケラ)ー花
朮(オケラ)ー花
 
(オオバナオケラ)ー花
 
白朮(ビャクジュツ)ー原型  白朮(ビャクジュツ)ー小口切り 
白朮(ビャクジュツ)ー原型
 
白朮(ビャクジュツ)ー小口切り
 
白朮(ビャクジュツ)ー刻み  白朮(ビャクジュツ)ー粉末 
白朮(ビャクジュツ)ー刻み
 
白朮(ビャクジュツ)ー粉末
 


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