甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)
生薬構成
小麦ー20.0 大棗ー6.0 甘草ー5.0
甘麦大棗湯原文
【金匱要略−婦人雑病】
「婦人蔵躁、喜悲傷欲哭、象如神霊所作、数欠伸、甘麦大棗湯主之。」

【勿誤薬室方函口訣】
「此方ハ婦人蔵躁ヲ主トスル薬ナレドモ、凡テ右ノ腋下臍傍ノ邊ニ、拘攣ヤ結塊ノアル所ヘ用ルト効アルモノ也。
又小児啼泣止マザル者ニ用テ速効アリ。又大人ノ癇ニ用ルコト有。病急者、食甘緩之ノ意ヲ旨トスベシ。
先哲ハ夜啼客忤、左ニ拘攣スル者ヲ柴胡トシ、右ニ拘攣する者ヲ此方トスレドモ泥ムベカラズ。
客忤ハ大抵此方ニテ治スルナリ。
甘麦大棗湯解説
甘麦大棗湯は金匱要略ー婦人雑病門に書かれており、金匱要略によるとヒステリー又は躁うつ病の人が悲しみと些細な事で号泣し、
不眠と何かにとり憑かれたように狂騒し、あくびを頻発する人に用いなさいと書かれています。

勿誤薬室方函口訣には腹部に筋肉の緊張がある婦人以外に小児の夜啼き、癇癪などに効果があると書かれています。

甘麦大棗湯を構成している生薬は小麦、甘草、大棗の3種類と単純な組み合わせですが、強い不安感、極度の緊張、甚だしい緊張を取り除く
強力な鎮静作用があります。

金匱要略に書かれている「婦人蔵躁」ですが、「蔵」は心臓又は子宮を指すと言われ、今回は子宮という意味で考えてみます。

甘草+大棗の組み合わせは殆どの漢方処方に見られる組み合わせで、主に胃腸の働きを促進させる作用がある組み合わせですが、
それに小麦を組み合わせる事により強い鎮静作用が得られます。

東洋医学では喜び、悲しみ、怒り、憂い、恐怖などからストレスという火を生み内蔵を乾燥させると云います。小麦には肝を潤す作用があり、
肝を潤すことにより肝とつながりのある他の臓器に良い影響を与えます。

甘麦大棗湯には甘草が含まれていますが、甘草の分量が5グラムも含まれる処方は「甘草瀉心湯」、「甘麦大棗湯」ぐらいで、甘草を大量に
配合する理由としまして甘草には急迫症状の緩和作用が一番に挙げられます。この場合の急迫症状は「イライラ」、「不安感」、「ヒステリー」
「痙攣」などの症状を指し、これらを緩和させます。
甘麦大棗湯適応症
甘麦大棗湯の適応症は
ヒステリー

ノイローゼ

イライラ感

不安感

不眠

神経の興奮が甚だしい人、笑ったり、泣いたりして気分がコロコロ変わる人、アクビをよくする人。

諸痙攣症状がある人

幼児の夜啼き
各種生薬の役割
甘麦大棗湯を構成している生薬は3種類と少ないですが、3種類には甘味があり、甘味には神経鎮静作用があります。

甘草、大棗には精神の鎮静、興奮を抑える、筋肉の痙攣、身体の疼痛緩和作用などがあります。
参考処方
実証・・・柴胡加竜骨牡蛎湯

中間証・・・半夏厚朴湯、加味逍遥散
甘麦大棗湯の服用方法
煎じる甘麦大棗湯の服用方法
煎じる甘麦大棗湯の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。

一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。

粉末の甘麦大棗湯の服用方法
粉末の甘麦大棗湯の服用方法ですが1日分(3包)を1回1包づつ食前(食事の60分前)又は食間(食事と食事の間、食後約2時間)に
水又はぬるま湯にて服用してください。
(出来ましたら熱湯に粉末を入れて漢方薬を溶かして、人肌程度の温度になった漢方薬配合の液体の服用をおすすめします。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
注意事項 
下記の人は絶対服用しないでください。
@ 生後3ヶ月未満の乳幼児には絶対服用させないでください。

注意事項ですが
(1)・・・次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
@・・・血圧の高い人又は高齢者。
A・・・心臓又は腎臓に障害のある人。
B・・・むくみのある人。
C・・・今までに薬により発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
D・・・妊婦又は妊娠していると思われる婦人。
E・・・医師の治療を受けている人。

(2)・・・服用に際して、次のことに注意すること
@・・・定められた用法・用量を厳守すること。
A・・・小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
B・・・煎じ液は必ず熱いうちにかすをこし去ること。
C・・・本剤は、必ず1日分ずつ煎じ、数日分まとめて煎じないこと。

(3)・・・服用中又は服用後は、次のことに注意すること
@・・・本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ等の症状が現れた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
A・・・本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状が現れた
場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
B・・・ 1ヶ月位服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
C・・・長期連用する場合には、医師又は薬剤師に相談すること。

(4)保管及び取り扱いの注意事項
@・・・本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する
原因になることがあります。

A・・・開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

B・・・本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

C・・・幼児の手の届かない所に保管してください。

D・・・他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)

E・・・煎じ液は腐敗しやすいので、冷暗所又は冷蔵庫等に保管し、服用する時にに再加熱してから服用してください。
  
ご相談・ご質問
←こちらをクリック
最近お客様より「相談や注文をしたが返信が無い」と御叱りをいただきます。当店は当日又は翌日には必ず返信をしております。

もし、2日、3日待ってもご返事がない場合はお手数ですがもう一度お問い合わせください。必ず返答はいたします。

当店からの返信メールが届かないお客様へ
当店からお客様へ返信したメールがお客様の迷惑メールフォルダにある事例が多々あります。

「返信が来ない。」と思われたらお客様の迷惑メールフォルダを見てください。

当店のメールがお客様の迷惑メールフォルダにございましたらご面倒ですが別のアドレスで当店へ返信をお願いします。
やなぎ堂薬局 住所
郵便番号 790-0014
愛媛県 松山市 柳井町 1-14-1 やなぎ堂薬局 柳井町店 
電話番号/FAX番号 089-921-9401
トップページ
←こちらをクリック
Copyright(C)2013 yanagidou All Rights Reserved