防風 ぼうふう ボウフウ |
和名 |
防風 ぼうふう ボウフウ |
生薬名 |
防風 ぼうふう ボウフウ 真防風 しんぼうふう シンボウフウ 唐防風 からぼうふう カラボウフウ |
学名 |
Saposhnikovia divaricata |
分布 |
防風はせり科ーサポシュニコビア属の属する植物で、分布地として中国大陸、モンゴル、ロシアのアムール地方などの土地が
乾燥して涼しい地域に分布しております。
日本には江戸時代に中国より渡来し、いろいろな地域で栽培されている多年草の植物です。
防風は古代中国の神農本草経の上薬(上品)に記載されており、内容として
「一名銅芸。味甘温。生川澤。治大風頭眩痛。悪風風邪。目盲無所見。風行周身。骨節疼痺煩満。久服軽身。」
と書かれています。
日本では明治時代に活躍した折衷派の漢方医浅田宗伯が書いた古方薬議によると
「味甘温、風周身ヲ行リ、骨節疼痛スルヲ主リ、頭目ノ滞気ヲ散ジ、頭眩痛、四肢攣急ヲ治ス。」
と書かれています。
正岡子規の弟子の一人の高浜虚子がこのような句を詠んでいます。
「ふるさとに 防風摘みにと 来し吾ぞ」
防風は名前の通り「風を防ぐ植物」と書き、風が運ぶ病(風邪と言います。)
(一般的にはインフルエンザ、風邪、花粉などを指します。)を防ぐ薬草の意味で「防風」と言います。
この効果に昔の人は不思議な魅力と魔力を感じて人間に降りかかる邪気を追い払う儀式に用いました。
その儀式として有名なのがお正月に飲む縁起物のお酒の「屠蘇散(とそさん)」に含まれております。
参考・・・「屠蘇散(とそさん)」について書きますと、屠蘇散の正式名称は「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」と言い、
誰が考案したかは諸説ありますが一番有力な説として三国志で有名な華佗(かだ)が考案した説が一番有力です。
屠蘇の意味として「蘇」は病をもたらす鬼を意味し、「屠」は屠る(ほふる)つまり「殺す」と言う意味で、屠蘇を飲めば身体に害する
病気を葬る事が出来ると考えられました。
屠蘇は中国では三国時代に考案されましたがお正月の縁起物になったのは唐時代と言われ、日本には平安時代に伝わり、
時代を経て江戸時代に庶民のお正月文化として浸透しました。
(屠蘇散には浜防風が配合されます。真防風は」江戸時代に渡来知っており、昔は浜防風を使用していました。
現代は真防風、浜防風のどちらかが配合されています。)
防風は日本の砂浜で見られる「浜防風」とは異なります。防風は江戸時代徳川吉宗が活躍した
享保年間(1716年から1736年)に渡来し、小石川植物で栽培されていたが、一時絶滅しました。
しかし奈良県宇陀市大字陀の森野薬草園の創始者で吉野葛製造販売を家業としていた森野藤助(もりのとうすけ)が
復活させました。
それで防風の別名を「藤助防風(とうすけぼうふう)」、「宇陀防風」、「種防風」と言います。
薬用で使用する防風には真防風と浜防風があり、名前が同じ防風ですが薬効は異なります。
真防風は草原などで見られますが、浜防風は海岸などで見られます。
真防風は茎は細くて多く枝分かれをしており、海岸の強い風には耐えられません。
浜防風は太い茎ですので海岸の強い風にも耐える事が出来ます。
真防風は発汗、去痰、関節痛、鎮痛などに用いられますが、浜防風は発汗、解熱、感冒などに用いられます。
近年では防風と浜防風を使い分けることはあまりなく、真防風の代用に浜防風が使用されています。
余談・・・防風は浜防風の他に日本で自生している防風の仲間があります。
日本で自生している防風の仲間として筆防風(ふでぼうふう)(別名 伊吹防風)や牡丹防風(ぼたんぼうふう)
(別名 五島防風、木防風 長命草)があります。
日本にはセリ科の植物で薬用となる植物が沢山自生しています。
セリ科の植物は防風(ボウフウ)、シシウド(生薬名 独活)、当帰(トウキ)、ヤブジラミ(生薬名 蛇床子)、
ノダケ(生薬名 前胡)、などが自生しています。 |
特徴・形態 |
防風の特徴として草丈は約1メートルぐらいで茎は直立し、分枝します。
根は細長い円錐状の形をしており、長さ15センチから20センチぐらい、根の直径は約2センチぐらいまで肥大しながら
長く深部に成長します。
根の外皮は薄く、根の色は淡黄色を帯びており、根の肉は中心に菊花のような切れ込みがあり、厚くて柔らかいです。
葉は3回羽状全烈で互生し、烈片は細長く尖っています。同じ葉でも根生葉は群生し葉柄は長いです。
防風の花は8月から9月頃の夏から秋に茎の頂上に複散形花序に小さな白色花を5個から10個ほど咲かせます。
果実は花が散った10月から11月頃に結実します。果実の形は扁広楕円形です。 |
成分 |
防風に含まれる成分は精油やクマリン、クロモン誘導体、サポシニコバンA、サポシニコバンB、サポシニコバンC
などが含まれています。
精油成分には発汗作用があり、初期の風邪に効果があります。
クマリンは抗ヒスタミン作用、カルシウム拮抗作用があり、関節炎などに効果があります。 |
使用部位 |
防風の根 |
採取時期と管理・保存方法 |
防風の根の採取時期ですが春と秋に枯れた地上部を取り除いてから地下にある根を掘り出し、土を取り除き、
根を水洗いをしてから日干し乾燥します。 |
薬効、服用方法 |
防風は日本薬局方によると漢方処方用薬である。皮膚疾患用薬、消炎排膿薬、鎮痛薬とみなされる
処方及びその他の処方に配合されている。
他に防風を服用すると風邪予防、発汗、解熱、鎮痛、去痰作用があり、感冒、頭痛、偏頭痛、関節痛、
四肢拘攣などに効果があります。
防風を煎じる場合は
防風約3グラムから6グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。
防風と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても良いです。
防風の粉末の場合は
防風の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。 |
生薬の組み合わせ |
防風+薄荷・・・防風と薄荷を組み合わせることにより上焦(肩より頭部)の熱を取り除く作用があります。 (漢方処方・・・清上防風湯、防風通聖散、荊芥連翹湯など)
防風+荊芥・・・防風と荊芥を組み合わせることにより「風(痒みの意味の風)」を取り除く作用があります。 (漢方処方・・・消風散、当帰飲子、十味敗毒湯、防風通聖散、清上防風湯など) |
防風を含む漢方処方 |
防風通聖散
釣藤散
桂枝加芍薬知母湯
十味敗毒湯
清上防風湯
荊芥連翹湯
荊防敗毒散
当帰飲子
消風散
治頭瘡一方
川キュウ茶調飲
大防風湯
立効散
独活湯
治頭瘡一方
駆風解毒湯
清上防風湯
清上ケン痛湯
疎経活血湯
秦ギョウ羌活湯
秦ギョウ防風湯
など |
参考資料 |
神農本草経ー上薬
「一名銅芸。味甘温。生川澤。治大風頭眩痛。悪風風邪。目盲無所見。風行周身。骨節疼痺煩満。久服軽身。」
古方薬儀
「味甘温、風周身ヲ行リ、骨節疼痛スルヲ主リ、頭目ノ滞気ヲ散ジ、頭眩痛、四肢攣急ヲ治ス。」 |
その他 |
特に無し |
参考文献 |
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑 |
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