胃風湯(イフウトウ)
生薬構成
茯苓ー4.0 当帰ー3.0 芍薬ー3.0 川キュウー3.0 人参ー3.0 白朮ー3.0 桂枝ー2.0 粟ー2.0
胃風湯原文
【太平恵民和剤局方】 (瀉痢門)
治大人小児、風冷乗虚、入客腸胃、水穀不化、排瀉注下、腹脇虚満、腸鳴コウ痛、及腸胃湿毒、下如豆汁、或下オ血、
日夜無度、並宜服之

【勿誤薬室方函口訣】
此方ハ素問、所謂胃風ニハ非ズ。一種傷胃ノ不和ヨリ、泄瀉ニ非ズ。帯下ニ非ズ。水穀化セズシテ稀汁ト血液ト漏下シテ
止マズ、顔色青惨荏苒歳月ヲ延バス者ヲ治ス。蓋シ甘草瀉心湯、断利湯ノ如キハ上焦ニ属シ、此方ハ下焦ノ方ニ属スル也。

【叢桂家方口解】
冷瀉ニヨシ。冷湿腸ニ入テ瀉スルニ用フ。腹鳴ニハ木香ヲ加フ。虚人臍下冷痛スルニ木香ヲ加ヘ良キ事アリ。産後ノ瀉ニモヨシ、
小児弱ク大便不調ニ用ユルコトアリ。八珍湯ニ熟地黄、甘草ヲ去リタル方ナリ、其ノ意ニテ治ヲ施スベシ。

【方読弁解】 (妊娠)
此方ノ行ク処、主治ニ詳也。妊娠此症アル者、通治スベシ。婦人良方日、治妊娠膓不足、風冷乗之、水穀不化、泄瀉注下、
日夜無度、或脾胃受湿、下如豆?汁、或オ血、宣服胃風湯、産後又此症アリ。

【方読弁解】 (産後)
産后風冷ニ感ジ、泄瀉腹痛ヲナスアリ、此方ニ宣シ。医林集要曰、産后泄利腹痛者、未滿月、冷当風邪、毒留分肉之間、
布膓胃之内、攻腹痛溏泄、又有食肉太早強過多、滞積不化、腹痛而成泄瀉者云々。此論ニ因テ治ヲ施ベシ。
胃風湯解説
この漢方処方は「太平恵民和剤局方」、「勿誤薬室方函口訣」、「叢桂家方口解」、「牛山方考」に見られ、炎症が小腸、
大腸、直腸にあり、日常的に胃腸の弱い人がお腹を冷やして泄瀉、腹鳴、腹痛、裏急後重がおき、この症状が慢性化し、
便は軟便又は水様便で血液が混じる事もある場合に適応します。

又、「勿誤薬室方函口訣」には「蓋シ甘草瀉心湯(半夏瀉心湯)、断痢湯ノ如キハ上焦ニ属シ、此方ハ下焦ノ方ニ属スルナリ」
とあり、下痢でも半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、は上部消化器官すなわち胃、小腸の炎症、障害が原因の下痢に効果があり、
胃風湯は下部消化器官の大腸の炎症、障害が原因の下痢に効果があります。
(参考・・・中焦に属する漢方処方は胃苓湯が挙げられます。胃苓湯は胃の障害が原因の下痢に効果があります。)

甘草瀉心湯、半夏瀉心湯、断痢湯は中間証からやや虚証に属し、脈、腹部にやや緊張があり、腹部は心下痞硬が診られます。

真武湯、胃風湯は虚証に属し、腹部に寒(裏寒)がある為、脈は沈、浮、遅、弦で腹部は軟である場合多い。
又、真武湯と胃風湯の適応症の区別は、胃風湯は裏急後重がある下痢に適応し、真武湯は裏急後重が無い下痢に適応します。

「叢桂家方口解」には本方に木香を加えれば良いと記載されてます。
胃風湯適応症
@ 普段より顔色悪く、胃腸が弱く、寒冷が原因で慢性化した下痢が起きる場合。

A 下痢の前に腹中雷鳴(腹鳴)があり、腹が軟らかく、痛みを感じる場合が多い。

B 大便は軟便か水様便で、裏急後重が2,3回起きトイレに駆け込む便である。大塚敬節先生は「便の状態は泡の多い水様便の場合が多い」
と報告されています。

C 大便に血液が混じる場合も適応します。


D 炎症部分は小腸、大腸、直腸部に慢性的な炎症が見られる場合に使用します。

E 以上の症状から胃風湯の適応疾患は
  ・潰瘍性大腸炎
  ・急性、慢性の下痢
  ・慢性大腸炎
  ・急性、慢性の胃腸炎
  ・半夏瀉心湯や真武湯で効無き下痢
などに適応されます。
各種生薬の役割
胃風湯の構成は矢数道明先生によると「四君子湯より甘草を去り、四物湯より地黄を去ってこれを合わせ、更に桂枝と粟を加えたものである。」
と記載されてます。

四君子湯に含まれる茯苓、白朮、人参は胃腸機能を向上させ、胃内停水を取り除きます。
四物湯に含まれる当帰、川キュウ、芍薬は貧血予防、止血作用があり、桂枝は各生薬の機能を向上させ、粟は腸管を引き締めます。
参考処方
中間証・・半夏瀉心湯、甘草瀉心湯、生姜瀉心湯など

虚証・・・・胃苓湯、真武湯、人参湯、桂枝人参湯など
胃風湯の服用方法
煎じる胃風湯の服用方法
煎じる胃風湯の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。

一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。
注意事項 
下記の人は絶対服用しないでください。
@ 生後3ヶ月未満の乳幼児には絶対服用させないでください。

注意事項ですが
(1)・・・次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
@・・・血圧の高い人又は高齢者。
A・・・心臓又は腎臓に障害のある人。
B・・・むくみのある人。
C・・・今までに薬により発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
D・・・妊婦又は妊娠していると思われる婦人。
E・・・医師の治療を受けている人。

(2)・・・服用に際して、次のことに注意すること
@・・・定められた用法・用量を厳守すること。
A・・・小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
B・・・煎じ液は必ず熱いうちにかすをこし去ること。
C・・・本剤は、必ず1日分ずつ煎じ、数日分まとめて煎じないこと。

(3)・・・服用中又は服用後は、次のことに注意すること
@・・・本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ等の症状が現れた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
A・・・本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状が現れた
場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
B・・・ 1ヶ月位服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
C・・・長期連用する場合には、医師又は薬剤師に相談すること。

(4)保管及び取り扱いの注意事項
@・・・本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する
原因になることがあります。

A・・・開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

B・・・本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

C・・・幼児の手の届かない所に保管してください。

D・・・他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)

E・・・煎じ液は腐敗しやすいので、冷暗所又は冷蔵庫等に保管し、服用する時にに再加熱してから服用してください。
 
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