山査子 さんざし サンザシ 山査肉 さんざにく サンザニク |
和名、植物名 |
山査子 さんざし サンザシ |
生薬名 |
山査子 さんざし サンザシ 山査肉 さんざにく サンザニク |
学名 |
Crataegus cuneate |
分布 |
山査子(さんざし)はサンザシ属ーばら科に属する植物で、原産地は中国中南部の地域が原産地で、日本には江戸時代中期の
1734年に薬用植物として渡来し、小石川植物園に植えられました。
元々山査子は寒冷地に自生していますが、暑さに強い種類も多く、栽培は比較的簡単で、現在は庭木、観賞用植物として
栽培されている落葉低木です。
サンザシの仲間は北半球の温帯に約200種が分布する落葉木で、ごく少数ですが常緑性のものがあります。
日本には北海道にオオバサンザシが自生しており、北海道と長野県にクロミサンザシが自生しています。
日本では白い花を咲かせる品種と赤または黄茶色の実を実のなせる品種とピンク色の八重咲きのセイヨウサンザシが
一般的な山査子です。
ピンク色の八重咲きのセイヨウサンザシは他の山査子のように果実を付けません。
山査子は中国ではお酒に漬けて「山査子酒」として服用したり、果実をお砂糖やハチミツに漬けて食したりします。
中華料理では食後に山査子の果実の砂糖漬けをよく食したりします。
山査子の果実は魚料理や肉料理の消化促進のために食事中や食後に食すると良いと言われます。
他に魚肉を煮る時に山査子の果実を入れて煮ると魚の骨が柔らかくなると言われます。
ヨーロッパでは山査子を「セイヨウサンザシ」と言い、ヨーロッパではセイヨウサンザシの葉をハーブとして利用します。
ヨーロッパでは山査子を「メイフラワー」と言い、5月に花を咲かせるのでこう言われます。
ちなみにアメリカでは「ハウソーン」と言われます。
他にサンザシは古代ギリシャの頃に神聖なる木として崇拝されてきました。
古代ギリシャでは結婚式には欠かせない植物で、サンザシの小枝を集めて花嫁が被っている冠に飾ったりしていました。
(キリストが磔になった時に被っていた荊冠が山査子で出来た荊冠と言われます。山査子で出来た荊冠をキリストに無理やり
被せた時に飛び散ったキリストの血を山査子が清めたとも言われます。
その影響でキリスト教ではサンザシの枝に難を逃れる不思議な力があると信じられ、枝を家の玄関などに挿していれば落雷を
免れる事が出来、屋内に飾れば厄除けになると信じられていました。
(中国では槐の木に雷除け、日本では「桑原、桑原」と唱えれば雷除けの力があると言われました。)
他にヨーロッパではメイデーの夜明けにサンザシから採った朝露には美容の効果があるとも言われ、昔は少女たちがこの日に
競ってサンザシの朝露を採取したと言われています。
余談・・・「♪この道はいつか来た道♪」で始まる北原白秋作詞の「この道」の歌詞に山査子が出てきます。 |
特徴・形態 |
サンザシの特徴として樹高は1メートルから2メートルほどの低木で茎は枝分かれが多く、枝分かれした小枝には小枝
が変化した刺が見られます。
葉の特徴ですが葉の色は濃緑色で葉の裏には薄い毛があります。
葉には柄があり、葉の形は葉の上部に三浅裂と鋸歯のある楕円形で互生しており、葉は葉先に向かって幅広くなっております。
花期は5月から6月頃で直径2センチほどの白色の五弁花を枝先に散房花序につけます。
雄しべは約20個と多くあります。
果実(偽果)は10月頃に赤色又は黄色の熟した球形の果実を実らせます。果実は1センチから2センチほどの大きさで、果実の
中心部に5ミリぐらいのくぼみがあり、くぼみの周辺部にがくの基部と思われる名残があります。
果実は林檎のような形をしており、外面に毛があります。他に外面には細かい網目状にシワもあります。
果実には1個だけ種子を含んでおります。
果実には酸味があって甘味が少なく渋みが多いので、食用にする場合は色々な加工をします。 |
成分 |
サンザシに含まれる成分はフラボノイドのケルセチン、クエルセチンやタンニンのクロロゲン酸やトリテルペンのウルソール酸、
オレアノール酸、ビタミンC、ビタミンB2などが含まれています。特にビタミンCは多く含まれています。 |
使用部位 |
山査子の果実 |
採取時期と管理・保存方法 |
山査子の採取時期は10月頃に成熟する前の果実を採取して日干し乾燥します。
山査肉(さんざにく、サンザニク)は採取した山査子から中の核を取り除いてから日干し乾燥します。 |
薬効、服用方法 |
山査子を服用すると消化酵素の分泌促進作用、健胃、消化不良予防作用、整腸作用などがあり、健胃、胃酸過多防止、
消化不良、食滞が原因の腹部膨満感、下痢予防、食中毒予防などに効果があります。
脂っこい料理が多い中華料理店では山査子のお茶や山査子のお酒を料理と一緒に服用したり、食後の服用したりして、
料理に含まれる脂分の消化を促します。
山査子、山査肉を煎じる場合は
山査子、山査肉約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、
煎じ終われば薬草は取り除き、1日数回に分けて服用します。 (味が苦手な方は蜂蜜や甘味料などで甘味をつけても結構です。)
山査子、山査肉と他の薬草(重薬、艾葉、ヨクイニン、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。
山査子、山査肉の粉末の場合は
山査子、山査肉の粉末を1日3グラムから6グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、
お湯に混ぜて服用してください。(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)
「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。 |
山査子と他の生薬との組み合わせ |
山査子+縮砂・・・山査子と縮砂を組み合わせることにより食滞が原因の腹部膨満感、消化不良、下痢などの症状を緩和させます。
(漢方処方・・・加味平胃散、化食養脾湯など)
山査子+麦芽・・・山査子と麦芽を組み合わせることにより食滞が原因の腹部膨満感、消化不良、下痢などの症状を緩和させます。
(漢方処方・・・加味平胃散、化食養脾湯など)
山査子+神麹(神曲)・・・山査子と神麹(神曲)を組み合わせることにより食滞が原因の腹部膨満感、消化不良、下痢などの症状を
緩和させます。
(漢方処方・・・加味平胃散、化食養脾湯など) |
山査子を含む漢方処方 |
加味平胃散(カミヘイイサン)
啓脾湯(ケイヒトウ)
化食養脾湯(カショクヨウヒトウ)
など |
参考資料 |
特になし |
その他 |
特になし |
参考文献 |
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑 |
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