加味逍遥散(カミショウヨウサン)
生薬構成
当帰 芍薬 白朮 茯苓 柴胡 各3.0グラム

甘草 牡丹皮 山梔子 各2.0グラム

乾姜 薄荷 各1.0グラム
加味逍遙散原文
【女科撮要】
治血虚有熱、遍身掻ヨウ(※1)、或口燥咽乾、発熱盗汗、食少嗜臥、小便シュウ(※2)滞等症
※1ヨウ=ヤマイダレ+養
※2シュウ=サンズイ+止

【勿誤薬室方函口訣】
此方ハ清熱ヲ主トシテ、上部ノ血症ニ効アリ。故ニ逍遥散ノ症ニシテ、頭痛、面熱、肩脊強リ、鼻血ナドアルニ佳ナリ。又下部ノ湿熱ヲ解ス。
婦人の淋疾、竜胆瀉肝ナドヨリ一等虚候ノ者ニ用テ効アリ。凡テ此方ノ症ニシテ、寒熱甚ク胸脇ニ迫リ嘔気等アル者ハ小柴胡湯ニ梔丹ヲ加フベシ。
又男子婦人、遍身ニ疥癬ノ如者ヲ発シ、甚痒諸治効ナキ者、此方ニ四物湯ヲ合シテ験アリ。
華岡氏ハ此方ニ地骨皮、荊芥ヲ加テ鵝掌風ニ用ユ。又老醤ノ傅ニ、大便秘結シテ朝夕快ク通ゼヌト云者、何病ニ限ラズ此方ヲ用レバ、
大便快通シテ諸病モ治ト云。即小柴胡湯ヲ用テ津液通ズルト同旨ナリ。
加味逍遙散解説
加味逍遙散の出典は諸説あり、中国北宋時代に編纂された「和剤局方(ワザイキョクホウ)」に「逍遥散」と言う名前で収載されており、時代が下って
中国明時代に書かれた「女科撮要」に牡丹皮と山梔子を加えた「加味逍遙散」が書かれています。
ただ、「女科撮要」には加味逍遙散に含まれる薄荷と生姜は含まれていません。現在使用されている加味逍遙散の形は中国、明の時代に
編纂された「万病回春」に書かれているのが現在使用されています。

加味逍遙散の「逍遥」は荘周が書いた莊子の「内篇ー逍遙遊篇」に逍遥の言葉があり、意味として
「何もこだわらずに、何もにも拘束されずに伸びやかに自由に遊ぶ」と言う意味からとっており、更年期の女性がフラフラと歩いている
状態が「逍遥」によく似ているのでこう名付けられたと言われます。

本方は婦人病、血の道症、精神不安などに広く応用されています。
加味逍遥散は桂枝茯苓丸や当帰芍薬散を服用したら胃腸障害が見られたりする生理不順や帯下の人にも用いることが出来ます。
本方は小柴胡湯と当帰芍薬散を合方にした処方で、当帰芍薬散や桂枝茯苓丸の服用で胃腸障害が見られる場合や小柴胡湯を
服用するよりやや虚証の人で、補中益気湯を服用する人より実証の人に用います。

加味逍遙散は小柴胡湯の変方と浅田宗伯は「勿誤薬室方函口訣」に書きましたが、本方は少陽病の虚証で病は肝にあり、肝が弱ったことが
原因の疲労感、肝機能障害、更年期障害、月経不順などの各種神経症状に用いられます。

湿疹やシミには加味逍遙散と川キュウと地黄を組み合わせた加味逍遙散合四物湯を処方します。
この処方は虚証で貧血傾向があり、発疹時は滲出液が少なくて皮膚は乾燥傾向で頑固な皮膚病に用いられます。
ただし胃腸虚弱で下痢をしやすい人には用いいることは出来ません。

加味逍遙散は別名で「丹梔逍遥散(タンシショウヨウサン)」とも言われます。
加味逍遙散適応症
のぼせが無ければ牡丹皮、山梔子を取り除いた逍遥散や柴胡桂枝乾姜湯をお薦めします。
各種生薬の役割
加味逍遙散に含まれる生薬の役割ですが、

当帰と芍薬を組み合わせると・・・駆オ血作用と滋潤作用のある当帰と鎮痙、鎮痛作用のある芍薬が弱った肝機能を高め、気分のイライラと
躁うつ症状を改善します。

柴胡には解熱健胃作用があり、肝の病(神経症)に用いられます。

牡丹皮と山梔子を組み合わせると牡丹皮はオ血を取り除き血液の循環を促します。山梔子には熱を冷ます作用があり、オ血が原因の精神不安や
不眠、のぼせなどを山梔子が解消します。

参考処方
四逆散・・・加味逍遙散より実証であれば用いる機会がある。

逍遥散・・・のぼせ症状がない更年期症状
加味逍遙散の服用方法
煎じる加味逍遙散の服用方法
煎じる加味逍遙散の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。

一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。

粉末の加味逍遙散の服用方法
粉末の加味逍遙散の服用方法ですが1日分(3包)を1回1包づつ食前(食事の60分前)又は食間(食事と食事の間、食後約2時間)に
水又はぬるま湯にて服用してください。
(出来ましたら熱湯に粉末を入れて漢方薬を溶かして、人肌程度の温度になった漢方薬配合の液体の服用をおすすめします。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
注意事項 
下記の人は絶対服用しないでください。
@ 生後3ヶ月未満の乳幼児には絶対服用させないでください。

注意事項ですが
(1)・・・次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
@・・・血圧の高い人又は高齢者。
A・・・心臓又は腎臓に障害のある人。
B・・・むくみのある人。
C・・・今までに薬により発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
D・・・妊婦又は妊娠していると思われる婦人。
E・・・医師の治療を受けている人。

(2)・・・服用に際して、次のことに注意すること
@・・・定められた用法・用量を厳守すること。
A・・・小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
B・・・煎じ液は必ず熱いうちにかすをこし去ること。
C・・・本剤は、必ず1日分ずつ煎じ、数日分まとめて煎じないこと。

(3)・・・服用中又は服用後は、次のことに注意すること
@・・・本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ等の症状が現れた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
A・・・本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状が現れた
場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
B・・・ 1ヶ月位服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
C・・・長期連用する場合には、医師又は薬剤師に相談すること。

(4)保管及び取り扱いの注意事項
@・・・本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する
原因になることがあります。

A・・・開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

B・・・本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

C・・・幼児の手の届かない所に保管してください。

D・・・他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)

E・・・煎じ液は腐敗しやすいので、冷暗所又は冷蔵庫等に保管し、服用する時にに再加熱してから服用してください。
 
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